解雇・セクハラ・暴言などなど、毎日のようにSNSでプチ炎上を見かけるライブアイドル界。その中でも近年“大炎上”を起こしたグループといえば、THE BANANA MONKEYS、通称ばなもん。
2017年11月、「渋谷で一般人を掴まえてラップごしにキス」という動画を配信、たいていの珍事には慣れっ子の地下アイドルファンもこれには目を丸くし、たちまち炎上。
その後もラブホテルでのオフ会に、今年3月に公開した1st MV「歯磨き」では樹海に行ったり身体に塗ったチョコをファンに食べてもらったりと、火だるま上等な話題をつくりつつも、4人がフロアを沸かす楽曲とライブは初見のアイドルファンもつい引き込まれる熱さ。
そんな「後ろ指さされる不良だけど、雨の日に子猫拾ったりする実はいい人」的な効果も相まって、ばなもん人気はただ今上昇中。
その勢いに乗って、9月には恵比寿リキッドルームでワンマンという大勝負なライブも発表。そこに向けて6月28日、YouTubeで公開された新曲が「今を生きろ。」。メンバーの天下のちゃんゆきによる歌詞と、ゆるめるモ!の曲でも知られる作曲家・M87による楽曲がハマったエモロックチューンだ。【MV】THE BANANA MONKEYS - 「今を生きろ。」
しかし、ばなもんがフツーのMVをつくるわけがない。ゲスト出演に招いたのは“炎上の神”と呼ぶにふさわしい男・田代まさし! しかも刑務所で“しゃぶしゃぶ”を給仕させたり、カメラを持って4人を撮らせる“盗撮”を彷彿とさせるシーンありと、「よくここまでOKさせたな……」と田代さんの寛容さに涙する内容。
続けて、田代さんを講師に迎えて「薬物の恐ろしさ」を説くという、TVバラエティ「しくじり先生 俺みたいになるな!!」をパロディしたスペシャル動画も公開。やらかし先生〜やらかし人生から学ぼう〜
今回は、そんな“炎上コラボ”を果たした、田代まさしさんとばなもんのメンバー4人による対談。「今を生きろ。」のMV撮影を振り返りつつ、もはやアイドル界・芸能界にとって避けては通れない“炎上”について語る。
取材・文・構成:大坪ケムタ 写真:山下智也 編集:須賀原みち
田代まさし(以下、田代) まず調べてみたら「なんか炎上してる、キスとかまずいだろ!」って思ったよね! 今はこっちも、絡む相手選びには慎重になってるんだから(笑)。
でも、MVの内容を聞いて、監督も「薬物のヤバさとかを真剣に伝えたいんだ」って言ってたんで、「じゃあやりましょう」って。 ──実際、THE BANANA MONKEYSの4人に会ってどう思われました? それこそ、田代さんは80年代のテレビに出てたアイドルなんかも見てきてるわけですけど。
田代 正直、もっとチャランポランでゆるいんじゃないかと思ってたんだよね。でも振り付けとか作詞も自分たちでやってたりして、思ってた以上にしっかりしてた。
天下のちゃんゆき 嬉しい……。
田代 昔のアイドルのほうがゆるいもん。名前までは言えないけどさ、いきなり志村けんさんに「ねえ、シムケ~ン!」って言うヤツとかいたんだから! 初対面でそれはダメだろ、って。
それに比べれば、礼儀とかちゃんとしてるしね。曲もけっこう耳に残るしさ。
──じゃあ、ばなもんの4人は田代さんのことは……。
田代 お前ら、俺のこと知らなかっただろ。 天下のちゃんゆき あ~、まったく知らなかったです……。
──正直!
豊臣カリン でも、お父さんとかママは知ってて、「田代さんと共演」と聞いてめっちゃびっくりしてました!
田代 でも、お父さんとお母さんはどういう意味で驚いたんだろうね?(笑)
豊臣カリン ママは「すごいね! 写真とか撮ってもらった?」って聞いてきて、一緒に撮ってもらった写真を見せたら感動してました!
モズク・サン わたしは前から昔の音楽を聞くのが好きで、「め組のひと」(田代が以前所属していたラッツ&スターの曲)とかを振りコピで踊ってたんですよ。最初は、「め組のひと」を歌ってる方だと知らなかったんで、あとで本人と知ってびっくりして、YouTubeを見直しました!
