下半身事情を赤裸々に記録するTwitterアカウントとして人気を博している「暇な女子大生」を、モデル・女優の池田エライザさんは果たしてどこまで再現してくれるのか。過激発言の「暇な女子大生」ドラマ化! 池田エライザまさかの優勝 #kai_you https://t.co/qjZdQSR42V
— KAI-YOU (@KAI_YOU_ed) 2017年12月14日
年末が楽しみですわ…😈 pic.twitter.com/tJg3YYKhd3
そして、このニュースを聞いた一部ユーザーが思い出したのは、「暇な女子大生」映像化第1弾作品であるアダルトビデオ(AV)の存在だろう。
テレビドラマ化に先駆けて、本人が監修したというくだんのAV。一体どんな内容なのか? 本稿は、女性だけの鑑賞会を行った現役女子大生ライターによる特別寄稿となる。
編集:新見直
リアルに暇な女子大生がAV鑑賞会・レビューに挑戦
ろくに大学にも行かず、バイトもせず、誰と会う約束もなく、全ての時間をベッドの上で布団にくるまってボンヤリすることに充てている筆者は「暇な女子大生」という言葉を初めて見た時、まるで私のことじゃないかと思った。しかしそれは大変な思い違いであった。同じベッドの上でも「暇な女子大生」氏は八面六臂の大活躍を繰り広げているのだから。「暇な女子大生」(@bored_jd)とは、2016年12月の開設からわずか1年で約36万人のフォロワーを獲得したTwitterの人気アカウントだ。 自称慶應義塾大学の4年生女子という彼女は、マッチングアプリ「Tinder」で様々な高学歴エリート男性とマッチングし、セックスに至るまでの過程やプレイ内容までをユーモア溢れる乾いた筆致で綴るツイートで人気を博している。
セックスすることを「優勝」、セックスの記録を「ちんぽの食べログ」、そして性器を駆使し肉体労働者のごとく性交に従事する自分自身を「膣ドカタ」(一人称はなんとドカタ)と呼ぶなどの独特の用語センスも魅力だ。
「暇な女子大生」のちんぽの食べログには求道者のようなストイックさがある。純粋な性癖から「東大京大一橋、東工大早慶と医学部医学科のみ」に狙いを定め、既婚者と未成年者には決して手を出さないという信念を持って毎夜優勝する彼女の姿は、依頼者との約束は必ず守るという信条を持ち、超一流の技量を身に備えたスナイパー・デューク東郷すら連想させる。
また、自らの女性器とバディのような関係を結んでいるのも興味深い。褒められた時には「まんこ共々光栄」に思い、失敗すれば「まんこ共々猛反省」する。難関大の受験生に「まんこ共々応援している」とエールを送ることもある。「暇な女子大生」はエリート男性を求めまんこと手を携えて冒険するハードボイルド・ハンターなのだ。こういうDMがたくさんくるのでこの場を借りて言わせてください。まんこ開放するのは「東大京大一橋東工大早慶と医学部医学科」のみであり未成年、既婚者に対してはまんこ完全閉鎖。学歴ないけど高収入の下克上ちんぽには興味なし。例外はない。以上です。 pic.twitter.com/nUVdHRhgOj
— 暇な女子大生 (@bored_jd) 2017年2月5日
同じ暇な女子大生でも、ただ予定がないから時間が有るだけの私とはえらい違いである。昼寝をしすぎて眠れなくなった夜などに際限なく続く彼女の優勝記録を読んでいると、理髪店で『ゴルゴ13』 を読んでいる時のような安らぎを感じる。
その「暇な女子大生」監修のAVが、2017年7月、ケイ・エム・プロデュースから発売されている。
タイトルは『フォロワー数およそ20万!! Twit●erで話題のエリート喰い女子大生監修AV!素人膣ドカタと“ち●ぽのレビュー”をしよう!』である。 某日、都内某所にて「暇な女子大生」監修AVを女性だけで鑑賞するパーティーがごく私的に開かれた。
ケータリングの料理とスパークリングワインを楽しみながら大スクリーンにAVを写して感想を述べ合う、今流行りの発声可能上映である。しかもとても口に出して言えないようなことまで発声可能の楽しいやつだ。
