そんな疑問に答えるのは、大阪・国立民族学博物館(みんぱく)の研究者・池谷和信さん。世界各国のハンターに弟子入りしながら「狩り」を研究する池谷さんに、モンハンの「狩り」への見解を聞くインタビュー後編。
モンスターごとの狩り方を解説してもらった前編に続いて、後編では実際の狩りとはどういうものなのか、狩りの極意などを聞いていく。
前編
※ゲーム画像はプレイ画面のスクリーンショット
目次
モンハンのプレイヤーはもっと休んだ方がいい
──今回は『モンスターハンターライズ』を狩りの専門家の視点で解説していただければと思います。まず、実際の狩りというのはゲームのように1〜4人でできるものなのでしょうか?池谷 狩りの方法にもよりますね。弓矢だと基本は1人で狩りをします。「人数が多ければ狩りやすい」というわけでもないんですね。
──大人数の方が有利だと思っていたので意外です。
池谷 動物は人間のにおいに敏感ですし、あまり大人数で話したり騒いだりすると逃げられてしまうんです。
──ゲームだと1日何頭もモンスターを狩りますが、実際のハンターは1日でどれぐらいの狩りをするのでしょうか?
池谷 イノシシのような小さい動物だと、1日で20頭ぐらい捕ることができます。クマのように大きい動物だと、1日2〜3頭でいい方でしょうか。
でも、モンハンのように大きなモンスターは、1日に何頭も狩るのは難しいと思います。特に群れの中の生き物を捕まえるのではなく、1対1で倒すものは難しいです。
──『モンハンライズ』での狩りを見ていて「もっとこうしたらいいのに」と思うところはありますか?
池谷 ハンターの方はもっと休んでいいと思いましたね。 池谷 たとえば、前もって罠を仕掛けておけば、あまりエネルギーをかけずに狩れるんですよ。
モンスターが来そうなところに罠を仕掛けておいて、あとから見回りだけするのもいいと思います。ずっと攻めてばかりだとハンターも疲れてしまいますよね。
──なるほど。ゲームと実際の狩りとの違いは面白いですね。
狩りにネコを連れて行けるのは画期的
──次に狩りの方法についてお聞きしたいのですが、『モンハンライズ』では「オトモガルク」という大型のイヌが狩りを助けてくれます。池谷 イヌがいるのはいいですね! 動物は基本的に人間のことが怖いので、逃げられないように追い込むためにイヌの存在は効果的です。
──「オトモアイルー」というネコも連れていけるのですが、実際に狩りにネコを連れて行くことはあるのでしょうか? 池谷 これは非常にいい質問です。実は個人的に非常に考えさせられたんですよ!
ネコはもともとエジプトでペットとして飼われたところから人間との関わりがはじまっています。だから狩りなどに使うことはないんですが、言われてみれば確かにネコもいいと思うんです。
──現実だと、どんなふうに狩りをさせるのがいいのでしょうか?
池谷 ネコはイヌに比べて木登りが非常に得意なので、空中戦で力を発揮するんじゃないかと思います!
たとえばイヌを使って狩りをするとき、動物が木の上に逃げると手出しができません。でも、オトモアイルーのようなネコがいたら、木に登らせることができますよね。
「地上はイヌで、高所はネコで」という狩りはありだと思います。
──オトモアイルーは人類が編み出した狩りの方法に、一石を投じる画期的な存在になり得ると……?
池谷 非常にいいアイデアですよ! このゲームを考えた方は本当にすごいと思います。
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池谷和信
民博・人類文明誌研究部・教授
日本のマタギからアフリカ・シベリア・アマゾンのハンターまで、世界中の狩猟に参与してきました。人間にとって狩猟とは、本能であるのか文化であるのかに関心を持っています。
国立民族学博物館
大阪の万博記念公園にある、世界の人びとのくらしと文化にふれる世界最大級の民族学博物館。研究者が世界各地で収集した生活用具や民族衣装など、約34万5000点を所蔵。
みんぱくバーチャルミュージアムでは、自宅にいながら展示場を探索できる。
みんぱくバーチャルミュージアム
まいしろ
エンタメ分析家
社会の荒波から逃げ回ってる意識低めのエンタメ系マーケターです。音楽の分析記事・エンタメ業界のことをよく書きます。
Twitter:https://twitter.com/_maishilo_
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1件のコメント
匿名ハッコウくん(ID:4513)
この記事何のために作ろうと思ったんですかね…