「水中専用ニーソ」写真の制作過程はこうなっていた!
1)オリジナル水中写真を撮影する
まず、水中専用ニーソを履いている状態をイメージして、モデルの水中撮影を行なう。その際、モデルは、重しなどを使わず、かつ推進力に頼らず浮きも沈みもしない中性浮力を維持しなければならないという。
2)元写真と同じパースと照明でミニチュア撮影する
今回、撮影のための「水中専用ニーソ」は、NAOKIさんによって1/6サイズで左足のみが制作された。そして、このミニチュアモデルを、元写真と同じパースと照明で撮影。
3)ブツ撮りしたミニチュアを重ねる
撮影したミニチュアをパスでクリッピングし、元写真に重ねる。太ももや腕など、水中専用ニーソの手前に来る部分は、元写真をクリッピングして、コピーした物を手前に重ねている。
4)ぼかしを加えて被写界深度を表現する
ミニチュア撮影時には、全体にフォーカスを合わせるパンフォーカスで撮影。カメラと被写体の距離によってフォーカスが異なるため、パーツごとにぼかし処理を加えることで、ピントが合う範囲を指す「被写界深度」を表現する。
5)ノイズを加えてISO感度を表現する
元の写真は、取り込んだ光を処理する反応の度合いを意味する「ISO感度」を高め(この作例の場合はISO800)に設定して撮影されている。そのため、画像粒子にノイズが含まれている。そこで、重ねたミニチュア部分にもあえてノイズを加えることで、元写真との質感を合わせる調整をしている。
6)各種色調補正で色相・彩度・明度を微調整する
ミニチュア撮影時に濃く写り過ぎてしまった影や、揃っていない色相などを微調整して、さらに細かく元写真との違和感をなくしていく。ついに完成
以上の6つの工程を経て、「水中専用ニーソ」写真は完成している。完成イメージを思い描きながら水中モデルとミニチュアを撮影することで、思い通りのビジュアルを作成。ただし、どうしても違和感がなくならない時は撮影からやりなおすことも。
特撮技術に加え、1/6サイズを実物大に拡大しても違和感がない情報密度と精度をほこるNAOKIさんの造形技術と、「水中専用ニーソ」を履いている状態をイメージしながら、静止状態で中性浮力を維持できるモデル・しまりすちゃんの特殊能力があってこそ実現できたものだという。
すでに写真集を購入した人も、動画を見て写真作品の裏側を知れば、より楽しめることだろう。
2
この記事どう思う?
0件のコメント