「インターネット3世代」が見せる、アニメと音楽の新たな境地とは? fhanaインタビュー

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towanaから見た、メンバー3人

──今回ぜひともtowanaさんにおうかがいしたいことがあります。

towana はい。

──男性メンバーのお三方がtowanaさんについて語られていることはありますが、逆にtowanaさんからは男性メンバーの皆さんはどう見えていますか?

towana うーん(笑)。音楽的にはみんな凄いから尊敬しているんです。最初にメロディとドラムパターンのシンプルな音源をもらって、そこにみんなのアレンジが加わっていくのを一番近くで見ているので、「すごい!こういう風になっていくんだ!」と楽しく聴きながら、同時に尊敬しています。その他のこと……って何を言えばいいんですか?

yuxuki じゃあkevin君の印象から。

towana kevin君はね……ライブの時の煽りとか盛り上げ役を、もっと頑張ってほしい。

(一同爆笑)

──リアルな指摘が(笑)。

towanaさん

towana いや、kevin君にしかできないんですよ! 他の2人は常に演奏しているから。

kevin 僕は合間合間で煽ったりとか、そういうことがしやすいんですよね。

towana せっかく目立つんだから、kevin君も今よりもっとやってくれれば……もっとうまくやれるよう、 2人で研究していきたいなと思います。

kevin わかりました(笑)。

──ではyuxukiさんについて。

towana waga君は……痩せたよね(笑)。あとは、不思議な縁だなと思います。waga君とバンドをやっていなかったら、こうしてfhánaをやることもなかったので。

──ではリーダーの佐藤さんは?

towana リーダーには、私から言えることなんてないんですけどね。kevin君にはすごく言いやすいんだけど(笑)。リーダーが一番年上で、いつもみんなの指導役というか、導いてくれる立場なので。印象としては……いま話を聴いていると、こういう手(手首を90度に曲げた状態)をよくするなーって(笑)。

佐藤 全然気付いてなかった(笑)。 yuxuki よく見てますね。

佐藤 言いたいことが、ろくろの位置(身体の正面)じゃなくて、手の部分にあるんでしょうね。

towana ……とか、色々と独特なんですよね。何をやるにしても。こだわりが強くて、自分の音楽に求める水準も高いから、曲もこういう緻密な仕上がりになるんじゃないかなって。

──ありがとうございます。では、towanaさん自身の、ボーカリストとしての今後の目標はありますか?

towana もっとドンと構えていたいなというのはあります。レーベルの先輩ではJAM Projectさんや栗林みな実さんに憧れていて、ステージでの落ち着きがすごい。いつも通りのことをやっているのに格好良い、そういう歌い手に私もなりたい。でも憧れの人にはなれないので、私に合った方向で上達していければなという気持ちです。

ネット3世代が語る、音楽の変化と展望

──fhánaの皆さんは、それぞれ異なる世代でインターネットを通じた音楽発表をされてきて、現在の活動に至っています。そんな皆さんから、今のネットと音楽の関わり方を見て、何か変化を感じることはありますか?

佐藤 インターネットの普及で人々の価値観が多様化したと、よく言われていますけど、僕は意外と人々が望んでいることや、願いの本質的なことは、あまり変わらないんじゃないかなと感じています。昔の人も、今の人も、外国の人も、そんなに変わらない。

ただそれを伝えるためのルートが今は複雑になっていて、直接的に回路を通すのが難しい。だから端的に言えば、音楽を誰かに伝えることの難しさって人と人とが分かり合うことの難しさと同じだと思うんです。Twitterなんかとくにそうですけど、例えば、同じ内容でも言い方1つで伝わり方は変わるし、誰が言ったかでも受け取られ方は変わってしまう。

そんな中でアニメは一つの突破口だと思うんです。アニメ作品を媒介することによって、クリエイターとお客さんがつながって伝わることは多いので。クリエイター同士もそこでつながれるし、お客さん同士もネットでアニメの話題で盛り上がれますからね。初音ミクとかもそうですけど、もはやアニメは単なるコンテンツではなく、沢山の音楽を人々に接続するハブみたいなものになっているんじゃないかと。こういう変化をもたらしたのがインターネットですよね。

──ボカロPとして楽曲を発表されていたyuxuki さんはいかがですか?

yuxuki 例えば動画投稿サイトに曲をアップすると、ほぼ再生数とコメントで反応を確認する形になるので、誰か個人に伝えるための発表というよりは「つくったから自由に見てね」という感じになりますよね。不特定多数の人に向けて発信しているというか。