発売当初は一部でネタとして話題に上がったが、意外にも(?)レビューが少ないので、早稲田のリアルに暇な女子大生としてパーティーに招かれた私が「AV鑑賞会という新しい女子会のレポート」という形で、その記録を残しておきたい。
メンバーは、法学部卒の才媛、ラブホテル事情に詳しい元エロサイト編集者、物腰のやわらかいOL2人、早稲田のリアルに暇な女子大生こと私の計5人である。職業も年齢も異なる5人だが、暇な女子大生監修AVに興味があるという点で志を同じくしている。
「暇な女子大生」監修AV鑑賞会、開幕
本作は「暇な女子大生」に憧れる現役女子大生の佐々木れなさん(仮名)が「素人膣ドカタ」として一日に数人のエリート男性と出会い、セックスするというセミドキュメンタリー形式の作品だ。「暇な女子大生」本人が出演することはないが、脚本には彼女の意見が反映されているという。
ハードボイルド暇女スピリットはAVにも息づいているだろうか。
1本目:銀行員(年収850万円)/東◯大学卒
早速エリート男性を求めオフィス街へと逆ナンに繰り出した素人膣ドカタ。「Tinderじゃないのかよ」というもっともな意見が出る。早々に東大卒銀行員だという男性を捕まえてハウススタジオらしき部屋で“優勝”。 会話が少ないため知性を感じるような描写もなく、彼がエリートであるという証拠は自称する肩書きのみ。こんな怪しい逆ナンにノコノコついて来る人間を本当にエリートと呼んでいいのか。靴下を最後まで脱がないのが印象的な男性だった。手塩にかけて育て、英才教育を施したのだろう息子が怪しいナンパにひっかかりAVでマヌケな姿を晒すなんて、私が親ならむせび泣く。
2本目:証券会社(年収950万円)/明◯大学卒
しかも次に逆ナンしたのは明治大学。それは本家「暇な女子大生」の流儀に反すのではないか。今回はラブホテルでことに及ぶ。会話はほぼない。パーティーに同席していたラブホテルに詳しい女性が「ここ行ったことあります。割と安いです」と呟いていた。結局、“早漏のため挿入は無し”という結果に終わり、ドカタとしては大きく不満が残ったようだった。この人も靴下を脱がなかった。
3本目:現役東◯生(理◯)/将来の夢は医者
マーチにまんこを解放した埋め合わせをするためか、スタッフが東大のキャンパスで調達してきた現役東大生がサプライズとして登場する。だからそんな簡単に捕獲される男は本当にエリートなのか。医学部志望だという彼が持つ『医事法入門』という本を見た素人膣ドカタが「小難しい本に膣キュン」するというシーンに辛うじてこの企画の趣旨が感じられたが、法学部卒の才媛によると「別にそれほど難しい本じゃない」とのことだ。 せっかくの東大生を前にしても会話はあまりなく、「童貞だから」というよくわからない理由でフェラだけして終了となった。この人も靴下を脱がない。何故だ。何故なんだ。
4本目:弁護士(年収1200万円)/東◯大学卒
素人ではあるが仮にも「膣」ドカタであるにも関わらず膣が登場する機会が少なすぎる。というわけで、スタッフが出会い系アプリを使って東大卒弁護士を召喚。これが今夜のメインディッシュということで、舞台は東京ドームホテルに。
ここで「おっ!」と私たちのテンションが若干上がる。なぜなら、本家の「暇な女子大生」が社会人エリートと優勝する際に使いそうな感じのホテルの部屋がやっと現れたからである。ハウススタジオや安ラブホでエリートとセックスするとは考え難い。しょっぱすぎる。
ここに来てやっとコレジャナイ感が薄まり、「暇な女子大生」の世界観がリアリティをもって感じられたのだ。しかし、相変わらず会話は少なく、エリート男性の言葉からも知性が感じられない。 夜景鑑賞から順当にペッティングに雪崩れ込むが、この男性も頑なに靴下を脱ごうとしない。何なんだよ一体! このAVに出演する男性は靴下を脱がないことに決めていらっしゃるらしい。