田代 曲を知ってくれてるのは嬉しいよね。(「め組のひと」は)倖田來未ちゃんとかがカバーしてるから、意外と知られてんのよ。
天下のちゃんゆき 撮影前はもっとカタいおじさんかと思ってて、緊張してました。
モズク・サン たしかに!
天下のちゃんゆき でも、収録では最初に「しくじり先生」のパロディ動画を撮ったんですけど、田代さんの昔の話を聞いて、「めっちゃヤベーやつ来たな!」って(笑)。
田代 “ヤベーやつ”で悪かったな!
でも昔、山本太郎(現参議院議員)から「田代さんって面白いんですけど、目が笑ってないんですよね。ヒットマン(殺し屋)の目なんですよ」ってよく言われてた(笑)。
豊臣カリン でも実際は、カメラが回っていない時も笑わせてくれて、優しかったです!
天下のちゃんゆき 面会室で田代さんと向かい合って歌うシーンがあったんですけど、何回やっても田代さんの顔見るとどうしても笑っちゃって……。
田代 (机をバン!と叩いて)うるさいよ! お前な~、人を笑顔にさせるのも大変なんだぞ。怒らせるのは簡単だけど!
天下のちゃんゆき 刑務所での面会とか人生であまり経験しないので、貴重な体験をさせてもらいました。
モズク・サン ためになりました! 刑務所とかまだ入ったことないから。
田代 当たり前だろ! おまえ、教えてあげるけど、捕まってすぐの人は面会禁止になったりするんだぞ。そういうのを“接見禁止”っていうんだよ。
それを聞いて、うちの妹がボディソープを差し入れしてきたの。「だって、“せっけん”禁止なんでしょ?」って。「その“石鹸”じゃないから!」って返したけど。
メンバー全員 アハハハ! モズク・サン 「今を生きろ。」はもともとの振り付けがあったんですけど、田代さんが撮影中に「こう踊ったらいいんじゃない?」って提案してくれて、一緒に踊りの練習をしながら踊ったんですよ。だから、田代さんが考えてくれて、いつものばなもんっぽくない振り付けがあるんで、そこに注目してほしいです。
田代 昔とった杵柄(きねづか)でね。
──ラッツ&スターは田代さんが振り付けしてたんですか?
田代 僕がやってました。最初は偉い先生に頼もうって話だったんですよ。ピンク・レディーの曲を担当してた人とか。
でも、俺たちは黒人音楽だから、グルーヴが歌謡曲と違うんですよ。それでリーダーが「田代がやったほうがよくね?」って言って、僕が振り付けをやってたんです。
──じゃあ、ばなもんの曲に田代まさしテイストが刻み込まれたんですね。
豊臣カリン でも、MVだとマイク持ってなかったから踊れた振り付けが、マイク持つと出来なかったりして……。
田代 そうか! マイクのことまで考えてなかったな。じゃあ今度は、マイクを持ったバージョンの振り付けも考えよう。
モズク・サン ホントですか! お願いします!!
田代 最初にその話を聞いた時は、「えらい人にやらされてんだろな~」って思ったよね(笑)。こうやって売ろうとしてんだなあって。最初に「こういう企画をやるから」って言われた時、キミらはどう思ったの?
天下のちゃんゆき 特に……なんにも思わなかったです。
田代 そうなんだ(笑)。
天下のちゃんゆき 実際に企画を始めてみたら、もう全力でやって「盛り上げるぞ!」って感じだったので、何も考えてなかったですね。
モズク・サン ラップごしにキスをするという企画は、ばなもんメンバーが2対2に分かれてのチーム対抗戦だったんで、「あっちのチームには負けられない! 勝ってやる!」って気持ちばっかりで(笑)。
田代 みんなマジメなんだな。でも、良きにしろ悪きにしろ、そのおかげで話題になった。何にも言われないよりは、炎上したほうがいいんだから。
マザー・テレサの言葉で「愛情の裏返しは憎しみではありません、無関心です」って言葉があってさ。
メンバー全員 おお~!
田代 炎上してるってことは、お前らに気があるんだよ。文句言いたいわけだから。文句言うってことは「MVや企画も見たんじゃねえか!」っていうね。
──たしかに。でも、キス配信に対するSNSなどの反応を見て、どう感じましたか?
