「個人の薬物使用は緊急に非犯罪化すべき」 国連機関が声明を発表

「個人の薬物使用は緊急に非犯罪化すべき」 国連機関が声明を発表
「個人の薬物使用は緊急に非犯罪化すべき」 国連機関が声明を発表

The Palace of Nations

国連人権高等弁務官事務所(OHCHR)が6月23日に声明を発表した。

この声明は6月26日の「国際薬物乱用・不正取引防止デー」に先駆けて公開されたもの。

国際社会に対し、個人のための薬物使用と所持は緊急に非犯罪化されるべきであるとし、違法薬物犯罪の扱いについて処罰を支援に置き換え、人権を尊重・保護する政策を推進することを求めた。

犯罪化は医療サービスへのアクセスへの障壁

声明を発表したOHCHRは、世界各国における人権の保護と啓蒙を目的として活動する組織。国際連合に属する組織の一つで、組織的な人権侵害などに対処するため国際連合人権理事会と協力して活動している。

「国際薬物乱用・不正取引防止デー」は1988年に国際連合によって制定。この日に合わせて薬物依存症治療施設の建設などがおこなわれており、国内でも日本薬物対策協会が児童への薬物汚染対策についての教育・啓発を提言している。

声明では「犯罪化は医療サービスへのアクセスへの障壁となり、その他の人権侵害をもたらす」として刑法や行政制裁のもたらす悪影響について言及。

「国連の薬物関連問題に関する共通立場が求めているように、個人のための薬物使用と所持は緊急に非犯罪化されるべきである」と主張している。

「ハームリダクション」に基づいた政策の推進を提言

声明の中には「ハームリダクション」という用語も登場する。これは依存や薬物にまつわる健康や、社会上のリスクを軽減を目指した政策や立法を指す。

「ハームリダクション」の立場からの薬物の非犯罪化を進めた例としては、アメリカ・オレゴン州が挙げられる。オレゴン州では2020年にコカイン、ヘロイン、LSD、MDMAといったハードドラッグが、個人使用目的で少量の所持の場合に限り非犯罪化している。

またアジアではタイが2022年6月、医療目的に限ってマリファナの栽培や販売を解禁している。

麻薬の取り締まりが少数派に向けられた差別と重なる

声明は麻薬の取り締まりが、疎外されたグループ、少数派、先住民族に向けられた差別と重なることを指摘。

コカの葉など先住民族が伝統的に使用してきた物質の犯罪化は、先住民コミュニティの知識体系や医学の抑圧、弱体化、疎外につながると説明している。

特にアフリカ系・有色人種の人々について、麻薬関連犯罪を理由にした不当な法執行機関の介入、逮捕や投獄に直面している例に挙げている。

同じく、女性は犯罪化と投獄の影響を特に受けており、社会における体系的な男女不平等をより広範に反映している可能性があるとも説明している。
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