連載 | #8 『ポケットモンスター ソード・シールド』特集

『ポケモン剣盾』が目指すもの 競技と発見、ポケモン新時代の革新

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ストーリー後のポケモンバトルの状況と変化

「ポケットモンスター」シリーズは本来はストーリーを楽しむPRGでありますが、その実「対戦ゲーム」として楽しんでいる人もかなり多いゲームです。ストーリークリア後こそ本番だと思っている人も多いのではないでしょうか。 いまではインターネットでの通信対戦が当たり前となり、ゲーム実況動画も盛んです。ポケモン対戦はプレイしていなくても、対戦動画で知識だけはあるなんて人も多いと噂も耳にします。

ポケモンバトルが強い人はランキング上位者として皆から認められる、まさにe-Sportsとしての楽しみ方が現代におけるポケモンの大きな要素となっています。筆者もポケモン対戦を本格的に楽しんでいる一人です。

今作では、従来の作品よりもポケモン育成がかなり楽になりました。それは近年のシリーズ作品において統一された傾向で、年々ポケモン対戦へのハードルが低くなっています。

簡単に言えば、強いポケモンを準備することがかなり容易となり、また誰でもすぐに使えるレンタルパーティーも充実し、長い時間をかけて強いポケモンを用意しなくても、気軽に対戦が楽しめる環境が整ってきているのです。

持ち物やわざが一線級のレンタルパーティー(画像は公式サイトより引用)

競技人口増加のための工夫も

さらに、今作からネット対戦がレーティングマッチからランクマッチと呼ばれる仕組みに変わっています。

新しくはじめた人はビギナー級、少し勝てるようになればモンスターボール級、その上にスーパーボール級、ハイパーボール級、そして最高峰のマスターボール級と段階を追ってポケモン対戦を楽しめるようになりました。

以前のポケモンのオンラインバトルは、強い人と初心者の格差が凄まじく、は新規プレイヤーは負けてばかりの環境でしたが、今作では同じ強さのプレイヤーと戦って勝ったり負けたりを楽しめる仕組みが整っています。

そして、ポケモンの数を減らしたことは対戦バランスを整備にもつながっており、今作で登場するポケモンの大多数に、対戦で活躍するチャンスが狙えるようなつくりになっていると筆者は感じています。

バタフリー、強いです!

たとえば、以前は誰にも見向きもされなかったバタフリーも、今作では要注意ポケモンとして注目されるようになりました。

「準伝説」と呼ばれる種族値が高い特別なポケモンたちが軒並み使えなくなったことや、特定のポケモンだけに与えられていた前作までの強化システム「メガシンカ」から、どのポケモンでも可能になった「ダイマックス」という変化も、マイナーだったポケモンにとって光となっています。

「ダイマックス」をいつ使うのかは戦況を大きく左右します

また、特定のポケモンだけに与えられていた前作までの強化システム「メガシンカ」から、どのポケモンでも可能になった「ダイマックス」という変化も、マイナーだったポケモンにとって光となっています。

これまでスポットが当たらなかった多くのポケモンが対戦で使われるようになると、競技はさらに盛り上がり、対戦が新鮮なものになるでしょう。

競技としてのポケモン対戦を強く意識させたストーリーだけではなく、競技人口増加のための工夫やバランス調整など対戦ゲームとしても強くe-Sportsを意識しているのではないでしょうか。対戦をしてみたいけど踏み込めなかった方々も、ぜひ今作を期にポケモン対戦をプレイしてみてはいかがでしょうか。

なぜ、僕らはポケモン対戦にハマってしまうのか

筆者のような「ポケモン対戦勢」と呼ばれるプレイヤーは、バトルを勝ち上がるため、たくさんのポケモンを調べたり、強いポケモンを厳選したり、何度も対戦して練習したり──
さまざまな方法で勝率を1%でも上げるため努力しています。