天下のちゃんゆき 「そこまで騒ぐ必要あるかな?」って思ったけど、よく考えてみたら、「自分の推しがキスしてたら嫌だな」って思いました。
モズク・サン (ラップごしだから)実際にキスしてるわけじゃないので、そんなに良くないとは思わなかったけど……。あとから考えて、「アイドルとしてどうよ?」っていうのは冷静に思いましたね。親からもいろいろ言われました。
田代 そりゃ、そうだろ。親御さんは終わった後にネットニュースとかで見たの?
モズク・サン いやっ! キスの配信中にめちゃめちゃ親から電話がかかってきてて……。「怖い怖い!」って思ってたんですけど、終わってからすっごい説教されました(笑)。
──豊臣カリンさんはキス事件の後に、ばなもんに加入したんですよね。今、「同じ企画をやれ」って言われたらできます? 豊臣カリン できない……。でも、それがあるから、今のばなもんがあるのはわかってるので複雑です(笑)。
──田代さんはバラエティで様々なアイドルと共演されてましたけど、企画に対して「やりたくない!」とか不満を言うアイドルはいませんでしたか?
田代 いっぱいいたよ! バラエティ番組の「スターどっきり(秘)報告」で、芸能人の「寝起きどっきり」とかやってたけど、「出るのは嫌だ」って子もいたよね。
出演OKの場合でも、事前にどっきりがあることを教える事務所もあれば、「教えないほうが面白い」っていう子には教えない。事前に教えてる場合はヒドいんだよ。寝てるはずなのに薄化粧とかして、テーブルに「お掃除のおじさまおばさま、ありがとうございます」とかメモ残してたりしてさ(笑)。普段書かないだろ、そんなの! って。
でも、当時は本当に「田代まさしに寝起きレポートをされて、一流の芸能人」って言われてたんだからな!
メンバー全員 へええ~!
田代 ただ、本当にどっきりでやるのも怖い時があってさ……。アイドルの部屋に入ったら机の上にビールの缶があって、その中にタバコの吸殻が入れてあったりして(笑)。そういうのをうまくカメラから隠しながらレポートすることもあって、大変だったね。
──それが映っちゃったら、おおらかだった昔といえども“炎上”を避けられない現場ですね(笑)。
天下のちゃんゆき わたし地元が九州なんですけど、学生時代に仲が良かったアイドル好きの地元の友達から、完全に嫌われました。「アイドルとしてありえない!」って。それまでは連絡とってたのに……。 みんみん 最近、学校で「私がばなもんのメンバーだ」ってことがついにバレるようになって、ちょっとハブられるようになりました! 今までリーダー格の子たちと仲良かったんですけど、その子らが離れていっちゃって……。でも、今は他の子たちと仲良くなって、それはそれでよかったです!
田代 それもすごいな~。でも、こたえてないもんね、ニコニコしてるし。
──田代さんはご自身の事件後、親しくしていた人が離れていった、ということはありましたか?
田代 離れていく人はいますよね。でも、それは仕方ないよ。自分がかわいいもん。
それに、本人に「助けたい」って気持ちはあっても、芸能人だったら所属事務所が止めさせるかもしれない。そもそも俺が悪いことをしたんだし、そういう人を責めるつもりはない。
でも、そういう時に手を差しのべられると、「この人のことは、一生ずっと拝み続けよう」って思うよね。
モズク・サン 私、炎上しても友達で離れる人はいなかったんですよ。
田代 いいなあ!
モズク・サン 逆にしばらく会ってない友達から連絡がきて、「大丈夫?」「ご飯食べに行こう」とか言ってくれて。炎上をきっかけに、友達と遊ぶことが増えたりしたので、大切にしようと思いました。
豊臣カリン ばなもんの炎上は話題になるし、それで離れるファンもいたりするんです。でも、そこで「炎上してもばなもんが好き」とか「ばなもんの音楽が好きだから、炎上は関係ない」と言って、ついてきてくれるファンを大事にしていかなきゃ、って思いますね。 田代 俺が炎上した時に感じた大切なことってのがさ……。
売れてる時はお金があるから、長距離移動する時も、特急のグリーン車とか飛行機だったりしたのよ。でも仕事がなくなると、電車なら鈍行とかで向かわなきゃいけない。そういう時に「あ、景色ってゆっくり見るとこう見えるんだな」とか、新幹線や飛行機のスピードだと気づかなかったものに気づくんだよね。
炎上したとしても、「いい経験をしたな」って思えて、その経験を次に活かせるようになるといいよね。
みんみん なるほど~。
田代 すべては考え方でさ。“炎上”したら、それを“エンジョイ”すればいいんだよ。
メンバー全員 うまーい!
