2005年8月にスタートし、今年で15年目を迎える「東京ガールズコレクション」(以下、TGC)。毎回3万人以上の来場者数を記録する人気のファッションイベントは、国内外で行われるアート性の強いショーとは一線を画し、若年層の女性たちが「日常で楽しめるオシャレ」にアプローチしてきた。
それと同時に、TGCが力を入れているのが、女性たちの夢を応援すること。これまでに「Miss TGC」や「TOKYO GIRLS AUDITION」といったイベントに連動した大型オーディションを開催し、菜々緒さんや野崎萌香さんなど、錚々たる顔ぶれを輩出してきた。
そんなTGCが、2020年に開催される「TGC 2020 S/S」を前に、史上最大級のオーディション「DUO presents TGC AUDITION 2020」を行う。 このオーディションには大手芸能プロダクション8社が参画し、ファイナリスト全員のプロダクション所属を約束。また、ファッション誌や人気番組への出演など、豪華な副賞も設けられている。
そして、何よりも目玉となるのが、ライブ配信サービス「LINE LIVE」からエントリーが可能なことだ。SNS全盛期の現代において、ライブ配信サービスとタッグを組んだ狙いとは。TGCが目指す未来について、TGC実行委員会のプロデューサー・天ヶ谷泉紀さんに話を聞いた。
取材・文:五十嵐 大 撮影:宮本七生 編集:園田もなか
天ヶ谷泉紀さんによれば、そのなかでもいま一番力を入れているのが、TGCによる「地方創生プロジェクト」だ。
天ヶ谷「TGCというプラットフォームを使って、地元の名産品やグルメ、観光などがPRできるよう、各地方自治体と手を組んで盛り上げてきました。実行委員会として感じているのは、地方と都内とで圧倒的な体験格差が生まれていること。
ネットの発達により、地元にファッションビルがなくても、すぐに買い物はできるようになりましたよね。でも、体験はできない。だからこそ、TGCを地方で開催することによって、都内の子たちと同じように、モデルを目の当たりにするという体験を提供できているかなと思うんです」
そこで一役買っているのが「LINE LIVE」だ。動画配信サービスの代表格とも言えるYouTubeをはじめ、FacebookやTwitter、Instagramなども続々とライブ配信機能を備えるようになった。それはコミュニケーションアプリであるLINEも同様だ。
その盛り上がりは想像以上で、なかにはリスナーたちから数十万ポイントを集める人気ライバー(配信者)も存在している。現代の若者たちの間には、LINE LIVEもひとつのプラットフォームとして根付いているのだ。
天ヶ谷「イベントの様子を配信すると、視聴者数が100万人を超えるんです。しかも、全国にいるTGCファンの子たちとイベントの楽しさを共有できるだけではなく、コメント機能を使って、いまの女の子たちのリアルな声をすくい上げることもできる。そのフィードバックを次回のイベントに活かすなど、双方向のコミュニケーションがとても良い循環を生んでいるように感じますね」
この“双方向性”は、今回開催されるオーディション「DUO presents TGC AUDITION 2020」でも重視される点だ。
天ヶ谷「LINE LIVEからのエントリーを取り入れたことにより、これまで以上に個性的な子たちを発掘できるのではないかと考えています。昔と違って、いまは支持されるモデルの像も多様化しているんです。単純にスタイルがいい、顔がかわいい、だけではなく、親しみやすさやが人気の理由になる子もいます。LINE LIVEであれば、そういう部分も見極めることができる。
等身大の自分をリアルに表現していたり、毎日配信して頑張っている姿を見せたり、あるいはコンプレックスをさらけ出して共感を集めたりする子もいるでしょう。いったいどんな子たちが発掘できるのか、実行委員会としてもワクワクしてるんですよ」
しかし、「正直、どんな子が人気になるかまったく読めないんです」と天ヶ谷さんは笑う。
天ヶ谷「TGCではモデル、タレント、アーティスト、芸人など、さまざまな方たちを起用してきましたが、最近はYouTuberの方たちにも登場していただいています。彼(彼女)らって、実行委員会も驚くくらいの人気と知名度で。そんなYouTuberのように、これからの時代、何をきっかけに人気者になれるのかは誰にも読めないと思うんです。
