──コンテンツが大事という点では、Twitter上でかわんご(@kawango38)さんを中心に、日本サービスにおけるプラットフォームとコンテンツのあり様を巡って昨年議論がなされていました。
そこでは主に「ニコニコ動画」(現「niconico」)について言及されていて、かわんごさんは、「アメリカであればプラットフォームだけを用意して、コンテンツはユーザーに任せるというビジネスモデルで成功できるのはアメリカだけで、日本ではプラットフォームもコンテンツも自分たちでつくっていかなければ勝てない」と仰っていました。
亀井 YouTubeもここまで盛り上がったのは、オリジナルで良質なコンテンツが投稿された結果ではなくて、違法動画が最初期にアップされていってユーザーが集まったからでしょう──今それは裁判沙汰にもなっていますが。ただ、それがサービスの認知をあげていったという事実も確かにある。だから、ユーザーになにかをしてもらうというハードルの高さは、日本も海外も変わらない気がしています。Pinterestでも、結局、自分たちで時間をかけて頑張っているんですよね。クオリティの高い写真を運営側がフックアップし、規約違反のものはすぐに削除したりして何とか一定の水準を保持している。何もしなければ、やっぱり荒れてしまうでしょう。クオリティをどのように守るのかについては、プラットフォームの運営とは切っても切り離せない課題です。
──日本と海外のコンテンツ産業には特に違いはないということでしょうか?
亀井 作品を生み出す、特にマッシュアップする能力は日本の方が絶対に得意のはずです。ぐちゃぐちゃのカオスの中でたまにプロの仕業のような作品が生まれて、「ニコ動クオリティ」と呼ばれています。検索してもなかなか辿り着けなくて、どっぷりそのコミュニティに浸かっていない限り、誰かがつくったまとめで偶然発見するしかない。だから、埋もれている良いモノを発見し、全体のクオリティを守って底上げするためにも、運営なり第三者なりが介在するしかないと思います。
──それは文脈依存という意味合いもあると思いますが、日本のカルチャーを海外に持ち込む難しさの一つに、ハイコンテクスト性(文脈依存の高さ)が指摘されることがあります。
亀井 そうですね、例えば女性アイドルグループが日本では大流行りしていますが、それを欧米に持ち込むことはまず不可能なんじゃないかと思っています。「頑張ってるから応援したい」「育てている感覚が大事」というのは感覚としてやはり振り切れすぎていて、理解できない人には全く理解できないでしょうから。アジアでは日本文化が受け入れられる土壌ができつつありますが、例えば北米では萌えアニメ等は人気が出ないという話もある。でもそれは、どういう風に魅力を説明するかという話でもあって、海外では当たり前なのにいまだに日本では根付かないキュレーション文化が、溝を生んでいるという側面もあるのかもしれません。Tokyo Otaku ModeのFacebookページは元々そのためのメディアだったので、海外に対して日本カルチャーのキュレーションを担っていくという点は最初からブレていません。
Tokyo Otaku Modeも、一見ぐちゃぐちゃしているけれど、決して粗悪なもので構成されているわけではない。それはすごくこだわっています。「オタク=萌え」ではなくて、オタクにしか出せないスタイリッシュさがあって、海外向けにはそれは大事だと思っています。Webサービスってどんなことをしても、結局は類似サービスがすぐに出てくるものです。その中からユーザーに選んでもらうには、単純に優れたUIではなく、大きな意味でのブランドが必要になります。「Yahoo!が好き」「Googleが好き」と言う人に、なんで好きなのか聞いても、ほとんどの人は答えられない。でも、僕らもそういう風にならないといけないと考えています。 まだ法人化して1年しか経っていないので、ビジネスモデルも何となく出来始めている段階です。本当に手探りで試さなくちゃいけないと思っていて、現状、僕らはコンテンツを生み出すことはできませんが、いずれはつくれるような方向で動いていきたい。今は試験的に登録制で「Shop」を運営していますが、ECサイトという側面も視野に入れています。「Tokyo Otaku Mode」というブランドで何か商品をアウトプットして、既存の流通以外の経路を確立することは、クリエイターさんの利益にも繋がる。僕らは体力があるわけではないので、高速でひたすら失敗を繰り返してでも、早く成功する道筋を見つけないといけないと考えています。
そこでは主に「ニコニコ動画」(現「niconico」)について言及されていて、かわんごさんは、「アメリカであればプラットフォームだけを用意して、コンテンツはユーザーに任せるというビジネスモデルで成功できるのはアメリカだけで、日本ではプラットフォームもコンテンツも自分たちでつくっていかなければ勝てない」と仰っていました。
亀井 YouTubeもここまで盛り上がったのは、オリジナルで良質なコンテンツが投稿された結果ではなくて、違法動画が最初期にアップされていってユーザーが集まったからでしょう──今それは裁判沙汰にもなっていますが。ただ、それがサービスの認知をあげていったという事実も確かにある。だから、ユーザーになにかをしてもらうというハードルの高さは、日本も海外も変わらない気がしています。Pinterestでも、結局、自分たちで時間をかけて頑張っているんですよね。クオリティの高い写真を運営側がフックアップし、規約違反のものはすぐに削除したりして何とか一定の水準を保持している。何もしなければ、やっぱり荒れてしまうでしょう。クオリティをどのように守るのかについては、プラットフォームの運営とは切っても切り離せない課題です。
──日本と海外のコンテンツ産業には特に違いはないということでしょうか?