また、上手いプレイヤーの対戦動画を見て、思いもつかない戦い方や強いポケモンの対策法に触れることも、この時代ならではの楽しみ方です。

20年以上もの蓄積があるポケモン。ネット上にある情報量の多さは、他のゲームにはない面白い要素の一つですね。

強いポケモンを厳選する「たまご孵化」

例えば、ポケモン対戦の代名詞として、「たまご孵化」などの厳選作業に勤しむ様子が取り上げられることも多々あるかと思いますが、それはわずか数%でも勝率をあげようとする努力の一つに過ぎません。

個人的には、ポケモンの情報が乗ったサイトを見ながら「このポケモンならあいつに勝てる」「一見不利に見えるけど、このわざを使えば逆転可能だな」なんて模索、研究する時間が何より楽しい時間だったりします。

また、上手いプレイヤーの対戦動画を見て、思いもつかない戦い方や強いポケモンの対策法に触れることも、この時代ならではの楽しみ方です。
最上位ランカー の熱すぎる"読み合い"を見ろ。
たくさんのポケモンの中から、自分が使いたいポケモン、強いと思うポケモンを見つけ出して、そのポケモンが一番輝く戦い方を発見する。その発見が実際の対戦で見事に成功した瞬間こそ、この対戦ゲーム最大の喜びだと筆者は感じています。

たかがゲームですが、みなさんもゲームでの勝ち負けが大きな楽しさ・喜びにつながることは経験があるかと思います。

ポケモンは対戦の準備が大変!なんて話を聞いて尻込みしている人は多いかもしれません。でも、ポケモンのストーリーを遊ぶ中でパーティーを強くすることを「つまらない」と感じる人はほとんど居ないと思います。

ポケモンを捕まえたり、レベルを上げたり、進化させたり。ポケモンの醍醐味は、パーティーを強くして勝ち上がることそのもの。ポケモン対戦は、その楽しさをストーリークリア後も引き続き楽しんでいるだけなのです

その中で、勝ったり負けたりを繰り返して、プレイヤー自身が成長していくのです。

ゲームの序盤で早くもホップは「真理」に気づいています

ホップもこういってますね。君はちょっと負けすぎかもしれないけど。

ポケモンは本来難しいゲームではありません。6匹のポケモンと4つの技。対戦の際、選ぶものはたったそれだけです。そのシンプルさが幅広い年齢層に愛されている理由なのかもしれません。

育てたポケモンはボックスにまとめると便利です

その限られた選択肢を、事前に準備して、模索して──。組み合わせは文字通り無限大です。

もし、ポケモン対戦をやってみたいなと思っている人は、ぜひ強いポケモンを探してみて、強いと思うパーティーを組んでみて、ポケモン対戦をプレイしてください

きっと競技としての、知らなかったポケモンの世界が見えてくるはずです。

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ブロガー

ブログ「けつばんレポート」にて、ポケットモンスターの構築記事をトリプルバトル中心に執筆。「グリーンに学ぶトリプルバトル」「【雑記】ワタルは本当にチート使いなのか?」など、多数の人気記事を更新している。

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『ポケットモンスター ソード・シールド』特集

「ポケットモンスター」シリーズ最新作として、2019年11月15日に全世界一斉発売された『ポケットモンスター ソード・シールド』(通称『ポケモン剣盾』)。 本編シリーズ初のNintendo Switch専用ソフトとなっており、そのコンセプトはプロデューサーの増田順一さん曰く「最強のポケモン」とのこと。 「メガシンカ」「Zワザ」といった前作までの物語と対戦を大いに盛り上げたシステムは「キョダイマックス」として新たに継承され、大迫力の世界観を提示しています。 彩り豊かなポケモンだけでなく、ジムリーダーや主人公らのポケモントレーナーの人気も非常に高い作品に仕上がっています。 老若男女、世界的に愛されている日本発のポップコンテンツ「ポケットモンスター」最新作に、KAI-YOUでも様々な切り口から迫ります。

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