短尺動画プラットフォーム・TikTokが、多国籍音楽企業・Universal Music Group(ユニバーサルミュージックグループ)と、ライセンス契約を再度結んだことを現地時間5月2日に発表した。
今回の契約により、両社はユニバーサルミュージック所属のアーティストとソングライターに対する報酬の向上、彼らの楽曲やレコーディングの新たなプロモーションとエンゲージメントの機会、生成AI(ジェネレーティブAI)からの保護を実現するとしている。
TikTokとユニバーサルミュージックを巡っては、1月に契約更新が決裂したことが発表され、同月末に終了。
ユニバーサルミュージック所属アーティストの楽曲が、続々とTikTokで使用不可能になっていた。
TikTokとユニバーサルミュージックを巡るこれまで
TikTokとユニバーサルミュージックの契約決裂が明らかになったのは1月30日。
同日発表された声明の中で、ユニバーサルミュージックはTikTok側に「アーティストとソングライターへの適切な報酬」「AIの有害な影響からの人間のアーティストを守ること」「TikTokユーザーのオンライン上の安全性」について対処するよう求めたと説明。
さらに、TikTokがプラットフォームの力を使い、弱い立場にいるアーティストやソングライター、ファンを軽視した取引を認めさせようとしてきたと糾弾した。
対してTikTokは「ユニバーサルミュージックがアーティストやソングライターの利益よりも自分たちの欲望を優先したことは悲しく、残念です」と反論。
他のすべてのレーベルや音楽出版社とは「アーティストファーストの契約を結べた」とも主張していた。
対立から一転 所属アーティストの楽曲も復旧へ
対立から一転、新たなライセンス契約を結ぶという形で合意を見せたTikTokとユニバーサルミュージック。
今回の合意の一環として、両社はTikTokのeコマース(インターネット上で行われる物やサービスの取り引き)機能を活用した収益化の機会を実現するために協力。
また、ジャンルや地域を超え、ユニバーサルミュージックグループのアーティストを支援するキャンペーンを世界的に実施すると発表した。さらにTikTokは、アーティストを中心としたツールの構築に経営資源を投入するという。
また、TikTokはAIが生成した無許可の音楽をプラットフォーム上から削除するほか、アーティストやソングライターの帰属表示を改善するツールを提供するとも発表している。
そして両社は、音楽業界全体のAI開発が、人間の芸術性と、それらのアーティストやソングライターを巡る経済を保護しながら行われるように協力すると宣言。
なお、使用不可能になっていたユニバーサルミュージック所属アーティストの楽曲については、順次復旧作業を進めているとしている。
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