「上手く歌えても、下手くそな日でも、みんなに聴いてほしかった」
再びのバンド演奏を経て、和装に狐の面をつけたまふまふがステージに登場。「ひともどき」の繊細なメロディから、壮大でドラマティックな曲調に乗せて胸が張り裂けるような歌声が響く「生まれた意味などなかった。」、そして“歌ってみた”の投稿が大きな反響を巻き起こしたカンザキイオリ作の「命に嫌われている。」と、後半はダークな楽曲を迫力たっぷりに披露。全身の力を絞り出すかのようなシャウトを響かせた「輪廻転生」から、「暴れ足りねえなあ!」と告げて披露したKemu作の高速ラウドナンバー「拝啓ドッペルゲンガー」へと、この日ならではのスペシャルなセットだ。
最後のMCでは「10年間、活動を続けてきました」と、これまで歩んできた道程を振り返る。
「顔を出すのが怖い10年間でした。人前で歌うことが大嫌いな日々でした。いつの間にか、このご時世で、みんなの前でライブをすることがなくなり、とてつもない虚無感と喪失感を日々感じていました。いつの間にか、僕はライブが好きだったんだな、みんなと会うのが楽しみだったんだな、人前で歌うこと、上手く歌えても、下手くそな日でも、それよりもみんなに聴いてほしかったんだな。そんなことを感じて、今回のライブをさせていただきました」と、ライブにかけた思いを訥々と語った。
そして、ライブは終盤へ。「日本とはまた別のところに住んでいる人達のことを考えて作った曲」という「曼珠沙華」では、中国語を交えた歌詞に双喜紋をデザインした映像が映える。 「1年前に約束していたみんな、それを楽しみしていたみんなに向けて作った曲」と告げた「夜空のクレヨン」では、星型の照明がドームの屋根を照らし、幻想的な空間を描き出す。
そして最後は「僕の一番大切な曲」と語った「夢のまた夢」。「お別れの時間です。今日、僕を見つけてくれてありがとう」と告げ、万感の思いを込めて歌い上げた。
世界中に向けて、自身の音楽を全身全霊で届けきったまふまふ。ライブ配信のチャット欄には英語や各国語での熱い感想も並んだ。国境を超え、多くの人たちが興奮を共有した時間だった。
胎動するネット時代のアーティストたち
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