読書をしていて、目が滑ってしまい今読んでいる行に集中できない、という経験はないだろうか?
そんな悩みを解消してくれそうなWeb上の文庫が登場した。その名も「一行文庫」。
サイトでは、長ーーーーーい一行で掲載された小説を読むことができる。
“全文を一行で読める本”として「一行文庫」をWeb上で公開し、様々な反響を集めている。
「読みやすい」と反応する人もいれば、「逆に読みにくい」という人もいる。中には「文章は読みやすい反面、意味を消化しにくくなる」という人も。
「一行文庫」を読む 紙に印刷された文字は固定されているため、読者が目線を動かし手でページをめくらなければいけない。
電子書籍の場合でも、デバイスに表示される文字は切り替わるが、文字組みは固定だ(文字サイズを変更しなければ)。
スクロールで読み進めるという意味ではWeb小説を読んでいる体験に近いが、「小説家になろう」や「カクヨム」も基本は横書きだ。
ただし「なろう」はPDFにして縦書きで読む方法があり、「カクヨム」は2018年にビューワーで縦読み設定できるようになった(便利!)がスクロールは横方向であり、縦に長く読むという体験はやはり珍しい。
構想のきっかけは、「リーディングトラッカー」という読書補助アイテムだったという。
主に、視野狭窄といった視覚障害を持つ人や、ディスレクシア(読字障害などとも呼ばれる学習障害の状態の一つ)のある人のサポートアイテムだ。 そこから得た「文章を読みにくくしているのは周囲の文字情報なのではないか?」という考えが「一行文庫」の着想に結びついていったという。着想から数日後には、「一行文庫」が完成し、公開したという。
「スクロールしながら読んだ際にゆったりと読めるように、書体や組み方をちょっとだけ工夫しました。あとは、背景色など、できるだけ『文庫本の印象のまま一行になった感じ』を目指しました」(岩下智さん)
しかし奇妙なもので、読み進めていくと、上下にスクロールしながらある程度の長さの文章を読むには、普段とは異なる目線の動きと思考が必要になることに気付く。
これには個人差があるようで、読みやすいという反応もあれば、文字が固定されていないためにむしろ読みづらいという声も。
岩下さんも「想像以上に文章の内容に集中して読むことができ、ひとつひとつの言葉がスッと頭に入ってくるような印象がありました」とする一方、「『読みにくい』と感じる人が一定数いることは、ある程度予測していた」とのこと。
『羅生門』と『注文の多い料理店』はいずれも6,000文字、この中では一番長い『走れメロス』もおよそ1万字程度だ。
実際に読んでみるとわかるが、不慣れなせいもあって、これ以上長くても逆にこの形式で読むと体力が必要になりそう。
選定ではやはり長すぎない作品を前提にしたそうで、「もっと短い作品でもいいかなと思っています」と岩下さん。
いわく、1万字程度の『走れメロス』をピクセルで換算すると、およそ17m相当の長さになったという。
一風変わった読書体験で、自分にとって「どういうものが読みやすいか」という視点を与えてくれるユニークな「一行文庫」。
今後は掲載作品を増やしてみるという構想もあるそうで、「一行文庫」がさらに充実しそうだ。
そんな悩みを解消してくれそうなWeb上の文庫が登場した。その名も「一行文庫」。
サイトでは、長ーーーーーい一行で掲載された小説を読むことができる。
このユニークなサイトを手がけたのは、アートディレクター・デザイナーの岩下智さん。趣味でこんなサイトを作ってみました。「全文を一行で読める本」です。周りの文章を隠すことで本が読みやすくなる「リーディングトラッカー」をヒントに、実験的に作ってみました。この読みやすさは、体験してもらえればわかると思います。ぜひ、ご一読ください。 https://t.co/Sw2vEwG9Ve #本 #読書
— 岩下 智 (@i_Shuttle) June 26, 2020
“全文を一行で読める本”として「一行文庫」をWeb上で公開し、様々な反響を集めている。
「読みやすい」と反応する人もいれば、「逆に読みにくい」という人もいる。中には「文章は読みやすい反面、意味を消化しにくくなる」という人も。
不思議! な読書体験
「一行文庫」に掲載されている作品は、太宰治の名短編『走れメロス』、芥川龍之介の『羅生門』、宮沢賢治の『注文の多い料理店』の3作品。いずれも著作権が切れた、パブリックドメインになっている作品だ。 試しに一度読んでみてほしい。不思議な読書体験ではないだろうか。「一行文庫」を読む 紙に印刷された文字は固定されているため、読者が目線を動かし手でページをめくらなければいけない。
電子書籍の場合でも、デバイスに表示される文字は切り替わるが、文字組みは固定だ(文字サイズを変更しなければ)。
スクロールで読み進めるという意味ではWeb小説を読んでいる体験に近いが、「小説家になろう」や「カクヨム」も基本は横書きだ。
ただし「なろう」はPDFにして縦書きで読む方法があり、「カクヨム」は2018年にビューワーで縦読み設定できるようになった(便利!)がスクロールは横方向であり、縦に長く読むという体験はやはり珍しい。
#一行文庫、言葉がするする頭に入ってくる。 https://t.co/ppzT6ffHoH pic.twitter.com/wjDTTjbj63
— 澤田智洋|世界ゆるスポーツ協会 (@sawadayuru) June 26, 2020
リーディングトラッカーから着想
岩下さんは、「一行文庫」の公開後、noteに「読みやすさとは何か、ということについて。」というエントリーを投稿している。構想のきっかけは、「リーディングトラッカー」という読書補助アイテムだったという。
主に、視野狭窄といった視覚障害を持つ人や、ディスレクシア(読字障害などとも呼ばれる学習障害の状態の一つ)のある人のサポートアイテムだ。 そこから得た「文章を読みにくくしているのは周囲の文字情報なのではないか?」という考えが「一行文庫」の着想に結びついていったという。着想から数日後には、「一行文庫」が完成し、公開したという。
「スクロールしながら読んだ際にゆったりと読めるように、書体や組み方をちょっとだけ工夫しました。あとは、背景色など、できるだけ『文庫本の印象のまま一行になった感じ』を目指しました」(岩下智さん)
自分にとって読みやすいものとは?
特徴としては、読んでいる行以外、左右に隣接する行が存在しないため、目が左右に滑ることがない。しかし奇妙なもので、読み進めていくと、上下にスクロールしながらある程度の長さの文章を読むには、普段とは異なる目線の動きと思考が必要になることに気付く。
これには個人差があるようで、読みやすいという反応もあれば、文字が固定されていないためにむしろ読みづらいという声も。
岩下さんも「想像以上に文章の内容に集中して読むことができ、ひとつひとつの言葉がスッと頭に入ってくるような印象がありました」とする一方、「『読みにくい』と感じる人が一定数いることは、ある程度予測していた」とのこと。
『羅生門』と『注文の多い料理店』はいずれも6,000文字、この中では一番長い『走れメロス』もおよそ1万字程度だ。
実際に読んでみるとわかるが、不慣れなせいもあって、これ以上長くても逆にこの形式で読むと体力が必要になりそう。
選定ではやはり長すぎない作品を前提にしたそうで、「もっと短い作品でもいいかなと思っています」と岩下さん。
いわく、1万字程度の『走れメロス』をピクセルで換算すると、およそ17m相当の長さになったという。
一風変わった読書体験で、自分にとって「どういうものが読みやすいか」という視点を与えてくれるユニークな「一行文庫」。
今後は掲載作品を増やしてみるという構想もあるそうで、「一行文庫」がさらに充実しそうだ。
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