漫画『『HUNTER×HUNTER』と『[NARUTO -ナルト-]]』の初代担当編集者として知られる矢作康介さんが、両作品の制作秘話を明かした。
矢作康介さんは、アラブ圏の視聴者に向けて日本のポップカルチャーを紹介するYouTubeチャンネル「Mugen」のインタビュー動画に出演。
『NARUTO』の中忍試験編を構想した経緯や、漫画家の冨樫義博さんと岸本斉史さんに共通する物語のつくり方、漫画家と編集者の打ち合わせにおける両者の違いなどを語っている。
『HUNTER×HUNTER』『NARUTO』の編集を歴任した矢作康介
矢作康介さんは1994年に集英社へ入社し、「週刊少年ジャンプ」編集部に配属された編集者。
岸本斉史さんが新人漫画賞へ投稿した読切作品『カラクリ』をきっかけに担当となり、『NARUTO』では連載開始から2008年まで編集をつとめた。
また、冨樫義博さんの名作『レベルE』から編集担当となり、その後は『HUNTER×HUNTER』の連載立ち上げにも携わっている。
『NARUTO -ナルト-』第1巻/画像はAmazonより
インタビューの中で矢作康介さんは、『NARUTO』の波の国編が完結した時点で、次の展開が固まっていなかったと当時を回想。
直前まで『HUNTER×HUNTER』でハンター試験編が描かれていたことから、岸本斉史さんとの打ち合わせで「じゃあ中忍試験やるか!」と話し、試験形式のエピソードを構想したという。
矢作康介さんは「だから同じことやったんですよね」と率直に説明。当時インターネット上で批判を受け、岸本斉史さんからその反応を知らされたことも明かした。その後は読者の反応を踏まえながら、新しい展開を加えるなどして物語の流れを変えていったという。
冨樫義博は物語の展開を「描いてから」決める?
矢作康介さんは、岸本斉史さんと冨樫義博さんに共通する制作姿勢についても言及している。
両者は「○○編」と呼ばれる各エピソードの終着点をあらかじめ定め、物語の前半に仕掛けを置き、最後に回収することを意識していたという。
さらに、その章を通じて主人公やキャラクターを成長させ、読者にどのような感動を与えるかまで考えて構成していたと説明した。
『HUNTER×HUNTER』第1巻/画像はAmazonより
一方、編集者との打ち合わせ方法には大きな違いがあった。
岸本斉史さんは物語の展開や主人公の成長を事前に細かく固めるタイプで、矢作康介さんはネームが提出される前の段階からストーリーの内容を把握していたという。
対して冨樫義博さんは、物語の展開として複数のルートを考えているものの、打ち合わせでは詳しく内容を明かさず、「描いてから」と答えることが多かったと振り返った。
矢作康介さんは、冨樫義博さんのネームについては先の展開を知らない状態で読んでいたため、読者に近い感覚で楽しめたとも語っている。
アラブ圏へ日本の漫画産業を伝える「Mugen」
今回のインタビューを公開した「Mugen」は、日本に暮らすサウジアラビア出身のクリエイターが運営するYouTubeチャンネル。日本の漫画やアニメ、その制作産業について、アラブ圏の視聴者へ紹介する動画を発信している。
今回の動画でも、矢作康介さんに漫画編集者の仕事内容や編集者になる方法を尋ねた上で、『NARUTO』『HUNTER×HUNTER』の制作へと話題を広げている。
矢作康介さんは動画の終盤、近年サウジアラビアを訪れた際の経験にも言及。日本でつくられた漫画やキャラクターが、遠く離れた地域の人々にも感動を与えていることへの喜びを語った。
インタビューではほかにも、両作品を担当した当時の苦労、好きなエピソードやキャラクター、漫画編集者としての考え方など、約40分にわたって幅広い話題が語られている。
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