連載 | #13 ポップなまとめ記事をつくってみた

2016年ヒップホップの名曲30選! これが日本語ラップの最前線

21:電波少女「COMPLEX REMIX feat. Jinmenusagi, NIHA-C」

2009年頃よりインターネット上で頭角を現し、現在はストリートとネットを横断する稀有な存在として認知を高めつつある電波少女

COMPLEX REMIX feat. Jinmenusagi, NIHA-C」では、MCのハシシさん最大の特徴とも言える歌モノとラップの境界をなくす異次元のフロウや、感情を爆発させるようなパフォーマンスも発揮。なお、アルバム『パラノイア』収録の客演なしバージョンでは、その特異性をより楽しめます。

また、電波少女はメジャーデビューをかけたヒッチハイクの過酷な旅を敢行中。そこで披露されている楽曲「Re:カールマイヤー」の完成版や今後の動向にも注目です。

22:group_inou「EYE」

気だるさすら感じるフロウと、どこか懐かしさのあるエレクトロサウンドが特徴的なユニット・group_inou

2003年の結成以来、独自の立ち位置で人気を集め確固たる地位を築いてきましたが、9月に突然の活動休止発表。そのタイミングで公開されたのが「EYE」のライブ映像でした。

「EYE」も収録されたライブDVD『PUT』のリリースを記念して行われるはずだったツアーですが、その後追加公演の発表もないまま終演を迎えました。

23:パブリック娘。「おちんぎんちょうだい」

2012年頃「そんなことより早く、このパーティーを抜け出さない?」や「初恋とはなんぞや」で、ネットを中心に大きなヒットを生んだパブリック娘。の遅すぎるデビューアルバムも2016年にリリースされました。

おちんぎんちょうだい」は、労働讃歌でありつつ、下ネタでもあるという絶妙なウィットに富んだ楽曲。MCの文園太郎さんが編集したMVも良い意味で雑な合成となっており、パブリック娘。らしさ満点です。

24:ゆるふわギャング「FUCKIN CAR」

Ryugo IshidaさんとSophieeさんのユニット・ゆるふわギャングは、その名の通り、ゆるふわな楽曲と全身タトゥーのハードなルックスで、ヘッズを中心に急速に耳目を集めています。

1stアルバムの制作資金をクラウドファンディングで募集したり、カップルで活動しているという点もゆるふわギャングならでは。ですが、この「FUCKIN CAR」をはじめとしたダウナーで中毒性のある楽曲が何よりの魅力です。

25:AKLO「McLaren」

McLaren」は、AKLOさんならではのセルフボーストと韻の妙が炸裂する1曲。

映像作家・大月壮さんが手がけた漫画『ジョジョ』3部を連想させるようなe-sports風のMVも話題になりました。

AKLOさんのMVではお馴染みとなったSALUさんの悪役姿や、DustelBoxさんらプロゲーマーも出演するなど、見所盛りだくさんとなっています。

26:Y'S「それでも釣りに行く feat.RAW-T & 遊戯」

ヒップホップはライフスタイルそのものだ、という言説をそのまま体現した釣りアンセム「それでも釣りに行く」。

ストリートシーンで絶大なプロップスを集め、数多くのラッパーの客演でもカマしてきたY'Sさんのなかでも一際異彩を放つ楽曲です。

フィーチャリングゲストとして招かれているのは、韻踏合組合の遊戯さん、そして盟友のRAW-Tさん。釣り好きなら思わず納得のパンチラインが続出します。

27:BAD HOP「LIFE STYLE」

T-PablowさんとYZERRさんという「BAZOOKA!!! 高校生RAP選手権」を制した双子が所属するクルーでもあり、飛躍的に注目を集めているBAD HOP

川崎を拠点に活動する彼らのリアルな生活と、知名度を高めた今だからこそ新たに綴れるヒップホップドリーム的なリリック。まさに彼らを代表する1曲だといえるでしょう。

28:ZORN「Letter」

生粋のハーコーラッパー・ZORNさんが、自身の複雑な家庭環境をラップした「Letter」は、2人の娘の成長に対する暖かな感情をラップし、ファンを中心に多くの感動を呼びました。

EVISBEATSさんによるメロウなトラックで、エモーショナルな感情を一層かきたてます。ストーリーテリングの妙が光るリリックを得意とするZORNさんだからこそ描き出せた、家庭的で暖かなヒップホップのクラシックです。

29:般若「あの頃じゃねえ」

「フリースタイルダンジョン」で大きな感動を呼び起こした焚巻さんとのバトル後に書き上げたという「あの頃じゃねえ」。 7年ぶりのバトルを経て、OZROSAURUSやKAMINARI-KAZOKU.DEV LARGEさん、TOKONA-Xさんといった同世代のラッパーたちへのリスペクトに満ちたリリックが、これまでの挫折や葛藤とともに赤裸々に綴られます。

また、AK-69さん、KOHHさん、ANARCHYさん、ZORNさん、SHINGO★西成さんといった盟友たちのカメオ出演も。話題は尽きない楽曲ですが「一番強いのは今だぜ」という宣言こそが、「あの頃じゃねえ」の真骨頂だといえるでしょう。

30:DJ TY-KOH「バイトしない feat. KOWICHI & YOUNG HASTLE」

本記事の最後に紹介したいのはDJ TY-KOHさんの「バイトしない feat. KOWICHI & YOUNG HASTLE」。KOWICHIさん、YOUNG HASTLEさんという、リアルな生活に基づいた具象的なリリックを得意とする2人のMCをフィーチャリングに迎えた楽曲です。

この曲のタイトルや「飯を食う/洋服を買う/デートするお金かかるよ/でもバイトしない」というフックだけを受け取れば、ギャグ的に聞こえるかもしれません。

ですが、その直後の「(2人が所属する)FLY BOYでみんなと稼ぎたい」や、YOUNG HASTLEさんが続ける「ヒップホップ以外はやりたくない」というリリックは、まさにヒップホップの本質を捉えているように感じます。

※記事初出時、一部記載に誤りがございました。お詫びして訂正いたします。

日本のヒップホップ最先端

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