【短編】『ハンターハンター』 クロロvsヒソカがもしMCバトルだったら

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ヒソカ=モロウのバトルスタイル

クロロとの試合を前日に控え、ヒソカは事前に対策を練ったりなどは……全くしていなかった。

ヒソカは自身が最強であることを信じ、策とは瞬間的に閃くものだとこれまでの経験から学んでいた。

そのため、ヒソカがあらかじめ決められた試合の前に儀式的に行うことは1つしかなかった。皮肉にもそれは、ここ天空闘技場において、ウィングがゴンとキルアに言ったことと相似していた。

燃やす方のネンの修行なら認めます

点、舌、錬、発。四大行として並べられたウィングによる方便であるが、ヒソカはこの中にある「」を欠かしたことがなかった。

MCバトルには戦法やテクニックが多々ある。

押韻には押韻で返すなど、暗黙の作法があったり、即興で八行詩をつくるというルールがあるも、馬鹿正直に全てを即興で口にすることで勝ち続けるのは非常に難易度が高い。

仮に、本人が即興だと思っていても、積み重ねてきた経験や知識の引き出しからアウトプットされたに過ぎない場合も多々ある。

そして競技者は、訓練によりこのアウトプットのスピードを上げるのである。

ところが、ヒソカはこの訓練をしないことにこだわりを持っている。自身の持つ頑丈な強さに対する意識、戦いに対する意識を「点」によりブレないように保ち続けるのである。

MCバトルは言葉を扱う競技であるため、勝敗にこだわるあまり自分が歩んできた道との矛盾を生むワードをついつい口にしてしまう競技者がいるのもまた事実。その矛盾が競技者自身へと跳ね返り、クリティカルヒットとなるケースも少なくない。

ヒソカは対戦相手に特化した対策をしたり、八行詩に特化した訓練をしないことにより、サムライのようにいかなる状況下でも伸縮自在に対応できる柔軟な意識と、まるで年月によって風化しない一途な愛のような言葉の強固さを兼ね備えることに成功しているのである。

クロロ=ルシルフルのバトルスタイル

クロロ=ルシルフルは、倫理観やスポーツマンシップなどに微塵もこだわりを持たない

フェアプレー賞よりも確実な勝利を欲するタイプであり、そのためには手段も選ばない。対戦相手がヒソカと決まっている以上、その対策は非常に立てやすく、敵の見えない戦いに比べるとその手間の少なさは一目瞭然だった。

まず、白紙の真ん中に線を引き、右と左を紙面をわける。そして左側にオフェンス、右側にはディフェンスと明記され、その下には箇条書きでヒソカとの試合を予測した言葉が並べられていく。

オフェンスとは即ち、自分の八行詩に取り入れるヒソカにピンポイントでヒットする言葉のことである。逆にディフェンスは、ヒソカが自身に詠んできそうな言葉である。

クロロは決して慢心せず、冷静にこの白紙を埋めていく。

【オフェンス】
・お前の苗字を初めて知ったぞ
・キメラアントと戦わずに何処でいったい何をしていた?
・大した相手を嬲りもせずに自分が最強だと慢心できる理由が知りたい
・「伸縮自在の愛」と「韻踏む機会も無い」で韻が踏める
・お前がオークションの時に改ざんした四行詩には美しさがない、まさに薄っぺらな嘘だ
・自分にただ酔ってるヒソカ 漂ってる悲壮感

【ディフェンス】
・時と場合によって髪型を変えすぎじゃない?♧
・アンタ、最高だよ♡
・クモはアンタ以外興味ない♤
・アンタがグリードアイランドでブックを2冊持ってる姿を見たかったな♢
・除念師を探し出したことについて(ただし、こっちの知る限りヒソカはこういうことを湿っぽく蒸し返してくるタイプではない)

そして、ディフェンスの欄に書いた一行詩をピックアップして右側(オフェンス欄)に矢印を引っ張ってくる。その矢印の先に解答詩(アンサー)を書き込んでいく。

【アンサー】
・クモはアンタ以外興味ない♤←マチはお前に興味が無いって言ってたぞ
・時と場合によって髪型を変えすぎじゃない?♧←髪の毛を下ろすと誰だかわからなくなるヤツに言われたくないな

そして、実際に戦闘演舞曲(バトルビート)を流し、それに合わせて八行詩を綴り、架空のヒソカを相手にシミュレーションを重ねる。これにより最も隙のない八行詩を四篇ほど頭にインプットする。

これまでの経験からアウトプットのスピードとその正確さにおいては自身を信頼していたが、その信頼すらも疑うほど、クロロは理詰めに徹していく。

そしてシャルナーク、コルトピ、マチの3人を呼び出し、1mmの隙も残さないプランを説明する。
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1件のコメント

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CKS

CKS

面白すぎて自分の中のオーディエンスが沸きに沸きまくってる