『目玉焼きの黄身 いつつぶす?』(おおひなたごう)
『目玉焼きの黄身 いつつぶす?』ってタイトル、良いですよね。本屋で見かけたら立ち止まりそうです。ちなみに筆者は速攻で潰す派です。目玉焼きをはじめ、いろんな食べ物の“食べ方”の個性をテーマにした一風変わったこのグルメ漫画。目玉焼き以外にも、ショートケーキの苺をいつ食べるか、焼き鳥はタレか塩かどちら派か、といった世界を真っ二つに分ける問いを突きつけてきます。
自分が当たり前だと思っていた食べ方も、他人から見れば信じられないものかもしれませんよね。筆者も友人と天下一品に行って、ラーメンが来るや否や調味料ぶち込みはじめた友人に思わず「なんで!?」って突っ込んだことあります。みなさんも一度はそういう体験があるんじゃないでしょうか?
この意識のズレ、この取るに足らない1点をネタに話を膨らませ、テンポよく広げて、そしてストンと落とす(なおかつストーリーも進めていく)。キレッキレの名人芸を毎話読ませてくれる作品です。
『あおのたつき』(安達智)
実在した江戸幕府公認にして最大の遊廓・吉原。そのどこかにある、現世と冥土の狭間にある“鎮守の社”を舞台にした『あおのたつき』。そこに迷い込んでしまった遊女・あおが、鎮守の社の宮司・楽丸と、生前の恨みや妬みを抱えたまま亡くなり悪霊になってしまった人々の心を救う、というお話です。彼らの悲哀と救いの描写が切ないながらも胸を打ちます。
また江戸時代の考証がしっかり行われており、当時の文化の描写も見応えあり。霊たちのキャラクターデザインも含めて、ビジュアル面でもかなり力が入っています。
『猫と竜』(佐々木泉、アマラ、大熊まい)
猫が!!!!!! かわいい!!!!!!!!!!っていう漫画です。かわいい。
『猫と竜』のタイトルからわかるように、世界設定は竜が出てくるようなファンタジー。そして喋る猫(かわいい!)や、魔法が使える猫(かわいい!!)や、竜が変身した猫(かわいい!!!)や、いろんな猫(かわいい!!!!)が登場します。
かわいい猫様たちと人間、そして竜の交流を主に1話完結で描く異世界日常系漫画、とでも言えばいいでしょうか。この漫画の半分は優しさでできています。もう半分はかわいい猫です。
『アメリカ横断 我ら夫婦ふたり旅』(山本あり)
旅行したいけれど気軽には行けないこのご時世、だったら漫画で旅すればいいじゃないの。というわけで『アメリカ横断 我ら夫婦ふたり旅』をご紹介。食のエッセイ漫画で知られる山本ありさんが、夫婦2人で14日間で敢行したアメリカ横断の旅を漫画にした作品です。
ラスベガスやグランド・キャニオンといった有名観光地から、本家ディズニーワールドやメジャーリーグベースボールなどのアメリカならではの娯楽まで、気になる場所を網羅しています。
そして何より食べ物が美味しそう! 山本ありさんの真骨頂がこのエッセイでも発揮されています。
『流転のテルマ』(蔵西)
行方不明の兄から届いた「助けてくれ」というメールをきっかけに、西チベットに旅立つ休学中の大学生・徳丸。彼は未知の土地のさらに秘境で姿を消した兄を探すために、日本語が話せる現地ガイド・ソナムとキッチンボーイ・ナムギャルと過酷な男3人旅に出る。果たして彼は兄を見つけることができるのか?
『流転のテルマ』はそんな徳丸の旅と出会いを、標高3000メートル越えの大地・西チベットに伝えられてきた風俗の緻密な描写と共に描いています。また書き込みに熱量のある漫画なので、1ページ1ページじっくり眺めていたくなる作品でもあります。
日本ではふらふらとモラトリアムに浸っていた徳丸は、歩き通しの旅のなかで過去や今と向き合うことになるのですが、その果てに何を掴むのか、そして兄は見つかるのか。彼の旅の終わりは、ぜひ読んで確かめてみてください。
他にも名作漫画はたくさん!
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