韓国ゲーム業界で相次ぐクリエイターへの攻撃 PV内の「男性嫌悪のハンドサイン」巡り物議に

韓国ゲーム業界で相次ぐクリエイターへの攻撃 PV内の「男性嫌悪のハンドサイン」巡り物議に
韓国ゲーム業界で相次ぐクリエイターへの攻撃 PV内の「男性嫌悪のハンドサイン」巡り物議に

韓国発のオンラインゲーム『メイプルストーリー』

韓国発のオンラインゲーム『メイプルストーリー』のアニメPVに対して、一部ネットユーザーが「男性嫌悪的なハンドサインがある」と指摘。

その結果、該当PVが非公開となり、開発・運営のネクソンと制作したアニメスタジオ・Studio PPURI(뿌리)が11月26日に謝罪したことを巡って、物議を醸している。

また、『ブルーアーカイブ』等、他タイトルのゲームのアニメPVにおいてもその問題が波及している。

「過激なフェミニズムを暗示するハンドサイン」を問題視

騒動の発端になったのは、『メイプルストーリー』の職業「エンジェリックバスター」にまつわるアニメPV。

このアニメPVの中で、エンジェリックバスターが一瞬、親指と人差し指で挟み込むようなポーズをとったことを、一部のネットユーザーが問題視した。

この指の仕草が、フェミニズム・コミュニティ/掲示板サイト「Megalia(メガリア)」(2017年に閉鎖)のロゴに似ているとして、韓国の一部ユーザーの間において「過激なフェミニズムを暗示するハンドサイン」として批判の対象となっている(「男性器を卑下する意図がある」とも主張されている)。
韓国メディア「Asian Boss」がMegaliaについて街頭インタビューを行った動画
同時に、このアニメPVの原画を担当したアニメーターが、SNSでフェミニストを公言していることも槍玉に挙げられた。

「意図して入れたものではない」と主張するも 制作スタッフは処分

騒動を受けて、ネクソンは「広報物制作の過程で細心の注意を払わず、ご心配をおかけしたことを改めてお詫び申し上げます」と謝罪し、該当のPVを非公開に(外部リンク)。

対して、Studio PPURIは声明文を発表し「(フェミニズムを標榜するとされるハンドシグナルは)動作と動作の間に繋がったものであり、意図して入れたものでは決してありません」と主張。

また「(原画を担当したアニメーターが)このような動作一つ一つをコントロールすることは不可能」であるとも説明した。 しかしその一方、Studio PPURIは、該当スタッフを今後同社が制作するPV制作に参加させず、現在作業中のものすべて回収して廃棄することに決定。

「今後はこのようなことがないよう、社内でもう一度教育して、ご迷惑をおかけすることがないように注意いたします」と謝罪している。

『ブルーアーカイブ』も複数アニメPVが非公開に 統括Pキム・ヨンハもコメント

騒動はネクソンの系列会社が携わる他のオンラインゲームにも波及。

ブルーアーカイブ』『アラド戦記(韓国ではDungeon & Fighter)』のアニメPVにも同様の批判が寄せられ、運営が相次いで謝罪した。

『ブルーアーカイブ』のアニメPVにおいても、同様のハンドサインが確認されたとみられている。

複数アニメPVが非公開となった『ブルーアーカイブ』

それに際し、『ブルーアーカイブ』の統括プロデューサーであるキム・ヨンハさんは、「(映像広報物の)不適切な表現が『ブルーアーカイブ』の世界観を損なうなど、先生(※編注:ユーザー)の皆様にご迷惑と失望をおかけすることがないよう、綿密に準備いたします」とコメントを発表している(外部リンク)。

一方、今回のネクソン(系列会社)およびStudio PPURIの対応に関して、懸念する声も上がっている。

まず、男性嫌悪的表現だと騒がれる主張の根拠が乏しいにも関わらず、制作側がユーザー側の意見を鵜呑みにして処分することで、運営に前例をもたらしたこと。

そして、韓国ゲーム業界で、根拠の乏しい理由によって個人の思想を批判し、クリエイターが実質的に不当な処遇にさらされているような事例が近年いくつも起きているからである。

韓国ゲーム業界で相次ぐ、フェミニズムを支持したクリエイターへの攻撃

2016年、オンラインゲーム『CLOSERS』に登場するティナを演じた韓国の声優が、「Megalia」を擁護していると批判され、結果として降板させられたことがあった。
声優が降板した『CLOSERS』のティナ(티나)
それをきっかけに、一部ユーザーが女性イラストレーターやWebToon作家がフェミニズムを支持した発言などを問題視し、ゲームの制作会社にクレーム。その結果、クリエイターとの契約解除などを迫る事例が相次いだ。

このようなクリエイターへの攻撃・思想検閲的な流れを受け、韓国の国家人権委員会は2020年に「ゲーム業界内の女性嫌悪及び差別的慣行の改善が必要」と意見を表明している(外部リンク)。

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