さらに我々はもっと奇妙なことに気がつく。ペッティングがセックスに発展しても彼らが一向にベッドに移動しないのだ。ソファは狭いのに体位を何度も変えてソファに留まっている。途中で靴下は脱いだもののベッドには行かない。 「もしかしてホテル側から『ベッドを使うな』って言われてるのかな」と気の毒に思っていると、ラスト5分くらいでようやくベッドに上がりフィニッシュとなった。
「暇な女子大生」監修AVには、異議を申し立てたい
終映後、なんとも微妙な気持ちになった。きっとAVとしては優秀なのだと思う。プレイ内容もバラエティに富んでいて抜き所も多いだろう。しかし、Twitter上の「暇な女子大生」に惹かれていた私にとっては不満の多い作品であった。 まず、佐々木れなさんは可愛いが「暇な女子大生」の器ではない。彼女は本当にはエリートにそう興味がないのだろう。せっかくエリートと会っても、その特色を引き出すような会話をしなくては意味がない。恐らくマーチでもかまわないし、もっと言えば誰でもいいのだろう。彼女はただ一日に何人もの人と性的関係を結んだだけで、そこに「優勝」と呼べるような晴れがましさはなかった。「素人膣ドカタ」という言葉の毒に負けてしまっていた。ヒーローの真似をして縁側から飛び出した子供が庭石で顎を切るのを見たような気持ちになってしまう。そもそも「暇な女子大生」はヒーローではない。彼女は飽くまでも自分の性癖に忠実に行動する、言わばダークヒーローである。生半可な気持ちで真似すると火傷をする。
また、「暇な女子大生」の魅力の要である性癖の特殊性がこのAVでは活かしきれていないという点も不満であった。彼女のエリート好みは、エリートという既成事実に惹かれるのではなくそこに至るまで努力を重ねた過程に興奮するというものだ。
過程を愛する彼女はセックスにおいても「健全な関係からお酒が入り徐々に不健全な関係へ」という状況に最もときめくと言う。私の「エリート好き」という性癖は「エリートちんぽ」という既成事実に興奮するのではなくそこに至るまで努力を重ねたという過程に膣キュンする。だから現役東大合格の天才ちんぽも勿論チツピクだが、浪人してなんとか受かる苦労ちんぽにもまんこは大洪水。「受験お疲れ様」とちんぽを舐め優勝したい。
— 暇な女子大生 (@bored_jd) 2017年2月14日
多くの人を虜にする「暇な女子大生」のツイートの面白さとエロティシズムの根源には、この過程への熱いまなざしがある。しかし、本作ではその部分がおざなりにされていた。今夜は「○○ちゃんと早くえっちしたい」など一方的に卑猥なメッセを送ってくる早稲田卒と夕飯だったが断ってしまった。こんな卑猥なこと言ってくるちんぽに会うのは恥ずかしい。あまりにガツガツされるとまんこ乾く。やはり「健全な関係からお酒が入り徐々に性的な関係へ」という状況が最も膣キュン。
— 暇な女子大生 (@bored_jd) 2017年3月8日
AVにおいて一番大事なのはセックスだから仕方ないことだとは思うし、クレバーな慶応女子である「暇な女子大生」氏は大人の事情を受け入れることも可能なのだろう。
しかし、諦めが悪く空気が読めない早稲田女子の私は、やっぱり異議を申し上げ続けたい。「暇な女子大生」という題材が活きるのはドラマがセックスの添え物ではないポルノ、会話や小道具の細部に神が宿るポルノである……と考えてそれって日活ロマンポルノじゃないかと気がついた。
「暇な女子大生」監修のロマンポルノが出来たとしたら最高に良いと思うのだが、どうか。
果たして、「暇な女子大生」テレビドラマ化はどうなのか??
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中野ルネ
女子学生
モラトリアムも延長戦に入った、昭和カルチャーをこよなく愛する女子学生。深夜ラジオリスナー。明るく快活で行儀が良いが、阿保なのが玉に瑕です。
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