亀井 作品を生み出す、特にマッシュアップする能力は日本の方が絶対に得意のはずです。ぐちゃぐちゃのカオスの中でたまにプロの仕業のような作品が生まれて、「ニコ動クオリティ」と呼ばれています。検索してもなかなか辿り着けなくて、どっぷりそのコミュニティに浸かっていない限り、誰かがつくったまとめで偶然発見するしかない。だから、埋もれている良いモノを発見し、全体のクオリティを守って底上げするためにも、運営なり第三者なりが介在するしかないと思います。
──それは文脈依存という意味合いもあると思いますが、日本のカルチャーを海外に持ち込む難しさの一つに、ハイコンテクスト性(文脈依存の高さ)が指摘されることがあります。
亀井 そうですね、例えば女性アイドルグループが日本では大流行りしていますが、それを欧米に持ち込むことはまず不可能なんじゃないかと思っています。「頑張ってるから応援したい」「育てている感覚が大事」というのは感覚としてやはり振り切れすぎていて、理解できない人には全く理解できないでしょうから。アジアでは日本文化が受け入れられる土壌ができつつありますが、例えば北米では萌えアニメ等は人気が出ないという話もある。でもそれは、どういう風に魅力を説明するかという話でもあって、海外では当たり前なのにいまだに日本では根付かないキュレーション文化が、溝を生んでいるという側面もあるのかもしれません。Tokyo Otaku ModeのFacebookページは元々そのためのメディアだったので、海外に対して日本カルチャーのキュレーションを担っていくという点は最初からブレていません。
Tokyo Otaku Modeも、一見ぐちゃぐちゃしているけれど、決して粗悪なもので構成されているわけではない。それはすごくこだわっています。「オタク=萌え」ではなくて、オタクにしか出せないスタイリッシュさがあって、海外向けにはそれは大事だと思っています。Webサービスってどんなことをしても、結局は類似サービスがすぐに出てくるものです。その中からユーザーに選んでもらうには、単純に優れたUIではなく、大きな意味でのブランドが必要になります。「Yahoo!が好き」「Googleが好き」と言う人に、なんで好きなのか聞いても、ほとんどの人は答えられない。でも、僕らもそういう風にならないといけないと考えています。 まだ法人化して1年しか経っていないので、ビジネスモデルも何となく出来始めている段階です。本当に手探りで試さなくちゃいけないと思っていて、現状、僕らはコンテンツを生み出すことはできませんが、いずれはつくれるような方向で動いていきたい。今は試験的に登録制で「Shop」を運営していますが、ECサイトという側面も視野に入れています。「Tokyo Otaku Mode」というブランドで何か商品をアウトプットして、既存の流通以外の経路を確立することは、クリエイターさんの利益にも繋がる。僕らは体力があるわけではないので、高速でひたすら失敗を繰り返してでも、早く成功する道筋を見つけないといけないと考えています。
亀井 智英 // (かめい ともひで)
Tokyo Otaku Mode Inc. 共同創業者/CEO
大学卒業後、2002年2月サイバー・コミュニケーションズ新卒入社。2004年1月からNTTアド出向、2008年1月からCGMマーケティング/デジタルガレージ出向、CGMメディア立ち上げ広告担当、Twitter日本進出広告展開を推進、2009年4月から電通デジタルビジネス局出向ソーシャルメディア担当を歴任。2012年4月、Tokyo Otaku Mode Inc.を米国デラウェア州にて創業。同月、米国シードアクセレーター500 startups プログラムBatch4に参加。@tomohidekamei
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