劇場アニメーション作品『HUMAN LOST 人間失格』が絶賛公開中だ。
昭和111年という昭和が終わらなかった日本の近未来が舞台。その表題の通り、太宰治の小説『人間失格』を大胆に翻案。超高度医療社会というSFモチーフを取り入れたディストピア作品として生まれ変わった。
死を克服した社会と、そこで生きる人間の歪みと葛藤を、太宰の思想を受け継ぎながら『シドニアの騎士』や『GODZILLA』などで知られるポリゴン・ピクチュアズが長編3Dアクションとして描く。劇場アニメ『HUMAN LOST 人間失格』本編冒頭7分映像
KAI-YOUでは、制作スタッフへの連続ミニ・インタビューを掲載。監督の木﨑文智さん、アニメーションプロデューサー・森 弘光さん、クリエイティブプロデューサー・橋本太知さんからコメントが到着した。
そのクリエイティブと物語の強度で好評を博している『HUMAN LOST 人間失格』の制作陣は、作品に何を込めたのか。
木﨑文智 最も大変だったのはお話づくりですかね。ここまで豪華な座組みでつまらないものは絶対につくれないと思っていましたので……。
要であるストーリー担当の冲方丁さんがそのうちロスト化するんじゃないかと心配してました。自分も相当ヤバかったですが(笑)。
印象的だったのは、ポリゴン・ピクチュアズの熱量高い優秀なスタッフとの仕事の全ては良き経験でした。 彼らの創り出す、驚愕のクリエイティブ映像がこれからのCGアニメをさらに盛り上げていくんだろうなと感じましたね。
ポリゴン・ピクチュアズでは1人のクリエイターが捌ける工数とスケジュールが徹底管理されています。その場凌ぎで最後は力技でなんとかする作画アニメとは全く違う制作環境でした。
作画で簡単な事がまだ難しかったりとかするCGアニメですが、技術の伸び代は、まだまだ無限だと思います。
──お気に入りのシーンや特に力を入れたシーンやプロダクトはございますか?
木﨑文智 もちろん全シーンに力を入れていますが、個人的には中盤。
厚木が激昂し渋田所長をブン殴る〜渋田が号泣、のシーンが印象深いです。 おっさんの号泣、見るたび感極まってしまうのは僕だけでしょうか(笑)。非常にエモーショナルな部分です。
渋田は娘同然に育てていた美子を、基準合格者たる老人たちに捧げざるを得ない状況に追い込まれ、美子の意思もあり苦渋の決断をしたのですが──中間管理職の悲哀……なんだか監督業している自分と重なるんですよね。
森 弘光 制作会社の窓口として製作委員会とコミュニケーションをとりながら、映像制作の予算やスケジュール管理の統括を行う役割です。
──印象に残った思い出や苦労した事、エピソードがあればお願いします。
森 弘光 コンテができ上がった時に、本当にこれを映像として実現できるのだろうか? と不安になりました。しかし結果的には、チャレンジを諦めずに圧倒的クオリティで仕上げたスタッフ全員に感謝しています。
──お気に入りのシーンや特に力を入れたシーンやプロダクトはございますか?
森 弘光 葉藏と美子が東京タワーでお互いの境遇について話すシーンが、この物語の感情のピークだと思っていたので、2人の涙の流れ方について何度か修正をお願いしました。CGでもここまでの感情表現ができるという事をぜひ劇場で見てもらいたいです。
橋本太知 企画者として、太宰の「人間失格」をダークヒーローものに翻案する提案をしました。
クリエイティブプロデューサーとしてはストーリー・ビジュアルの開発。脚本協力として、冲方さんのシナリオを監督、プロデューサー陣の意向に沿ってリライトする、といったところが仕事でしたね。
──印象に残った思い出や苦労した事、エピソードがあればお願いします。
橋本太知 メインスタッフの皆さんが、皆、口を揃えて「いつ空中分解してもおかしくなかった」と言っている通り、非常に困難なプロジェクトではありました。まず、成立させるために、自分でも確証ない中、必死に旗を振った4年でした。
そんな中で、ビジュアルがストーリーを牽引し、ストーリーがビジュアルを産み出すといった相互干渉が生まれて行き、どちらが先であったのかも定かではない形で作品が立ち上がって行く姿を見れた事がとても印象的で思い出深いです。貴重な体験をさせて貰いました。
──お気に入りのシーンや特に力を入れたシーンやプロダクトはございますか?