──いいオチがついたところで、最後に、ばなもんから今後の目標を一言ずつお願いします!
豊臣カリン 売れたいです。武道館を目指してライブやってるので、皆さん来てほしい……。
モズク・サン 9月7日の恵比寿リキッドルームワンマンに向けて、今からコツコツ宣伝とかに力を入れていきたいです。大きい目標もいいけど、まずは小さいところから達成していきたい。
みんみん これからCDを発売してインストアライブが始まるので、その間ひとりも欠けることなく走りぬけることが目標ですね。あと、ばなもんは変なイベントばっかりなので、「動物園とか行ってお猿さんを見る」みたいなほのぼのしたことがしたいです。 天下のちゃんゆき グループとしては3人と一緒なんですけど、個人的にはいろんなことに挑戦していきたいです。これまで作詞とかソロライブをやってきたんですけど、グループ以外のこともやるのがばなもんの宣伝にもなるし。強気でいきたい!
──では、田代さんからばなもんの4人へ、激励の言葉をお願いします!
田代 「ビッグになるためには何をするか」ってことだけど、大きなことをするよりは目の前の小さなことに対して、思いっきり愛情を込めてやること。それを続けていけば、花は開くんだな。
豊臣カリン まずは目の前のライブとか。
田代 そうそう。遠いところを見すぎるとダメ。目の前のことをしっかりやっていれば、スタッフとかお客さんが気にしてまた見てくれるから。炎上も大事だけど、ひとつひとつライブを頑張ってほしいね。いい曲、持ってんだからさ。
モズク・サン 最近メディアに出させていただくことも多いんですけど、炎上のことしか聞かれないので……(笑)。もっと有名になって、炎上より「楽曲が良い」とかで取り上げられるようになりたい。早く「昔は炎上とかもありましたね」「それは黒歴史なんで、書かないでください」って言いたいです(笑)。
2017年11月、「渋谷で一般人を掴まえてラップごしにキス」という動画を配信、たいていの珍事には慣れっ子の地下アイドルファンもこれには目を丸くし、たちまち炎上。
その後もラブホテルでのオフ会に、今年3月に公開した1st MV「歯磨き」では樹海に行ったり身体に塗ったチョコをファンに食べてもらったりと、火だるま上等な話題をつくりつつも、4人がフロアを沸かす楽曲とライブは初見のアイドルファンもつい引き込まれる熱さ。
そんな「後ろ指さされる不良だけど、雨の日に子猫拾ったりする実はいい人」的な効果も相まって、ばなもん人気はただ今上昇中。
その勢いに乗って、9月には恵比寿リキッドルームでワンマンという大勝負なライブも発表。そこに向けて6月28日、YouTubeで公開された新曲が「今を生きろ。」。メンバーの天下のちゃんゆきによる歌詞と、ゆるめるモ!の曲でも知られる作曲家・M87による楽曲がハマったエモロックチューンだ。
続けて、田代さんを講師に迎えて「薬物の恐ろしさ」を説くという、TVバラエティ「しくじり先生 俺みたいになるな!!」をパロディしたスペシャル動画も公開。
取材・文・構成:大坪ケムタ 写真:山下智也 編集:須賀原みち
ばなもん、田代まさしを知らなかった
──田代さんは最初、ばなもんからMV出演依頼が来て、どんなグループか調べたと思いますけど、どんな印象でした?田代まさし(以下、田代) まず調べてみたら「なんか炎上してる、キスとかまずいだろ!」って思ったよね! 今はこっちも、絡む相手選びには慎重になってるんだから(笑)。
でも、MVの内容を聞いて、監督も「薬物のヤバさとかを真剣に伝えたいんだ」って言ってたんで、「じゃあやりましょう」って。 ──実際、THE BANANA MONKEYSの4人に会ってどう思われました? それこそ、田代さんは80年代のテレビに出てたアイドルなんかも見てきてるわけですけど。
田代 正直、もっとチャランポランでゆるいんじゃないかと思ってたんだよね。でも振り付けとか作詞も自分たちでやってたりして、思ってた以上にしっかりしてた。
天下のちゃんゆき 嬉しい……。
田代 昔のアイドルのほうがゆるいもん。名前までは言えないけどさ、いきなり志村けんさんに「ねえ、シムケ~ン!」って言うヤツとかいたんだから! 初対面でそれはダメだろ、って。
それに比べれば、礼儀とかちゃんとしてるしね。曲もけっこう耳に残るしさ。
──じゃあ、ばなもんの4人は田代さんのことは……。
田代 お前ら、俺のこと知らなかっただろ。 天下のちゃんゆき あ~、まったく知らなかったです……。
──正直!
