10月14日(月・祝)まで愛知県の名古屋市と豊田市で開催されている「あいちトリエンナーレ2019」を巡っては、9月26日に文化庁が補助金の交付中止を決めたことが大きな物議を醸している。
文化庁はこの声明で改めて、会場の安全と事業の円滑な運営を守る上で重要な事実を報告していなかったことが、補助金の交付中止の大きな理由になったとしている。
声明の全文
「あいちトリエンナーレ」における国際現代美術展開催事業については,文化庁の「文化資源活用推進事業」の補助金審査の結果,文化庁として下記のとおりとすることといたしました。
記
補助金適正化法第6条等に基づき,全額不交付とする。
【理由】
補助金申請者である愛知県は,展覧会の開催に当たり,来場者を含め展示会場の安全や事業の円滑な運営を脅かすような重大な事実を認識していたにもかかわらず,それらの事実を申告することなく採択の決定通知を受領した上,補助金交付申請書を提出し,その後の審査段階においても,文化庁から問合せを受けるまでそれらの事実を申告しませんでした。
これにより,審査の視点において重要な点である,[1]実現可能な内容になっているか,[2]事業の継続が見込まれるか,の2点において,文化庁として適正な審査を行うことができませんでした。
かかる行為は,補助事業の申請手続において,不適当な行為であったと評価しました。
また,「文化資源活用推進事業」では,申請された事業は事業全体として審査するものであり,さらに,当該事業については,申請金額も同事業全体として不可分一体な申請がなされています。
これらを総合的に判断し,補助金適正化法第6条等により補助金は全額不交付とします。文化庁「あいちトリエンナーレに対する補助金の取扱いについて」より
開催直後から賛否両論
「あいちトリエンナーレ2019」が大きな話題になったのは、同イベントのなかで行われていた企画展「表現の不自由展・その後」についての賛否両論によるところが大きい。同企画展はその内容に対して抗議が殺到し、脅迫まで寄せられる事態となり、公開から3日目の8月3日に展示の中止が決まった。
この対応を巡って官民問わず議論に発展。政治家から文化人、開催側を含めた一般市民の間でも意見が対立。各メディアもそれぞれの論陣を張るなど、様々な主張がここ1ヶ月の間に入り乱れていた。
また、9月25日に「表現の不自由展・その後」について、愛知県の大村秀章知事が再開する方針を表明した直後に文化庁が補助金の交付中止を発表したこととなる。
加えて、補助金の交付中止を受けて、愛知県の大村秀章知事は26日、国に対して法的措置を取ることを表明したことも明らかとなり、再び大きな注目を集め始めている。
今後考えていきたいトピック
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