IFPI(国際レコード・ビデオ製作者連盟)が、世界の音楽市場についてのレポート「Global Music Report 2022」を発表した(外部リンク)。
全世界における2021年の音楽市場は、SpotifyやApple Music等のサブスクリプション型ストリーミングサービスの成長が大きく影響し、総収入が18.5%増の259億米ドル(日本円にすると3兆円超)に。2020年度の成長率7.2%増を大きく上回る結果となった。
市場シェア率の最も高いストリーミングは総収入の65.0%を占めている。IFPIの報告によれば、ほぼすべての市場において、ストリーミングは主要な収益形式となっている。対して、CDやレコードなどのフィジカルのシェア率は19.2%となった。
ストリーミングは2020年の成長率19.1%から5ポイント上昇し、24.3%増の169億米ドルとなった。特に、有料ストリーミングは売上が21.9%増となり、全世界の音楽市場において47.3%を占めている。
2021年末における、ストリーミングサービスの有料会員数は全世界において5億2,300万人となった。
また、フィジカルの市場は20年ぶりに売上が増加。16.1%増の50億米ドルとなった。IFPIは、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)拡大に影響を受けた小売業の回復が一因と分析している。
国別の音楽市場ランキングにおいては、2020年度と比較して上位5ヶ国(アメリカ・日本・イギリス・ドイツ・フランス)は変化せず、6位と7位の韓国・中国の順位が入れ替わり、10位にイタリアがランクインした。
しかし、日本を除くとアジア全体の売上は24.6%もの増加を示している。
また、日本以外の市場ランキング上位の国は、アメリカが22.6%増、イギリスが13.2%増、ドイツが12.6%増、フランスが11.8%増といずれも2桁の成長率を示しており、それらと比較すると日本の成長率はやや見劣りすることは否めない。
日本レコード協会の発表によれば、2021年の日本の音楽市場において、CDやレコードなどのオーディオレコードの売上が約1279億9200万円だったのに対し、ストリーミングを含む音楽配信の売上は895億3800万円にとどまっている(外部リンク)。
前述した通り、世界全体では音楽市場におけるストリーミングの市場シェア率が65.0%という数値を占めているのに対して、日本ではストリーミングがフィジカルの売上を下回り、日本全体の音楽市場の50%以下というシェア率となっている。
もちろん、IFPIが使用している指標と日本レコード協会が使用している指標は異なる。しかし、IFPIが発表した世界全体の音楽市場の市場シェア率と比べてみると、日本におけるガラパゴスなCD文化の根強さはうかがえる。
事実、世界全体で見たフィジカルの売上において、IFPIによれば日本を含むアジアは全体の49.6%を占めている。
同じくIFPIが発表する、フィジカルの売上とデジタルのダウンロード数を合算して算出するランキング「IFPI Global Album Sales Chart」において、日本人アーティストが上位に入賞したのも、ストリーミングが含まれていない点にも一因がありそうだ。
全世界における2021年の音楽市場は、SpotifyやApple Music等のサブスクリプション型ストリーミングサービスの成長が大きく影響し、総収入が18.5%増の259億米ドル(日本円にすると3兆円超)に。2020年度の成長率7.2%増を大きく上回る結果となった。
市場シェア率の最も高いストリーミングは総収入の65.0%を占めている。IFPIの報告によれば、ほぼすべての市場において、ストリーミングは主要な収益形式となっている。対して、CDやレコードなどのフィジカルのシェア率は19.2%となった。
有料ストリーミング、音楽市場の4割弱を占有
2021年は、ストリーミング、フィジカル、実演権、シンクロ権(音楽と、テレビCMや映画等の映像を同期させて録音する権利)の売上が増加した。ストリーミングは2020年の成長率19.1%から5ポイント上昇し、24.3%増の169億米ドルとなった。特に、有料ストリーミングは売上が21.9%増となり、全世界の音楽市場において47.3%を占めている。
2021年末における、ストリーミングサービスの有料会員数は全世界において5億2,300万人となった。
また、フィジカルの市場は20年ぶりに売上が増加。16.1%増の50億米ドルとなった。IFPIは、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)拡大に影響を受けた小売業の回復が一因と分析している。
世界2位の日本市場、2020年度のマイナス成長から一転
IFPIによれば、音楽市場は世界すべての地域において成長。アジアは16.1%増、北米は22.0%、ヨーロッパは15.4%増となった。アジア全体の売上は世界全体の23.0%を占めている。国別の音楽市場ランキングにおいては、2020年度と比較して上位5ヶ国(アメリカ・日本・イギリス・ドイツ・フランス)は変化せず、6位と7位の韓国・中国の順位が入れ替わり、10位にイタリアがランクインした。
2020年には2.0%減のマイナス成長を記録していた世界2位・アジア最大の市場の日本は、今回9.3%増となった。【国別音楽市場ランキング(2021)】
1.アメリカ
2.日本
3.イギリス
4.ドイツ
5.フランス
6.中国
7.韓国
8.カナダ
9.オーストラリア
10.イタリア
【国別音楽市場ランキング(2020)】
1.アメリカ
2.日本
3.イギリス
4.ドイツ
5.フランス
6.韓国
7.中国
8.カナダ
9.オーストラリア
10.ニュージーランド
しかし、日本を除くとアジア全体の売上は24.6%もの増加を示している。
また、日本以外の市場ランキング上位の国は、アメリカが22.6%増、イギリスが13.2%増、ドイツが12.6%増、フランスが11.8%増といずれも2桁の成長率を示しており、それらと比較すると日本の成長率はやや見劣りすることは否めない。
日本に根付く“CD文化”、世界のストリーミング優位と乖離
この背景にあると考えられるのが、日本の音楽市場と世界の音楽市場の乖離。ストリーミングの市場シェア率だろう。日本レコード協会の発表によれば、2021年の日本の音楽市場において、CDやレコードなどのオーディオレコードの売上が約1279億9200万円だったのに対し、ストリーミングを含む音楽配信の売上は895億3800万円にとどまっている(外部リンク)。
前述した通り、世界全体では音楽市場におけるストリーミングの市場シェア率が65.0%という数値を占めているのに対して、日本ではストリーミングがフィジカルの売上を下回り、日本全体の音楽市場の50%以下というシェア率となっている。
もちろん、IFPIが使用している指標と日本レコード協会が使用している指標は異なる。しかし、IFPIが発表した世界全体の音楽市場の市場シェア率と比べてみると、日本におけるガラパゴスなCD文化の根強さはうかがえる。
事実、世界全体で見たフィジカルの売上において、IFPIによれば日本を含むアジアは全体の49.6%を占めている。
同じくIFPIが発表する、フィジカルの売上とデジタルのダウンロード数を合算して算出するランキング「IFPI Global Album Sales Chart」において、日本人アーティストが上位に入賞したのも、ストリーミングが含まれていない点にも一因がありそうだ。
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