「〇〇担です」は宣伝であり、政治的外交である
特定のアーティストをランキング入りさせることを目的に、意図的に再生数や得票数などを稼ごうとするチャートハック行為。
推し活文化において、そういったチャートハック行為が必要になるのは、推しのアイドルの新曲リリース時や投票企画の実施時など、特定のタイミングに集中する。
そこで、それ以外の“平時”は他のファンダムのチャートハック行為に「〇〇担です」とアピールし協力することで、見返りとして“有事”に他のファンダムにチャートハック行為を協力してもらう。
つまり、ファンダム間で相互扶助の共犯関係が築き上げられているのだ。
アイドル戦国時代──そして政治化する推し活
群雄割拠のアイドル戦国時代と言われて久しい現代。YouTubeやSNSが発達することにおいて、さらに加速度的な盛り上がりを見せている。
こうしたチャートハック行為が横行する背景にあるのは、自分たちが推しているアイドルが他のアイドルよりも価値があると証明したいという、ファンダムの承認欲求だけではない。
誰にでもわかりやすい数字で結果を出さなければ、推しのアイドルの仕事が減ってしまい、場合によっては活動を続けられなくなってしまうという切実な危機感もある。
ランキング入りによって、少しでも推しのアイドルの露出機会を増やそうする、献身的なファン心理も理解できなくはない。
しかし、自分がイチオシする人物やキャラクターを愛でたり応援したりすることを指すはずだった推し活が、いつの間にかマーケティングや政治的な価値観に染め上げられてしまっていることは、考えさせられるものがある。
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連載
音楽配信の主流がCDからデジタルへ移り変わる昨今。CDの複数枚購入を促す従来の特典商法に加え、デジタルならではの「チャートハック」行為が音楽シーンに影響を及ぼしている。 アーティスト・レーベルの人為的な施策やファンダムによるチャートハックの是非。改めて、「音楽を楽しむ」とはどういうことなのか。 再生数やランキング結果など、わかりやすい「数字」の話題性・権威性に頼らず、アーティストや楽曲を知ってもらうためにできることを探る。
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