今泉力哉「こういう原作の映画化の話が来ることはとても光栄」
映画化決定にあわせて、今泉力哉監督はコメントを発表。映画化にあたり原作者・豊田徹也さんと「ふたりきりで会っていろんな話をした」と振り返っている。その中で『豊田さんは「僕はいいんだけど、登場人物が嫌な思いをしない映画にしてください」と言った。登場人物が嫌な思いをしないように。とってもすてきな言葉だと思った」と、印象的だったメッセージについてコメント。
映画化や作品に対してはもちろん、原作者である豊田徹也さんへの思いが綴られている。
©豊田徹也/講談社 ©2023「アンダーカレント」製作委員会監督・今泉力哉さんのコメント
この世界にはそれが存在することで誰かが救われるという作品があって、そして、そういうものを生み出す人がいて、豊田徹也さんの『アンダーカレント』はそういう漫画で、豊田さんはそういう人だ。映画化にあたり、豊田さんと何度もふたりきりで会っていろんな話をした。はじめて会った日に4時間お茶をしたのだが、まだまだ話し足りなかった。帰り際、原田芳雄さんのエッセイ『B級パラダイス 俺の昨日を少しだけ』をいただいた。豊田さんは「僕はいいんだけど、登場人物が嫌な思いをしない映画にしてください」と言った。登場人物が嫌な思いをしないように。とってもすてきな言葉だと思った。コロナ禍でお茶をしたある日、会計時に自分の分のコーヒー代を、きっとこういうご時世だからだろう、衛生面からラップにくるんでご用意してくださっていて。この繊細さをきちんと映画にしたいと思った。私はキリスト教徒なのだが、熱心な信者ではなくて、それでもたまに教会に行くと心が澄む感覚になるのだが、自分にとっての豊田さんはそういう人で、会うと心が澄む。とても繊細で面白い方で、日々、自分は映画監督に向いていないなと思いながら映画をつくっているのだが、こういう原作の映画化の話が来ることはとても光栄だし、きっと器用に生きることができない人にしか生み出せないものがあると信じて、これからも生きていきます。かなえや堀も、今もどこかで元気でいてくれたら。
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作品情報
『アンダーカレント』
- 公開
- 2023年秋
監督:今泉力哉
脚本:澤井香織、今泉力哉
原作:豊田徹也『アンダーカレント』(講談社「アフタヌーン KC」刊)
製作幹事:ジョーカーフィルムズ、朝日新聞社
企画・製作プロダクション:ジョーカーフィルムズ
配給:KADOKAWA
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