同書は世の昆虫好きから注目を集めた『裏山の奇人 野にたゆたう博物学』を著し、メディアにも出演し昆虫の素晴らしさを広めている小松さんの新著となる。
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の拡大により、昆虫学者として致命的な移動制限を強いられた小松さんが、身近な場所で調査を行い驚くべき昆虫と出会った経験が描かれている。
養老孟司や呂布カルマも絶賛の「研究者の姿」
『怪虫ざんまい 昆虫学者は今日も挙動不審』はタイトルの通り、昆虫だけでなく昆虫学者である小松さん自身にもスポットを当てた書籍となっている。同書の帯文には、解剖学者の養老孟司さんが「奇人、奇怪な虫を追う。環境破壊に怒り心頭。でも愉快な本ですよ。」と寄稿。『怪虫ざんまい 昆虫学者は今日も挙動不審』あらすじ
セアカゴケグモの日本上陸に身悶えした中学生は、やがてガロアムシを見つけて得意満面の大学生になった。
エダヒゲネジレバネを極小ウンカの腹の中から引っ張り出したり、アリの巣を破壊したりして過ごした大学時代。
晴れて昆虫学者になってからも止まることを知らない好奇心。
ミズスマシの背中に付くラブルベニア(カビ)に萌えたり、誰も知らないオオフトヒゲクサカゲロウの秘密の生態を暴いたり……好き勝手に虫探しをしていたら何の因果か、気が付けば人の親になっていた!
愛する息子をつれて行った公園でオオスズメバチの駆除に憤り、滑り台の陰で絶滅危惧のハナダカバチを見つけるのも悪くはない。
だが、その本性は、やはり「奇人」と呼ばれた昆虫学者なのだ。いまこそ虫マニア全開だ!
自転車4時間の山越えも何のその、寒空の大地に土下座してついに見つけた、光り輝く幻のアオヘリアオゴミムシ。そして、井戸ポンプを漕ぎ続けること数万回。その果てに姿を現した、ナゾの生命体——お前は一体何ものだ!?
これは前代未聞の疫病禍をからくも生き延びようとした、一人の昆虫学者の戦績を辿った一大叙事詩である。
ラッパーの呂布カルマさんも「虫の魅力は分からずとも、虫の魅力に取り憑かれた人間の奇妙さ、面白さはよく分かる筈だ。」とコメントを寄せている。
また同じく昆虫学者の丸山宗利さんからは「彼の知識や深い洞察力を知れば、たちまち己を恥じることになる。」と絶賛のコメントが寄せられた。
飽くなき探究心で昆虫を追い続ける小松貴
今回の新著について小松さん、そして担当した編集者は以下のようにコメントしている。
小松貴さん コメント
この令和の世に突如降りかかった、忌まわしき疫病。野外調査をライフワークとする昆虫学者にとっての移動自粛は、まさに冬の時代だった。
しかし、私はその凍てついた季節に、なんでもない田んぼの一隅で光り輝く「幻の甲虫」を、近所の井戸底で「奇跡の生物」を見つけ出した。
すべてはすぐそこの話。足元に埋もれた、めくるめく無限の世界を、ぜひ知ってください。
担当編集者 コメント
「変な虫たち」よりも、それを追い求める昆虫学者の方が、「もっと変!」というのが、本書の読みどころです。
もちろん、筆者はワザと奇人変人を演じているわけではなく、変な虫を知るためには、徹頭徹尾、彼らの動きにあわせなければならず、結果として、一般的な社会生活を営む人たちから見たら変に見えてしまうという次第。同業者からは尊敬と畏怖の念を込めて「裏山の奇人」呼ばれています。まさに驚愕の忍耐力、行動力、観察力の持ち主――それが筆者の小松貴さんです。
本書では県外への移動を禁じられた今回のコロナ禍において、他の虫マニアのようにこっそり他県に移動することなく、正々堂々、徒歩と自転車と原付バイクで行ける範囲のみで昆虫観察に邁進します。いわゆる「身近な虫たち」というのが本書に通底するコンセプトですが、それにもかかわらず「まさか!」という驚天動地の大発見が連発します。身近にも多くの奇跡が隠れていることを多くの人に知ってもらいたいと思っております。
驚くべき探求・職人の世界
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書籍情報
『怪虫ざんまい 昆虫学者は今日も挙動不審』
- 発売日
- 2022年4月21日(木)
- 価格
- 1,650円(税込)
- 著者
- 小松貴
- 出版社
- 新潮社
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