MZMコーサカが語る“TRPG”の魅力 楽しさも、動機もすべて「仲間」がいるから

TRPGも動画も、目の前にいる仲間のことを考え続ける

──配信でTRPGをプレイすることも多いですが、「見られる」という点で気を付けていることはありますか?

コーサカ 「見ている人がいるから」っていうのは絶対に考えないようにしてます。

シナリオがあって、その世界を仲間たちと全力で楽しむ。そこに配信のことを持ち込んでしまうと、オレの価値観ではTRPGを全力で遊んでいるわけではなくなっちゃうんです。

──逆に普段の配信や動画では、結構見ている人を意識されているんでしょうか?

コーサカ いや……そういえば一緒ですね! 普段の動画も「出演者のみんなが笑えばいいや」って思ってます(笑)。
仲間たちとの雑談を軸に企画を行う、MonsterZ Mateの動画スタイル
コーサカ もちろん、編集のときには「見ている人がいるから、ちょっとここが気になる」とかは考えてますけど、収録してるときは全く考えてないですね。

──今回、VTuberであるコーサカさんにTRPGについて取材するということで、「キャラクターを演じる」という方向での質問も考えていたんですが……コーサカさんは、そこはあまり考えてないですよね。

コーサカ そうですね。MZMはめちゃくちゃ素でやってますからね(笑)。

逆にVTuberとしてそういう形で活動をしてきたからこそ、ロールプレイの面白さにハマったのかもしれないですね。

狼男のアンジョーさんと、吸血鬼のコーサカさん、モンスターらしくない2人で結成されたMonsterZ MATE

コーサカ TRPGプレイヤーとしてのオレは、推理にメタな考察を交えたり、すぐ感情がシナリオに乗って「キャラクター=自分」になってしまうタイプで。

その境界が曖昧だからかもしれないですが、ここまでなりきることへの面白さを見いだしたのはTRPGが初めてでした

「お前らが遊ぶシナリオはオレが書く!」トップクリエイターたちへの恩返し

──コーサカさんはシナリオ執筆もされています。執筆のきっかけは何でしたか?

コーサカ 何かのときに、シナリオ制作者としても人気があって、GMとしてよくオレをセッションに誘ってくれていた、ぱぱびっぷやまだら牛ディズムむつーみたいなクリエイターたちと話していたことがあって。

彼らが「GMやってて、PLやる時間減ったわ」とぽろっと言ってたんですよ。

それを聞いたら「こんなに楽しい経験をさせてくれるのに、お前らはPLやってないんか!待ってろよ!」って思って、書き始めました。
コーサカさんが書いた初のシナリオ「マジックブルーの境界線」のテストプレイ
コーサカ 始まりがそれだったので、自分は「藍月なくる健屋花那だったら、こういう会話しそうだからこういうふうなシーンにしとくか」みたいに、ある程度友達が遊ぶことを想像して書いてます。

──コーサカさんは作詞や漫画の原作もされますよね。TRPGのシナリオ執筆とは違いがありますか?

コーサカ オレは元々、創作においては綿密に物語を組み立てるタイプじゃないんですよ。

その点では、プレイヤーの意思が介入して初めて物語が完成するTRPGは、全部を書き切らなくていいので肌に合ってるかもしれないですね。

コーサカさんが原作をつとめる公式コミカライズ作品『怪物男子と見えちゃう私』/画像は外部リンクAmazonから

コーサカ それでいうと、普段の動画の台本作りはTRPGのシナリオに一番近いかも。

動画の台本も、大枠だけつくって「(天開)司だったら、(歌衣)メイカだったらこういうことを話すだろう」と想定しながらつくってます。

──そうなると、新しいゲストの方を呼ぶときは不測の事態が起きるんでしょうか。

コーサカ そうですね。でも動画って現場では空気が悪くなっても、見てる方からしたらそれが面白かったりするんですよ。あとは編集の力で面白くしてもらってるところもあったり。

TRPGでも、GMの処理とか情景描写とかで、一見うまくいかなかったようなシーンを昇華させられる。そういうところも似てるかな。

友だちを喜ばせたいから、必死にデザインする

──コーサカさんが主に遊ばれているオンラインセッションでは、ツールの発達でビジュアルを整えるハードルが下がっています。実際にコーサカさんがプレイされるなかでビジュアルの重要性を感じた経験はありますか?

コーサカ 自分は没入感というより、単純にそのデザインとしての凄さに食らう場面が多いですね。

オレは、緑の紙を出して「森の中です」っていう情景描写がされれば、あとはプレイヤーたちの想像力で「オレらは森の中にいる」ってその世界に没入できちゃうのもTRPGの良いところだと思ってるんですよ。

ただ、GMがデザインとかの準備を凝るのって、没入感もあるけど友だちが喜ぶのが嬉しいからやってるところもあるじゃないですか

例えばテープレコーダーの録音を再生するっていうシーンがあったとしたら、普通にその内容を読み上げることもできる。GMがそこでわざわざ古い録音っぽくノイズをかけた音声データを作ってきてくれたら、「お前、こんなに準備してくれたんだ!」って興奮しますよね。

だからこそ、デザインとかビジュアルも含めて「これを仕込んだらあいつ喜ぶぞ~!」っていう仕込みをするのはみんなのためであり、オレにとっても楽しい時間になってます。

1
2
3

SHARE

この記事をシェアする

Post
Share
Bookmark
LINE

0件のコメント

※非ログインユーザーのコメントは編集部の承認を経て掲載されます。

※コメントの投稿前には利用規約の確認をお願いします。

コメントを削除します。
よろしいですか?

コメントを受け付けました

コメントは現在承認待ちです。

コメントは、編集部の承認を経て掲載されます。

※掲載可否の基準につきましては利用規約の確認をお願いします。

POP UP !

もっと見る

もっと見る

よく読まれている記事

KAI-YOU Premium

もっと見る

もっと見る

ゲームの週間ランキング

最新のPOPをお届け!

もっと見る

もっと見る

このページは、株式会社カイユウに所属するKAI-YOU編集部が、独自に定めたコンテンツポリシーに基づき制作・配信しています。 KAI-YOU.netでは、文芸、アニメや漫画、YouTuberやVTuber、音楽や映像、イラストやアート、ゲーム、ヒップホップ、テクノロジーなどに関する最新ニュースを毎日更新しています。様々なジャンルを横断するポップカルチャーに関するインタビューやコラム、レポートといったコンテンツをお届けします。

ページトップへ