だからこそ、それが楽しみ。SNSがどんどん増えている現代に、どんな方法でスターが登場するのか。ファンの子たちと一緒に見届けたいと思っています」 確かに、SNSの爆発的な広がりにより、既存の形にとらわれずデビューする子たちが増えた。YouTuberはその好例であり、今後も世に誕生するSNSの数だけ、新しいタイプのスターが登場するのだろう。
たとえば、彼・彼女らを「ソーシャルモデル」と呼ぶのであれば、その意識の向く先にあるのは「ファン」だ。
芸能プロダクションに所属し、いくつものオーディションを受け、晴れてデビューを飾る──彼らにはその意識が薄い。求めているのは、あくまでも「ファンが喜ぶかどうか」。結果、ファンを多く獲得した人たちが、これまでになかったルートを辿って世に羽ばたいているのだ。
天ヶ谷「ライブ配信では順位がつけられてしまうので、狭き門ではあるんですが、それでも自分の夢に向かって頑張っている子は応援したい。今回は副賞をたくさん設けているので、モデルに限らず、さまざまな出口を目指していただければと思います」
天ヶ谷「審査をしていて、やっぱり印象に残るのは“自分を持っている子”なんです。かわいい子はたくさんいますが、それだけでは『かわいいよね』で終わってしまう。そうではなくて、ちょっとした個性や癖がある子の方が印象に残ります。
これまでに開催したなかだと、三次審査を通過した子たちが受けられるドラフト会議で、カップソング(コップを使いリズムに合わせて歌うリズムゲーム)を披露した子がいました。審査員の目が光るなか、堂々とカップダンスを見せてくれて、会場は『この子、すごい度胸だね』とざわつきました(笑)。モデルのオーディションとなると、どうしてもみんな、ダンスや身体の柔らかさを披露しがちなんです。もちろん、それも素晴らしい特技ではあります。
でも、オーディションで好かれる特技や定番の特技を披露しようと計算するよりも、本当に自信があるものを見せてくれたほうがありがたい。空気なんて読む必要なくって、自分にできることを見せてもらいたいんです」 また、今回はジャンルの枠も絞っていないという。
天ヶ谷「TGCのオーディション=モデルのオーディションと捉えられてしまうと思いますが、今回はそこまで具体的に絞り込んでいません。いまはモデルをしながら女優やタレントとして活躍する人たちが珍しくないので、実行委員会も『こういうモデルが欲しい』と決めつけていないんです。
むしろ、こちらの意表をつくような方が現れてくれるのが楽しみでもあって。今回のオーディションに参画する芸能プロダクションのなかには、YouTuberに特化している事務所もあります。モデルをしながらYouTuberとしても活動している人もいるので、少しでも興味があれば応募していただきたいと思っています」 そして天ヶ谷さんは「オーディション出身者の活躍を見守りたい」と目を細める。
天ヶ谷「個人的には、このオーディションで発掘した子たちが芸能プロダクションに所属して、そこから活躍していく姿を見るのが一番楽しみなんです。歴代のTGC出身者にも第一線で活躍する人たちが少なくないですし、いまでもTGCに出演してくださっている人たちもいます。
気になった子はSNSをフォローしてその後を追いかけちゃうんですけど、まるで親心みたいですよね(笑)。次世代の子たちの憧れとなるような子たちが誕生してくれれば、本望ですし。まずは二次審査で直接お会いできるのを心待ちにしているので、ぜひ気軽にエントリーしていただければと思います!」
既存の形にとらわれず活躍する若い子たちが多い現代。その流れを受け、TGCは彼女たちの発掘方法もアップデートしている。
果たして、どんな令和時代のスターが生まれるのか。いよいよ始まる「DUO presents TGC AUDITION 2020」の行方が、いまから楽しみで仕方ない。
「DUO presents TGC AUDITION 2020」をもっと知る
それと同時に、TGCが力を入れているのが、女性たちの夢を応援すること。これまでに「Miss TGC」や「TOKYO GIRLS AUDITION」といったイベントに連動した大型オーディションを開催し、菜々緒さんや野崎萌香さんなど、錚々たる顔ぶれを輩出してきた。
そんなTGCが、2020年に開催される「TGC 2020 S/S」を前に、史上最大級のオーディション「DUO presents TGC AUDITION 2020」を行う。 このオーディションには大手芸能プロダクション8社が参画し、ファイナリスト全員のプロダクション所属を約束。また、ファッション誌や人気番組への出演など、豪華な副賞も設けられている。