とは言いつつも、直接リプライをくれたりする人もたくさんいらっしゃいますし、そういうときは1対1の関係になるので、ライブやCDとは別の形で一人ひとりに何かを残していけたらなと思います。

──お2人より少し後の世代として、ネットレーベルで作品を発表していた kevinさんはいかがですか?

kevin 僕はこの中で世代的に一番若くて、高校生の頃にはもう動画投稿サイトがあったので、あまり変化を強く感じはしないですね。

でも人々が誰でも簡単に発信者になれるようになって、それこそネットレーベルは金銭的な利益を目的としていないことが多いので、音源ファイルを配った瞬間から表現者になれるので、創作へのハードルが下がったのかな、とは何となく感じていますね。

佐藤純一さん

佐藤 誰でも曲がつくれて誰でも作品が発表できるのは、理想的ではあるのかもしれないですけど、敷居が低くなることの悪い面もあると思うんですよ。その環境にいるユーザーの趣味嗜好に合わせて作品がつくられて、そこでの再生数やクリック数が多くなることが正義になっていく部分もあって。

──ジャンル問わず、創作物を投稿するサイト等でよく起こる現象ですね。そのコミュニティでの勝ちパターンが決まっていって、似たような作品ばかりになってしまう。

佐藤 コミュニティが新しいうちは良いんですけどね。だからある意味では、こういう音楽とか芸事では、狭き門の方が全体の質は高くなると思っています。コミュニティ内の流行とは別に、レコード会社なりプロデューサーなりが、それぞれ独自の感性で「これを推そう」と個人の意思を介入させて、リソースを割いてドーンと打ち出す力があった方が、多様性が増しますよね。

yuxuki きっと細かく見ていけば、良い作品をつくっている人もたくさんいると思うんですけど、大きな流れの中で埋もれてしまっている気がします。今は再生数がないとなかなか目が行かないですから。

佐藤 そういうのを誰かがピックアップして育てるシステムが必要なのではないかと思います。人気のあるものは、それはそれでやっていくとして、いま人気がないものの中で面白いことやレベルが高いことは、誰か力のある個人やプラットフォーム側の人が取り上げていかないと花が開かない。もちろんどちらも良い面と悪い面があって、その時代ごとにやり方を考えていかないとなと思います。

──意外というか、SNSをフル活用されているfhánaの皆さんですが、そこは一歩引いて見られているんですね。

佐藤 そうは言いつつも、そもそもネットがなければ僕たちは知り合ってないですからね。

yuxuki むしろそこから出てきたからこそ言える部分もあると思います。良いこともあるけど、それだけじゃないと。

──そうした文脈を知っているとなお、fhánaが今後発信していくものに期待が高まっていく気がします。これからの展望はありますか?

佐藤 有り体に言えば、もっとたくさんの人に fhánaを特別な存在として認識してもらって、もっと大きな存在になっていけたら良いなと思います。今は結成して 3年、デビューして1年ですけど、一過性のものでなく 数十年・数百年先にも振り返ってもらえるような足跡を残していきたいです。
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音楽ユニット

佐藤純一(サトウ ジュンイチ)、yuxuki waga(ユウキ ワガ)、kevin mitsunaga(ケビン ミツナガ)という男性3名のサウンド・プロデューサーと、女性ボーカリストのtowana(トワナ)によるユニット。

2013年夏、TVアニメ「有頂天家族」(原作:森見登美彦、制作:P.A.WORKS)のED主題歌『ケセラセラ』でメジャーデビュー。2013年秋にはTVアニメ「ぎんぎつね」(原作:落合さより、制作:diomedea)のOP主題歌『tiny lamp』を担当。
ユニットとして自身の音源を発表するほか、さよならポニーテール「魔法のメロディ」、DECO*27 feat. 初音ミク「二息歩行」、TVアニメ「ROBOTICS;NOTES」劇伴のRemixをそれぞれ担当。
また、ChouCho「looping star」や「life is blue back」、相沢舞「その刹那」のサウンドプロデュースを担当するなど、幅広い活動を行なっている。ライブ活動も積極的に行なっており、その際には佐藤純一(Key/Cho)、yuxuki waga(Gt)、kevin mitsunaga(PC/Sampler)、towana(Vo)という編成で出演している。
2015年2月4日(水)には、1stアルバム「Outside of Melancholy」をリリースすることも発表された。

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