はるまきごはんとキャラクターからの贈り物とは?
物語の主人公であるエテル・シアナについても、当初は銀河間鉄道への乗車を拒否していたというバックグラウンドが掘り下げられた。
大切な存在(カナリアのイーファ)を置いて行くことへの躊躇、先の見えない新天地への不安が語られたことで、過去への執着や未来への不安といった普遍的なメッセージがより鮮明になっている。
過去/現在/未来を見つめ直す節目を迎えた、はるまきごはんさんだからこそのメッセージと捉えることもできるだろう。
そしてアニメーションパートの最後には、エテル・シアナがハンドメイドギンガに到着した後のストーリーが追加。
楽曲「メルティランドナイトメア」に登場するキャラクター・メルティが、「長い旅になるからね。困ったときに開けて。きっと、助けになるよ」という言葉と共に、エテル・シアナにプレゼントの箱を渡した。
メルティから渡されたプレゼントは、観客やファンからすると、はるまきごはんさんが10年間で紡いできた作品やキャラクターという名の“贈り物”だ。
実際、10月にリリースされた『はるまきごはん 10th Year Complete Gift Box「おとぎの銀河団」』と、アニメーションパートでメルティが渡した箱は同じ模様の紐で結ばれている。
名実ともに「はるまきごはんとキャラクターたちからの10の贈り物」を収録したアイテムだ。
「私だけの銀河を見つけたら、またみんなに会いに来る」
「悲しみは翼に、後悔はみちしるべに さあ、新しい旅を始めよう」
プレゼントを受け取ったエテル・シアナは、メルティをはじめとするキャラクターたちと約束を交わし、翼を広げて旅立った。
はるまきごはんの創作世界を再解釈、未来へ進むための物語
エテル・シアナが翼を広げて旅立つシーンは、観客が作品世界から得た力を胸に日常へと戻ること、そしてはるまきごはんさん自身が過去10年間の創作を糧に、未来へと進む意志を示す場面でもある。
「悲しみは翼に、後悔はみちしるべに」と語られるように、これまでの時間や想いは、新たなステージへ向かうための力になる。はるまきごはんさんがこれまでの活動の枠にとらわれず、先に進んでいく決意表明のようだった。
「ハンドメイドギンガ Finale -新しい旅-」で挿入されたアニメーションパートは、はるまきごはんさんの10年間の創作世界を包括的に再解釈し、物語世界の起源と未来を見据える役割を担っていたと言えるだろう。
はるまきごはんさんやキャラクターたちを含めたすべての存在が、想像と記憶を糧に前へ進んでいく、象徴的な物語だったと言えるのではないだろうか。
アンコールはボカロPユニット“ZLMS”としてステージに
「ハンドメイドギンガ Finale -新しい旅-」のアンコールでは、スペシャルゲストとしてはるまきごはんさんが参加するボカロPユニット・ZLMS(ジルマス)が出演。メンバーであるジグさん、遼遼 a.k.a ルワンさん、雄之助さんが登壇し、賑やかなMCとなった。
ZLMSは、2017年に「初音ミク『マジカルミライ』」に合わせて毎年楽曲を発表するというコンセプトで始動したプロジェクト。しかし、2019年を最後に活動が途絶えており、今回のライブは久々の復帰だという。
10年近い親交があるZLMSのメンバーに対して、はるまきごはんさんは「こういう場で今4人で立てているのがすごく嬉しい」とコメント。
4人は代表曲「センシティブサマー」を華々しく演奏して、ステージを後にした。
なお、ZLMSとして「マジカルミライ 2025」への参加を匂わす場面も。「これまでの活動を総括しながら、未来への歩みを進める」というライブ全体のテーマとも重なった、意義深い一幕だった。
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