そして、何よりも目玉となるのが、ライブ配信サービス「LINE LIVE」からエントリーが可能なことだ。SNS全盛期の現代において、ライブ配信サービスとタッグを組んだ狙いとは。TGCが目指す未来について、TGC実行委員会のプロデューサー・天ヶ谷泉紀さんに話を聞いた。
取材・文:五十嵐 大 撮影:宮本七生 編集:園田もなか
LINE LIVEで新しい才能を発掘したい
いまやひとつのブランドとなった“TGC”。その知名度を活かし、これまでに「TGC Night」「TGC CAMPUS」「TGC teen」などさまざまな派生イベントを展開してきた。天ヶ谷泉紀さんによれば、そのなかでもいま一番力を入れているのが、TGCによる「地方創生プロジェクト」だ。
天ヶ谷「TGCというプラットフォームを使って、地元の名産品やグルメ、観光などがPRできるよう、各地方自治体と手を組んで盛り上げてきました。実行委員会として感じているのは、地方と都内とで圧倒的な体験格差が生まれていること。
ネットの発達により、地元にファッションビルがなくても、すぐに買い物はできるようになりましたよね。でも、体験はできない。だからこそ、TGCを地方で開催することによって、都内の子たちと同じように、モデルを目の当たりにするという体験を提供できているかなと思うんです」
そこで一役買っているのが「LINE LIVE」だ。動画配信サービスの代表格とも言えるYouTubeをはじめ、FacebookやTwitter、Instagramなども続々とライブ配信機能を備えるようになった。それはコミュニケーションアプリであるLINEも同様だ。
その盛り上がりは想像以上で、なかにはリスナーたちから数十万ポイントを集める人気ライバー(配信者)も存在している。現代の若者たちの間には、LINE LIVEもひとつのプラットフォームとして根付いているのだ。
SNSでモデルの「個性」も発掘
TGCではそんなLINE LIVEとのコラボを2016年から実現。イベント当日の様子を、誰がどこにいても観られるようになっている。天ヶ谷「イベントの様子を配信すると、視聴者数が100万人を超えるんです。しかも、全国にいるTGCファンの子たちとイベントの楽しさを共有できるだけではなく、コメント機能を使って、いまの女の子たちのリアルな声をすくい上げることもできる。そのフィードバックを次回のイベントに活かすなど、双方向のコミュニケーションがとても良い循環を生んでいるように感じますね」
この“双方向性”は、今回開催されるオーディション「DUO presents TGC AUDITION 2020」でも重視される点だ。
天ヶ谷「LINE LIVEからのエントリーを取り入れたことにより、これまで以上に個性的な子たちを発掘できるのではないかと考えています。昔と違って、いまは支持されるモデルの像も多様化しているんです。単純にスタイルがいい、顔がかわいい、だけではなく、親しみやすさやが人気の理由になる子もいます。LINE LIVEであれば、そういう部分も見極めることができる。
等身大の自分をリアルに表現していたり、毎日配信して頑張っている姿を見せたり、あるいはコンプレックスをさらけ出して共感を集めたりする子もいるでしょう。いったいどんな子たちが発掘できるのか、実行委員会としてもワクワクしてるんですよ」
事務所ではなく「ファン」を見据えるソーシャルモデル
今回のオーディションでは「令和時代のスター発掘プロジェクト」と謳われている。求めるのは、新時代のスター候補だ。しかし、「正直、どんな子が人気になるかまったく読めないんです」と天ヶ谷さんは笑う。
天ヶ谷「TGCではモデル、タレント、アーティスト、芸人など、さまざまな方たちを起用してきましたが、最近はYouTuberの方たちにも登場していただいています。彼(彼女)らって、実行委員会も驚くくらいの人気と知名度で。そんなYouTuberのように、これからの時代、何をきっかけに人気者になれるのかは誰にも読めないと思うんです。
だからこそ、それが楽しみ。SNSがどんどん増えている現代に、どんな方法でスターが登場するのか。ファンの子たちと一緒に見届けたいと思っています」 確かに、SNSの爆発的な広がりにより、既存の形にとらわれずデビューする子たちが増えた。YouTuberはその好例であり、今後も世に誕生するSNSの数だけ、新しいタイプのスターが登場するのだろう。
たとえば、彼・彼女らを「ソーシャルモデル」と呼ぶのであれば、その意識の向く先にあるのは「ファン」だ。
