時事とリンクするタイトルを新作・旧作問わず取り上げ、“今読むべき漫画”や“今改めて読むと面白い漫画”を紹介していく本連載「漫画百景」。
十一景目は、弱小サッカークラブの厳しい現実と夢を描いた異色の漫画『オーレ!』です。
2月23日(金・祝)に新シーズンが開幕するプロサッカーリーグ「Jリーグ」。『オーレ!』ではJリーグをモデルにしたリーグと、そこで戦うサッカークラブおよび周囲の環境が描かれています。
あなたの地元にあるチームでも、同じようなドラマが今この瞬間に生まれているかも……というわけで、Jリーグ開幕前に“改めて読むと面白い漫画”として『オーレ!』を紹介します。
予算なし、過疎化が進む町の弱小クラブの長い冒険
『オーレ!』は単行本全5巻。サッカーとお金の関係を描いた『マネーフットボール』や、サッカーと食に焦点を当てた『ぺろり!スタグル旅』など、数々のサッカー漫画を手がけてきた能田達規さんによる一作。
現在は休刊している漫画誌『週刊コミックバンチ』(新潮社)で連載されていました。
物語の舞台は、千葉県南部の過疎化が進む町に拠点を置くプロサッカークラブ・上総オーレ。プロリーグ2部の下位に位置する上総オーレの浮沈に、一喜一憂する人々の物語です。
主人公は、町の市役所につとめる中島順治。市民の声を聞く課の職員として市民を訪ね、要望を聞いては“予算がない”という理由で却下。謝罪する日々を送る青年です。
仕事は市民の声を聞くだけ。「行動したら負けなんだよ」とうそぶく彼が、市長の命令で上総オーレに1年間の研修へ行くことに。そこでは、試合会場の運営をボランティアに頼り切り、選手たちが試合後のゴミ処理まで引き受ける上総オーレの劣悪な環境に直面します。
慣れない仕事に辟易としていた中島は、ボランティアのリーダーでアマチュア時代からチームを見てきた吉見祥子に「謝るのばかり上手くて何もできない」と罵られるはめに。
ここで思わず“大きな仕事”をするのが夢で市役所に入ったんだ! と言い放ったところ、上総オーレで夢を叶えればいいと返されて……。
“予算がない”現実に窮する弱小サッカークラブで、“大きな夢”を叶えるための、長い長い冒険の日々がはじまります。
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連載
テーマは「漫画を通して社会を知る」。 国内外の情勢、突発的なバズ、アニメ化・ドラマ化、周年記念……。 年間で数百タイトルの漫画を読む筆者が、時事とリンクする作品を新作・旧作問わず取り上げ、"いま読むべき漫画"や"いま改めて読むと面白い漫画"を紹介します。
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