豊臣カリン でも、お父さんとかママは知ってて、「田代さんと共演」と聞いてめっちゃびっくりしてました!
田代 でも、お父さんとお母さんはどういう意味で驚いたんだろうね?(笑)
豊臣カリン ママは「すごいね! 写真とか撮ってもらった?」って聞いてきて、一緒に撮ってもらった写真を見せたら感動してました!
モズク・サン わたしは前から昔の音楽を聞くのが好きで、「め組のひと」(田代が以前所属していたラッツ&スターの曲)とかを振りコピで踊ってたんですよ。最初は、「め組のひと」を歌ってる方だと知らなかったんで、あとで本人と知ってびっくりして、YouTubeを見直しました!
田代 曲を知ってくれてるのは嬉しいよね。(「め組のひと」は)倖田來未ちゃんとかがカバーしてるから、意外と知られてんのよ。
天下のちゃんゆき 撮影前はもっとカタいおじさんかと思ってて、緊張してました。
モズク・サン たしかに!
天下のちゃんゆき でも、収録では最初に「しくじり先生」のパロディ動画を撮ったんですけど、田代さんの昔の話を聞いて、「めっちゃヤベーやつ来たな!」って(笑)。
田代 “ヤベーやつ”で悪かったな!
でも昔、山本太郎(現参議院議員)から「田代さんって面白いんですけど、目が笑ってないんですよね。ヒットマン(殺し屋)の目なんですよ」ってよく言われてた(笑)。
豊臣カリン でも実際は、カメラが回っていない時も笑わせてくれて、優しかったです!
田代まさしがばなもんに振り付けを伝授!
──では、MVの撮影で印象的だったことは?天下のちゃんゆき 面会室で田代さんと向かい合って歌うシーンがあったんですけど、何回やっても田代さんの顔見るとどうしても笑っちゃって……。
田代 (机をバン!と叩いて)うるさいよ! お前な~、人を笑顔にさせるのも大変なんだぞ。怒らせるのは簡単だけど!
天下のちゃんゆき 刑務所での面会とか人生であまり経験しないので、貴重な体験をさせてもらいました。
モズク・サン ためになりました! 刑務所とかまだ入ったことないから。
田代 当たり前だろ! おまえ、教えてあげるけど、捕まってすぐの人は面会禁止になったりするんだぞ。そういうのを“接見禁止”っていうんだよ。
それを聞いて、うちの妹がボディソープを差し入れしてきたの。「だって、“せっけん”禁止なんでしょ?」って。「その“石鹸”じゃないから!」って返したけど。
メンバー全員 アハハハ! モズク・サン 「今を生きろ。」はもともとの振り付けがあったんですけど、田代さんが撮影中に「こう踊ったらいいんじゃない?」って提案してくれて、一緒に踊りの練習をしながら踊ったんですよ。だから、田代さんが考えてくれて、いつものばなもんっぽくない振り付けがあるんで、そこに注目してほしいです。
田代 昔とった杵柄(きねづか)でね。
──ラッツ&スターは田代さんが振り付けしてたんですか?
田代 僕がやってました。最初は偉い先生に頼もうって話だったんですよ。ピンク・レディーの曲を担当してた人とか。
でも、俺たちは黒人音楽だから、グルーヴが歌謡曲と違うんですよ。それでリーダーが「田代がやったほうがよくね?」って言って、僕が振り付けをやってたんです。
──じゃあ、ばなもんの曲に田代まさしテイストが刻み込まれたんですね。
豊臣カリン でも、MVだとマイク持ってなかったから踊れた振り付けが、マイク持つと出来なかったりして……。
田代 そうか! マイクのことまで考えてなかったな。じゃあ今度は、マイクを持ったバージョンの振り付けも考えよう。
モズク・サン ホントですか! お願いします!!