芸能プロダクションに所属し、いくつものオーディションを受け、晴れてデビューを飾る──彼らにはその意識が薄い。求めているのは、あくまでも「ファンが喜ぶかどうか」。結果、ファンを多く獲得した人たちが、これまでになかったルートを辿って世に羽ばたいているのだ。
天ヶ谷「ライブ配信では順位がつけられてしまうので、狭き門ではあるんですが、それでも自分の夢に向かって頑張っている子は応援したい。今回は副賞をたくさん設けているので、モデルに限らず、さまざまな出口を目指していただければと思います」
プラットフォームの増加にあわせ発掘方法もアップデート
プラットフォームの多様化がもたらしたのは、チャンスの広がりだ。ただし、個性を活かせる場が増えた反面、他の人に埋もれてしまう危険性もある。天ヶ谷「審査をしていて、やっぱり印象に残るのは“自分を持っている子”なんです。かわいい子はたくさんいますが、それだけでは『かわいいよね』で終わってしまう。そうではなくて、ちょっとした個性や癖がある子の方が印象に残ります。
これまでに開催したなかだと、三次審査を通過した子たちが受けられるドラフト会議で、カップソング(コップを使いリズムに合わせて歌うリズムゲーム)を披露した子がいました。審査員の目が光るなか、堂々とカップダンスを見せてくれて、会場は『この子、すごい度胸だね』とざわつきました(笑)。モデルのオーディションとなると、どうしてもみんな、ダンスや身体の柔らかさを披露しがちなんです。もちろん、それも素晴らしい特技ではあります。
でも、オーディションで好かれる特技や定番の特技を披露しようと計算するよりも、本当に自信があるものを見せてくれたほうがありがたい。空気なんて読む必要なくって、自分にできることを見せてもらいたいんです」 また、今回はジャンルの枠も絞っていないという。
天ヶ谷「TGCのオーディション=モデルのオーディションと捉えられてしまうと思いますが、今回はそこまで具体的に絞り込んでいません。いまはモデルをしながら女優やタレントとして活躍する人たちが珍しくないので、実行委員会も『こういうモデルが欲しい』と決めつけていないんです。
むしろ、こちらの意表をつくような方が現れてくれるのが楽しみでもあって。今回のオーディションに参画する芸能プロダクションのなかには、YouTuberに特化している事務所もあります。モデルをしながらYouTuberとしても活動している人もいるので、少しでも興味があれば応募していただきたいと思っています」 そして天ヶ谷さんは「オーディション出身者の活躍を見守りたい」と目を細める。
天ヶ谷「個人的には、このオーディションで発掘した子たちが芸能プロダクションに所属して、そこから活躍していく姿を見るのが一番楽しみなんです。歴代のTGC出身者にも第一線で活躍する人たちが少なくないですし、いまでもTGCに出演してくださっている人たちもいます。
気になった子はSNSをフォローしてその後を追いかけちゃうんですけど、まるで親心みたいですよね(笑)。次世代の子たちの憧れとなるような子たちが誕生してくれれば、本望ですし。まずは二次審査で直接お会いできるのを心待ちにしているので、ぜひ気軽にエントリーしていただければと思います!」
既存の形にとらわれず活躍する若い子たちが多い現代。その流れを受け、TGCは彼女たちの発掘方法もアップデートしている。
果たして、どんな令和時代のスターが生まれるのか。いよいよ始まる「DUO presents TGC AUDITION 2020」の行方が、いまから楽しみで仕方ない。
「DUO presents TGC AUDITION 2020」をもっと知る
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天ヶ谷泉紀
東京ガールズコレクション プロデューサー
株式会社W TOKYO
ソリューション事業局
ソリューション第1Gr.プロデューサー
東京ガールズコレクション実行委員会
五十嵐
ライター
1983年生まれ。雑誌、WEBを問わずに執筆中。マンガ、アニメ、ゲームが好きです。
Miyamoto
カメラマン
1986年生。
東京近郊を中心にスチール撮影をしております。
Twitter @miyamo1073
http://miyamotonanami-view.com/
園田もなか
編集
1991年生。Twitter:@osono__na7
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