橋本太知 信じていた社会に裏切られた美子が、初めてどす黒い感情と共に自分自身の心を発見する。それを葉藏に与えた事で、あのラストが呼び込まれる。自分的に拘ったのは、このあたりですかね。
お気に入りのシーンは、葉藏が美子のポートレートを描く、あの天空のシーンです。あそこが“青空の中”になったのは、唯一、シナリオ時には想定していなかった画だったと思います。ハッとしましたし、一番、好きですね。
昭和111年という昭和が終わらなかった日本の近未来が舞台。その表題の通り、太宰治の小説『人間失格』を大胆に翻案。超高度医療社会というSFモチーフを取り入れたディストピア作品として生まれ変わった。
死を克服した社会と、そこで生きる人間の歪みと葛藤を、太宰の思想を受け継ぎながら『シドニアの騎士』や『GODZILLA』などで知られるポリゴン・ピクチュアズが長編3Dアクションとして描く。
そのクリエイティブと物語の強度で好評を博している『HUMAN LOST 人間失格』の制作陣は、作品に何を込めたのか。
監督・木﨑文智の場合
──印象に残った思い出や苦労した事、エピソードがあればお願いします。木﨑文智 最も大変だったのはお話づくりですかね。ここまで豪華な座組みでつまらないものは絶対につくれないと思っていましたので……。
要であるストーリー担当の冲方丁さんがそのうちロスト化するんじゃないかと心配してました。自分も相当ヤバかったですが(笑)。
印象的だったのは、ポリゴン・ピクチュアズの熱量高い優秀なスタッフとの仕事の全ては良き経験でした。 彼らの創り出す、驚愕のクリエイティブ映像がこれからのCGアニメをさらに盛り上げていくんだろうなと感じましたね。
ポリゴン・ピクチュアズでは1人のクリエイターが捌ける工数とスケジュールが徹底管理されています。その場凌ぎで最後は力技でなんとかする作画アニメとは全く違う制作環境でした。
作画で簡単な事がまだ難しかったりとかするCGアニメですが、技術の伸び代は、まだまだ無限だと思います。
──お気に入りのシーンや特に力を入れたシーンやプロダクトはございますか?
木﨑文智 もちろん全シーンに力を入れていますが、個人的には中盤。
厚木が激昂し渋田所長をブン殴る〜渋田が号泣、のシーンが印象深いです。 おっさんの号泣、見るたび感極まってしまうのは僕だけでしょうか(笑)。非常にエモーショナルな部分です。
渋田は娘同然に育てていた美子を、基準合格者たる老人たちに捧げざるを得ない状況に追い込まれ、美子の意思もあり苦渋の決断をしたのですが──中間管理職の悲哀……なんだか監督業している自分と重なるんですよね。
アニメーションプロデューサー・森 弘光の場合
──本作ではどのような役割をされていましたか?森 弘光 制作会社の窓口として製作委員会とコミュニケーションをとりながら、映像制作の予算やスケジュール管理の統括を行う役割です。
──印象に残った思い出や苦労した事、エピソードがあればお願いします。
森 弘光 コンテができ上がった時に、本当にこれを映像として実現できるのだろうか? と不安になりました。しかし結果的には、チャレンジを諦めずに圧倒的クオリティで仕上げたスタッフ全員に感謝しています。
──お気に入りのシーンや特に力を入れたシーンやプロダクトはございますか?
森 弘光 葉藏と美子が東京タワーでお互いの境遇について話すシーンが、この物語の感情のピークだと思っていたので、2人の涙の流れ方について何度か修正をお願いしました。CGでもここまでの感情表現ができるという事をぜひ劇場で見てもらいたいです。
クリエイティブプロデューサー・橋本太知の場合
──本作ではどのような役割をされていましたか?橋本太知 企画者として、太宰の「人間失格」をダークヒーローものに翻案する提案をしました。
クリエイティブプロデューサーとしてはストーリー・ビジュアルの開発。脚本協力として、冲方さんのシナリオを監督、プロデューサー陣の意向に沿ってリライトする、といったところが仕事でしたね。
──印象に残った思い出や苦労した事、エピソードがあればお願いします。
橋本太知 メインスタッフの皆さんが、皆、口を揃えて「いつ空中分解してもおかしくなかった」と言っている通り、非常に困難なプロジェクトではありました。まず、成立させるために、自分でも確証ない中、必死に旗を振った4年でした。
そんな中で、ビジュアルがストーリーを牽引し、ストーリーがビジュアルを産み出すといった相互干渉が生まれて行き、どちらが先であったのかも定かではない形で作品が立ち上がって行く姿を見れた事がとても印象的で思い出深いです。貴重な体験をさせて貰いました。
──お気に入りのシーンや特に力を入れたシーンやプロダクトはございますか?
橋本太知 信じていた社会に裏切られた美子が、初めてどす黒い感情と共に自分自身の心を発見する。それを葉藏に与えた事で、あのラストが呼び込まれる。自分的に拘ったのは、このあたりですかね。
お気に入りのシーンは、葉藏が美子のポートレートを描く、あの天空のシーンです。あそこが“青空の中”になったのは、唯一、シナリオ時には想定していなかった画だったと思います。ハッとしましたし、一番、好きですね。
現代に受け継がれる太宰イズムの秘密
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