アニメ化作品も多数、オススメ漫画7作品
『ダンジョン飯』
ダンジョンの深部でドラゴンに壊滅させられかけて、命からがら逃げ出すも、大切な妹がドラゴンに食べられてしまった主人公・ライオスが、妹を助けるために再びダンジョンに挑む『ダンジョン飯』。ドラゴンから逃げ出す際に持ち物をほとんど失くしてしまい、再び装備を整えるだけで金欠になってしまったために、ドラゴンへたどり着くまでの食事をダンジョン内のモンスターで賄うという奇策に打って出るライオス一行を軸にした、一風変わったグルメ漫画になっています。
比較的問題なさそうなサソリや魚の魔物はともかく、スライムや動く鎧のような、どうやって調理するか未知数の魔物まで食材にしてしまう発想が出色。出来上がったオムレツやシャーベットが普通に美味しそうなのが困ります。
主人公のライオス以外は「魔物を食べるなんて絶対に無理!」と言っていたのに、徐々に慣れていってしまうところも笑えるポイントです。
『見える子ちゃん』
幽霊が見える女子高生が全力で見えないふりをして、見える自分の存在を幽霊から隠す『見える子ちゃん』。この“見えないふりをする”の一点突破で突き進むコメディなのですが、出てくる幽霊がけっこうおぞましいデザインをしているので、ちゃんと怖いのも特徴的。
幽霊が見えちゃう主人公・みこ、幽霊は見えないけれど引き寄せてしまう特異体質のハナ、見える上でドジっ子なユリアがメインのゆるいストーリーに、霊能者のお婆さんや怪しさ抜群の青年が絡むシリアスな展開を絶妙に混ぜ込んだホラーコメディです。
『僕だけがいない街』
制御不能な過去に戻る力に悩まされていた売れない漫画家の主人公が、母親を殺害されたことをきっかけに、その元凶となる過去を変えるために小学生時代にタイムリープする『僕だけがいない街』。母親を救うためには、小学生の時に起こった連続誘拐殺人事件の真犯人を捕まえる必要があることに気づいたため、過去に飛ぶまでがプロローグになっています。
その後の狡猾な真犯人との攻防や、過去と現在を行き来するダイナミックな構成など、サスペンスとタイムリープでの過去改変を上手く融合させた作品になっており、アニメ、実写映画、実写ドラマ化を果たしました。
メディアミックス作品は原作の漫画とは少しずつ違う結末になっており、その違いも楽しむことができます。
『春風のスネグラチカ』
代表作『無限の住人』の連載を終えた後も『ベアゲルター』『波よ聞いてくれ』といった名作を生み出し続ける鬼才・沙村広明さん。そんな稀代のクリエイターによる短編は多数発表されているのですが、そのなかから今回は『春風のスネグラチカ』をピックアップ。1933年のソビエト連邦・カレリア自治共和国からはじまる車椅子の少女・ビエールカと物言わぬ従者・シシェノークの数奇な物語です。
史実をベースに大胆な設定を加えたストーリーは、ド派手な演出はなくとも芯の通った作品となっており、沙村広明さんの極上の筆致もあって読ませます。たった1巻ということを忘れさせる重厚な漫画です。
巻末に複雑な人物像を簡潔に解説したおまけがあるのもグッドですね。
『小林さんちのメイドラゴン』
『ピーチボーイリバーサイド』『平穏世代の韋駄天達』『小森さんは断れない!』『ふたりぼっちのオタサーの姫』など多作なクール教信者さんの代表作『小林さんちのメイドラゴン』。二日酔いで目覚めた翌朝に、ドラゴンが「昨夜はお世話になりました!」の体でメイドになって家にやってきた、というけっこうぶっ飛んだあらすじになっています。現代版『鶴の恩返し』的な。
なんやかんやあってドラゴンメイドことトールと一緒に住むことになった小林さんが主人公なので『小林さんちのメイドラゴン』です。
小林さんが大大大(以下略)好きなトールと小林さんとの山あり谷ありの異種間コミュニケーション。そして、トールに続いて次々と現れる個性的なドラゴンたちが織りなす暴走の日常をどうぞ。
『ライチ☆光クラブ』
その異才とカリスマ性をもって主人公・ゼラが動かす少年団「光クラブ」と、そこに所属する男子中学生たちの壮大で残酷な計画、そして内部崩壊までを描く『ライチ☆光クラブ』。作者・古屋兎丸さんの代表作のひとつで、『女の園の星』で知られる漫画家・和山やまさんと2021年末に発売した共著『ライチ☆光クラブ コラボレーション』も話題になりました。
アニメ化や舞台化も果たしており、ハマると抜け出せない古屋兎丸さんの世界へ飛び込むための入門編としても良いかもしれません。
『ボーイミーツマリア』
高校演劇部のおちこぼれ・大河と、部内一の実力派・優の2人を中心にした青春群像劇『ボーイミーツマリア』。子どもの頃からスーパーヒーローに憧れるも実力が伴わない大河と、通称・マリア様と呼ばれるほどの美少年で、実力はありながらも過去のトラウマに囚われた優が、時に反発しあいながらも仲を深めていきます。
大枠ではBL作品なのですが、そのジャンルに収まらない人と人との繋がりの本質を描いた作品です。思春期ならではの心の揺れを繊細なタッチで表現しており、読み返すたびに「これがデビュー作か!」と驚かされます。
作者のPEYOさんはこの作品を発表した後、別名義・恵口公生として『キミオアライブ』を『月刊少年マガジン』で連載していたのですが、2020年8月に急逝。
新たな作品を見ることができないのは非常に残念ですが、その才能の片鱗をいかんなく発揮した『ボーイミーツマリア』の衝撃は今も色あせていません。
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