「インターネット3世代」が見せる、アニメと音楽の新たな境地とは? fhanaインタビュー

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90年代J-POPをアップデートした「星屑のインターリュード」

「星屑のインターリュード」ジャケット

──今回のシングル「星屑のインターリュード」のお話をいただいたのはいつ頃でしたか?

yuxuki 5月頃じゃないですかね、夏のライブまでに9割方できていましたよね。

──タイアップ作品『天体のメソッド』のお話をいただいたときの感想はどうでした?

佐藤 脚本の久弥直樹さんがKeyというゲームブランドにいた人で、fhánaの男3人が好きな『kanon』などのゲームシナリオを書いていらっしゃった方なので、間違いなくfhánaに合う作品になると感じていました。

kevinさん

kevin 正直めちゃくちゃ嬉しかったですよ。

yuxuki 「オリジナルで久弥さん? マジっすか!? 」みたいな。

towana すごいことだよね。

佐藤 今回の『天体のメソッド』はオリジナルアニメなので、今までのタイアップみたいに原作を通して作品を理解するのではなく、途中までのシナリオや資料を見ながらの制作でした。

そういう違いはありましたけど、脚本が久弥さんワールドなので、Key作品好きとして集まったメジャーデビュー前のfhánaが自主制作でやっていたことに通じるものがあったので、すんなり入っていけたのはあります。

──towanaさんはいかがでしたか?

towana まず女の子が可愛いことが嬉しくて。一方でシナリオはかなりシリアスで、fhánaの音楽の真面目なところが合うんじゃないかなと思いました。

──『天体のメソッド』の作風は、 OP曲を手がけているのが数々のノベルゲームに携わってきたI'veの高瀬一矢さんというのもあり、2000年代のノベルゲームを思い出させる部分もあると思います。

佐藤 少し懐かしい感じはしました。でも2000年代前半のノベルゲームっぽい、例えばKeyの世界観の曲をそのまま再現するのも違うので、もう少しさかのぼって、自分が思春期のころに流行っていた90年代初期のJ-POPの記憶とそのキラキラ感を呼び起こしながら作曲していきました。

そこでも 90年代J-POPをそのままやるとダサくなってしまうので、アレンジで2014年のfhánaとしてアップデートしていく過程には時間がかかりましたね。具体的にはリズムをもっと生身の、ブラックミュージック寄りのハネたベースラインにしたりとか、ストリングスのアレンジもディスコソウル的な速いフレーズが歌と歌の合間に入ってくるようにして。

仕上がりは爽やかで哀愁ただようfhánaっぽい感じですけど、リズムはけっこう黒いノリで。あとスパイス的にダブステップ的なパターンや、EDMっぽいシンセパッドを使ったりとか。それらを不思議なバランスでまとめて、fhánaっぽい音楽にできたかなと思います。

──一方でボーカルのメロディは、それこそ90年代J-POP的な、爽やかさと切なさの同居する仕上がりになっていますね。towanaさんは歌われてみた感想はいかがですか?

towana 今までのfhánaのバンドサウンドと曲調が違って、こういう細かいリズムの曲を歌ったことがなかったので、合わせるのがすごく難しかったですね。

──ではけっこう歌い方の指示は入ったんですか?

towana それはあまりなかったんです。

kevin 今までの積み重ねで、言わずとも伝わる部分がありますよね。

towana ここはこういう風に歌ってほしいんじゃないかなと、だんだんわかってきた部分はあります。

アニメ作品との一体感を増していくfhánaのサウンド

──『天体のメソッド』はED曲も演出の一環として用いられていますよね。アニメーションの本編終盤からイントロがかかり、ED入りと共に曲の音圧が上がるようになっていて。元々こうした指定があったのでしょうか?

佐藤 それを前提につくって、結果イントロが長くなり、実際に放送される全体的な再生時間も長い曲になりました。そういう風に曲を使ってもらえるのはありがたいことですね。

yuxukiさん

yuxuki 名誉なことだし、今までより深く作品に関われたと思います。

──アニメ第1話はかなり切なさを強調したシナリオで、長めの尺を用いて登場キャラの乃々香とノエルのすれ違いが重たく描かれていました。そんな中であの ED曲と映像を見て、「次も観よう」とポジティブに興味を惹かれた人も多かったかもしれません。

佐藤 しんみりしたシナリオに対してEDがゆったりしたバラードだとベタになってしまうかなと思ったので、あえてEDにしてはアップテンポな曲調にして、切なさを際立たせるというか。歌詞も楽しい歌詞ではないんですよ。別れを表現したシリアスな歌詞が、曲とのコントラストでより心に響くように。

──実際に本編をご覧になられた感想はいかがですか?

yuxuki めちゃくちゃ良かったです。

kevin みんな一緒に観ています。第1話は僕の家で見て、第2話はスタジオのテレビで。

佐藤 実はあえて先のシナリオを読んでいないから、視聴者の皆さんと同じ目線で楽しんでいます。

──台本などはいただいているんですよね?

towana もらっているんですけど、結末を知ってしまうのがもったいなくて。途中までは曲のために読んでいるんですけど、そこから先は一緒に楽しみたいんです。

kevin 僕たちみんなアニメ大好きっ子なので。あとは EDのアニメーションもめちゃくちゃ良い絵をつけていただいて、その凄さにも感動しました。

──これまでのタイアップ作品でも、一緒に観ることは多かったですか?

佐藤 かなりあります。

yuxuki 第1話のときはたまたま一緒にいる率が高いんですよね。その流れでみんなで観ようってなります。

──その場で感想を言い合ったりしますか?

yuxuki いや、みんなTwitter……(笑)。

towana 放送後はみんな無言でTLを追っています。「ハッシュタグ盛り上がってる!」とか。

kevin 4人で「良かったねー」とか言い合うのはほどほどにして、反応がどうかなーと(笑)。

──fhánaさんらしいですね(笑)。
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fhána

音楽ユニット

佐藤純一(サトウ ジュンイチ)、yuxuki waga(ユウキ ワガ)、kevin mitsunaga(ケビン ミツナガ)という男性3名のサウンド・プロデューサーと、女性ボーカリストのtowana(トワナ)によるユニット。

2013年夏、TVアニメ「有頂天家族」(原作:森見登美彦、制作:P.A.WORKS)のED主題歌『ケセラセラ』でメジャーデビュー。2013年秋にはTVアニメ「ぎんぎつね」(原作:落合さより、制作:diomedea)のOP主題歌『tiny lamp』を担当。
ユニットとして自身の音源を発表するほか、さよならポニーテール「魔法のメロディ」、DECO*27 feat. 初音ミク「二息歩行」、TVアニメ「ROBOTICS;NOTES」劇伴のRemixをそれぞれ担当。
また、ChouCho「looping star」や「life is blue back」、相沢舞「その刹那」のサウンドプロデュースを担当するなど、幅広い活動を行なっている。ライブ活動も積極的に行なっており、その際には佐藤純一(Key/Cho)、yuxuki waga(Gt)、kevin mitsunaga(PC/Sampler)、towana(Vo)という編成で出演している。
2015年2月4日(水)には、1stアルバム「Outside of Melancholy」をリリースすることも発表された。

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