何度も見てもらいやすい尺
──日本アニメ(ーター)見本市だからこそ、意識した点はございますか?板倉 僕らが神風さんに呼ばれたということは、アニメ業界の文脈からちょっと外れたものを求められていると思ったんです。
なので、自分らしさを出そうとしたんですが、やっぱりアニメ業界の方々の勢いに飲まれて、作画がそっちに引っ張られた時がありました。でも、最終的には周りと話し合いながら、自分らしさを出せたと思っています。
安達 今振り返ってみると、"見本市なんだ"ということを意識してました。とにかく整合性とか雰囲気を合わせることよりも、「こんなこともできますよ」みたいな、いつもと違う世界を覗いてもらおうという意識でやりましたね。
小川 僕も「見本市で何ができるか」ということを意識していました。だから、今までやったことのないことに挑戦したいと思っていて、はじめて自分で歌ってみて、自分の声を録音して世に出した。自分の見本として発表できたら、という意識でやらせていただきました。
水野 5〜6分という作品の中で、とにかくいろんな作家やアーティストを呼んで、できる限り"見本市"をしたいという思いが強かったですね。
それに、短い分、何度も見てもらいやすい尺だから、作中に小ネタをちりばめることによって、何度観ても楽しんでもらえるようなつくりにしました。
──具体的にはどういった点でしょうか?
須田 歯ローターが飛び出ているシーンとか、魔人がモチーフになっているところなどもそうですね。後ろでダンスしている人たちは誰なんだろうと思ってもらえるように、他の惑星の人間を出しています。木星だけで衛星が48もあるように、実は番人も、ものすごい人数がいて、そのキャラがどこの番人なのか探し回るのも楽しいと思います。何回も観ているとだんだん気づいてもらえるような、セットの裏側みたいな部分ですね。
個人的には、大きな物語を断片的に切り取るような作品や、作画だけを見せるといったような作品ではなく、僕が脚本に参加したからには、ちゃんと頭からケツまでを通して、何かひとつでも感じてほしいということはすごく意識しました。神風さんと組めばそれができると思って。
ただ、やっぱりみんなで組むと、芯がバラバラになりそうで、不安はありました。ひとつの映像作品なのにいろんな作風が混在していて、果たして成立するのか。でも、水野監督が見事に整理してくれて、うまく噛み合ったんです。
まさかAC部さんがメガカノン(作中で主人公が使う武器)のパートを担当するとは思っていなかったのですが、自分でも腰を抜かすくらいすごい料理になっています。本当に監督には感謝しているし、良い作品になったなと思っています。
(c) nihon animator mihonichi LLP.
執筆者:浅田春乃
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