キス配信中、親から電話が……
──さて、ばなもんといえば“炎上”なわけですが、田代さんもいろんな炎上してきた人ですよね。今、話題づくりとして炎上を仕掛けるのってどう思いますか? それこそ、ばなもんがやって話題となった「ラップごしに一般人とキスをする」企画とか。田代 最初にその話を聞いた時は、「えらい人にやらされてんだろな~」って思ったよね(笑)。こうやって売ろうとしてんだなあって。最初に「こういう企画をやるから」って言われた時、キミらはどう思ったの?
天下のちゃんゆき 特に……なんにも思わなかったです。
田代 そうなんだ(笑)。
天下のちゃんゆき 実際に企画を始めてみたら、もう全力でやって「盛り上げるぞ!」って感じだったので、何も考えてなかったですね。
モズク・サン ラップごしにキスをするという企画は、ばなもんメンバーが2対2に分かれてのチーム対抗戦だったんで、「あっちのチームには負けられない! 勝ってやる!」って気持ちばっかりで(笑)。
田代 みんなマジメなんだな。でも、良きにしろ悪きにしろ、そのおかげで話題になった。何にも言われないよりは、炎上したほうがいいんだから。
マザー・テレサの言葉で「愛情の裏返しは憎しみではありません、無関心です」って言葉があってさ。
メンバー全員 おお~!
田代 炎上してるってことは、お前らに気があるんだよ。文句言いたいわけだから。文句言うってことは「MVや企画も見たんじゃねえか!」っていうね。
──たしかに。でも、キス配信に対するSNSなどの反応を見て、どう感じましたか?
天下のちゃんゆき 「そこまで騒ぐ必要あるかな?」って思ったけど、よく考えてみたら、「自分の推しがキスしてたら嫌だな」って思いました。
モズク・サン (ラップごしだから)実際にキスしてるわけじゃないので、そんなに良くないとは思わなかったけど……。あとから考えて、「アイドルとしてどうよ?」っていうのは冷静に思いましたね。親からもいろいろ言われました。
田代 そりゃ、そうだろ。親御さんは終わった後にネットニュースとかで見たの?
モズク・サン いやっ! キスの配信中にめちゃめちゃ親から電話がかかってきてて……。「怖い怖い!」って思ってたんですけど、終わってからすっごい説教されました(笑)。
──豊臣カリンさんはキス事件の後に、ばなもんに加入したんですよね。今、「同じ企画をやれ」って言われたらできます? 豊臣カリン できない……。でも、それがあるから、今のばなもんがあるのはわかってるので複雑です(笑)。
──田代さんはバラエティで様々なアイドルと共演されてましたけど、企画に対して「やりたくない!」とか不満を言うアイドルはいませんでしたか?
田代 いっぱいいたよ! バラエティ番組の「スターどっきり(秘)報告」で、芸能人の「寝起きどっきり」とかやってたけど、「出るのは嫌だ」って子もいたよね。
出演OKの場合でも、事前にどっきりがあることを教える事務所もあれば、「教えないほうが面白い」っていう子には教えない。事前に教えてる場合はヒドいんだよ。寝てるはずなのに薄化粧とかして、テーブルに「お掃除のおじさまおばさま、ありがとうございます」とかメモ残してたりしてさ(笑)。普段書かないだろ、そんなの! って。
でも、当時は本当に「田代まさしに寝起きレポートをされて、一流の芸能人」って言われてたんだからな!
メンバー全員 へええ~!
田代 ただ、本当にどっきりでやるのも怖い時があってさ……。アイドルの部屋に入ったら机の上にビールの缶があって、その中にタバコの吸殻が入れてあったりして(笑)。そういうのをうまくカメラから隠しながらレポートすることもあって、大変だったね。
──それが映っちゃったら、おおらかだった昔といえども“炎上”を避けられない現場ですね(笑)。
炎上して気づいた大切なこと
──でも、思いもよらない炎上だったりすると、当然ヘコんだり傷ついたりもしますよね。ばなもんの4人は、自分たちの起こした炎上で、どんな影響を受けましたか?天下のちゃんゆき わたし地元が九州なんですけど、学生時代に仲が良かったアイドル好きの地元の友達から、完全に嫌われました。「アイドルとしてありえない!」って。それまでは連絡とってたのに……。 みんみん 最近、学校で「私がばなもんのメンバーだ」ってことがついにバレるようになって、ちょっとハブられるようになりました! 今までリーダー格の子たちと仲良かったんですけど、その子らが離れていっちゃって……。でも、今は他の子たちと仲良くなって、それはそれでよかったです!
