イラストレーター古塔つみが表紙担当『ILLUSTRATION 2022』発行元が謝罪

イラストレーター古塔つみが表紙担当『ILLUSTRATION 2022』発行元が謝罪
イラストレーター古塔つみが表紙担当『ILLUSTRATION 2022』発行元が謝罪

イラストレーター・古塔つみさんが表紙を担当していた『ILLUSTRATION 2022』

イラストレーションシーンの今を1冊に収めた図録「ILLUSTRATION」シリーズを発行する翔泳社が、『ILLUSTRATION 2022』の表紙を担当したイラストレーター・古塔つみさんの一連の騒動について公式サイトで謝罪した。

古塔つみさんを巡っては2月、手がけた作品が著作権侵害にあたるのではないかとSNS上で波紋を呼び、既存の絵や写真を下敷きにトレースして描くいわゆる「トレパク」であるとして、数々の指摘が殺到。

本人も声明でオマージュ・再構成として制作した一部の作品を、権利者の許諾を得ず投稿・販売したことを認めていた(※クライアントワークはオリジナルと説明)。

翔泳社の発表はこれら一連の騒動および報道を受け、これまで「ILLUSTRATION」シリーズに参加したイラストレーター、読者、関係者に向け謝罪したものだ。

翔泳社「制作体制の精査と立て直し」

「『ILLUSTRATION 2022』参加クリエイターの皆様」「イラストを愛する皆様へ」と題した発表の中で翔泳社は、「本書にご参加くださった方々、これまでご参加くださった方々、イラストを愛するすべての方々のご好意とご期待を裏切ることとなりましたことを、大変申し訳なく思っています」と謝罪。

一方で「言葉がなくても人の心を動かすことができるイラストという文化は日本が誇るべきもので、それをこれからもクリエイターの皆様と盛り上げていきたいという想いは変わりません」と、「ILLUSTRATION」として目指すものは変わらないと強調した。

今回の騒動を受け、制作体制の精査と立て直しを明言。加えて「改めて真摯にイラスト文化に向き合い、イラストを愛する人をもっと増やせるようこれからもイラストレーターの方々を応援し、素晴らしいイラストレーターさんと読者の方をつなぐべく務めたいと思っております」とコメント。

最後は「次作となる『ILLUSTRATION 2023』について今後とも、なお一層のご指導ご鞭撻を賜りますよう、伏してお願い申し上げます」と締めくくった。

担当編集も声明「タイミングは慎重にならざるを得ませんでした」

翔泳社の発表に併せて、『ILLUSTRATION 2022』の企画・監修をつとめる編集者・平泉康児さんも自身のTwitterを更新。本誌に参加した作家をはじめ、関係者に対して謝罪を述べている。

加えて「騒動の規模、波紋の広がり、センシティブな個人の情報を追及するような行為といった追い詰められ方の激しさから、人の生命にも関わる最悪の事態に繋がってしまう可能性も想像でき、関係者として今回の件に関する言及・行動、タイミングは慎重にならざるを得ませんでした」と、発表のタイミングについて説明した。

また本誌に掲載されている作品については「多くの人の心を動かし、楽しませるような魅力に溢れたものであることは、手に取ってご覧いただければ必ず伝わるものと信じております」とする一方で、「そういった確信と大きな手応えを感じながら、胸を張って世に送り出すことができたと思える本であっただけに、今回の騒動はただただ辛く残念というほかありません」とコメントしている。

「トレパク」はなぜ起こるのか?

古塔つみさんの一連の騒動によって広く世間に知られる言葉となった「トレパク」だが、翌月の3月にはホロライブ所属のVTuber・桃鈴ねねさんが自作するイラスト等に他者著作物のトレースが発覚。「好きな作家さんや作品を思い浮かべることがあった」と弁明したものの、一部トレースがあったことを謝罪している。

SNS全盛の時代、イラストレーターがタレントのような影響力を持つ中で、相次いで巻き起こった「トレパク」騒動。KAI-YOUでは長年第一線で活躍するイラストレーター・中村佑介さんに取材し、なぜ「トレパク」は発生してしまうのか? という疑問をはじめ、イラストレーションを取り巻く業界構造など、問題の本質について話を聞いている

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