映画監督のマーティン・スコセッシさんが、生成AI企業のBlack Forest Labs(ブラック・フォレスト・ラボ)のアドバイザーに就任した。
同社は6月2日、画像生成AI「FLUX」を用いたマーティン・スコセッシさんとのストーリーボード(絵コンテ)制作セッションを公開。
「映画制作におけるvisual intelligence(視覚知能)」を掲げ、マーティン・スコセッシさんが「FLUX」を活用する様子を紹介している。
“ギャング映画の巨匠”ことマーティン・スコセッシ
マーティン・スコセッシさんは、ロバート・デ・ニーロさん主演の名作『タクシードライバー』をはじめ、『レイジング・ブル』『グッドフェローズ』『ディパーテッド』『キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン』などを手がけてきた映画監督。
1970年代以降のハリウッド映画を代表する作家の一人であり、暴力や信仰、都市社会を描く作品で知られる。映画保存団体・The Film Foundationを設立し、映画の修復/保存活動にも長年取り組んできた人物でもある。
「まるで映画だ」という称賛を意味するネットミーム「Absolute Cinema」/画像はKnow Your Memeより
近年は、マーベル映画について「cinemaではない」と発言したことでも話題に。フランチャイズ作品が劇場を占有し、個人作家の映画が届きにくくなっている状況を指摘した。
この発言から派生したネットミーム「Absolute Cinema」(「まるで映画だ」という称賛を意味する)でも知られている。
Stable Diffusion系譜のAI企業「Black Forest Labs」
そんなマーティン・スコセッシさんがアドバイザーに就任したBlack Forest Labsは、ドイツ・フライブルクを拠点とする生成AI企業。
同社には、画像生成AI「Stable Diffusion」などの研究/開発に関わったメンバーが参加しており、現在は画像生成AI「FLUX」シリーズを展開している。
特に、単なるテキストからの画像生成だけでなく、画像編集やキャラクター描写の一貫性、映像制作向けの制御性などにも注力。近年の生成AI業界において、「OpenAI」や「Midjourney」と同様に注目される存在となっている。
今回の発表では、マーティン・スコセッシさんを「human taste and craft(人間の感性と職人性)」を中心に据えるためのアドバイザーとして迎えたと説明している。
「映画をつくる」のではなく「頭の中を共有する」ツール
Black Forest Labsによれば、マーティン・スコセッシさんが「FLUX」で行ったのは、完成映像の生成ではなく、映画制作の前段階にあたるストーリーボード制作だ。
マーティン・スコセッシさんは公式コメントで、「頭の中にある映像をキャストやスタッフにどう伝えるか」は映画制作において重要な課題だと説明。
「FLUX」について、「cinematic intelligence(映画的知性)を伝えるツールだ」と語った。映画における構図やカメラの動き、演出意図を視覚的に共有するための道具として位置づけている。
AIをどこまで制作工程に入れるのかについては直近でも、映画監督のスティーブン・スピルバーグさんが5月、ロケ地探しなどの実務補助に使うことは認めつつも「脚本や物語づくり、キャラクター造形など創作上の判断をAIに委ねるべきではない」と発言して話題となった。
映画史を支えてきた巨匠たちの発言は、映像制作における生成AIの活用のあり方としても注目を集めそうだ。
この記事どう思う?
関連リンク
0件のコメント