田代 それもすごいな~。でも、こたえてないもんね、ニコニコしてるし。
──田代さんはご自身の事件後、親しくしていた人が離れていった、ということはありましたか?
田代 離れていく人はいますよね。でも、それは仕方ないよ。自分がかわいいもん。
それに、本人に「助けたい」って気持ちはあっても、芸能人だったら所属事務所が止めさせるかもしれない。そもそも俺が悪いことをしたんだし、そういう人を責めるつもりはない。
でも、そういう時に手を差しのべられると、「この人のことは、一生ずっと拝み続けよう」って思うよね。
早く「昔は炎上もありましたね」って言いたい
──炎上や事件の渦中にいることになって、初めてわかる大切なものもある。モズク・サン 私、炎上しても友達で離れる人はいなかったんですよ。
田代 いいなあ!
モズク・サン 逆にしばらく会ってない友達から連絡がきて、「大丈夫?」「ご飯食べに行こう」とか言ってくれて。炎上をきっかけに、友達と遊ぶことが増えたりしたので、大切にしようと思いました。
豊臣カリン ばなもんの炎上は話題になるし、それで離れるファンもいたりするんです。でも、そこで「炎上してもばなもんが好き」とか「ばなもんの音楽が好きだから、炎上は関係ない」と言って、ついてきてくれるファンを大事にしていかなきゃ、って思いますね。 田代 俺が炎上した時に感じた大切なことってのがさ……。
売れてる時はお金があるから、長距離移動する時も、特急のグリーン車とか飛行機だったりしたのよ。でも仕事がなくなると、電車なら鈍行とかで向かわなきゃいけない。そういう時に「あ、景色ってゆっくり見るとこう見えるんだな」とか、新幹線や飛行機のスピードだと気づかなかったものに気づくんだよね。
炎上したとしても、「いい経験をしたな」って思えて、その経験を次に活かせるようになるといいよね。
みんみん なるほど~。
田代 すべては考え方でさ。“炎上”したら、それを“エンジョイ”すればいいんだよ。
メンバー全員 うまーい!
──いいオチがついたところで、最後に、ばなもんから今後の目標を一言ずつお願いします!
豊臣カリン 売れたいです。武道館を目指してライブやってるので、皆さん来てほしい……。
モズク・サン 9月7日の恵比寿リキッドルームワンマンに向けて、今からコツコツ宣伝とかに力を入れていきたいです。大きい目標もいいけど、まずは小さいところから達成していきたい。
みんみん これからCDを発売してインストアライブが始まるので、その間ひとりも欠けることなく走りぬけることが目標ですね。あと、ばなもんは変なイベントばっかりなので、「動物園とか行ってお猿さんを見る」みたいなほのぼのしたことがしたいです。 天下のちゃんゆき グループとしては3人と一緒なんですけど、個人的にはいろんなことに挑戦していきたいです。これまで作詞とかソロライブをやってきたんですけど、グループ以外のこともやるのがばなもんの宣伝にもなるし。強気でいきたい!
──では、田代さんからばなもんの4人へ、激励の言葉をお願いします!
田代 「ビッグになるためには何をするか」ってことだけど、大きなことをするよりは目の前の小さなことに対して、思いっきり愛情を込めてやること。それを続けていけば、花は開くんだな。
豊臣カリン まずは目の前のライブとか。
田代 そうそう。遠いところを見すぎるとダメ。目の前のことをしっかりやっていれば、スタッフとかお客さんが気にしてまた見てくれるから。炎上も大事だけど、ひとつひとつライブを頑張ってほしいね。いい曲、持ってんだからさ。
モズク・サン 最近メディアに出させていただくことも多いんですけど、炎上のことしか聞かれないので……(笑)。もっと有名になって、炎上より「楽曲が良い」とかで取り上げられるようになりたい。早く「昔は炎上とかもありましたね」「それは黒歴史なんで、書かないでください」って言いたいです(笑)。
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