「メタバース構想」って結局なんなの? DJ RIOが語るクリエイター経済圏

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Epic Gamesに『竜とそばかすの姫』…メタバースをめぐる動向をどう見る?

──先日、Facebookがメタバースとして、会議スペース「Horizon Workrooms」を発表しました。そのほか、『フォートナイト』のEpic Gamesはメタバース構想を進めている先導企業としても取り沙汰されています。ご自身のツイートでも軽く言及されていましたが、各社のメタバースに対する動きをどのように見ていますか? DJ RIO メタバースに多くの方が慣れ親しんでいただくためには、とにかく「アバターを使って仮想空間内でいろいろできる」というユースケースを増やすことが大事です。ですから「Horizon Workrooms」も、"会議"というコンセプトをちゃんと提示したことがありがたいと思います。

『フォートナイト』は僕もやっていて、何よりもすごいと感じるのは世界何億人というユーザーに「自分のアバターにお金をかける」というカルチャーを浸透させたことです。
Balenciagaによるデジタルファッションがフォートナイトに登場
日本や韓国だと「アバターにお金をかける」という文化がもう20年近く前からありますが、「アバターを売る」というビジネスが特に欧米で浸透したのはここ最近だと思います。『League of Legends』などもそうですが、自分のアバターの見た目に何十ドルもかけて、それが自分の資産や価値になる、というカルチャーを浸透させた功績は本当にすごいです。

──日本では、これまでもメタバース空間を描いてきた細田守監督のアニメ映画『竜とそばかすの姫』がヒットを飛ばしています。こちらもツイートで言及されていましたが、DJ RIOさんは本作を観て、どのように感じましたか?

DJ RIO 『竜とそばかすの姫』については、いくつか複雑な感想があって……。

まず映像と音楽が素晴らしかったです。

そして、「仮想空間でなりたい自分になる」様子を、多くの老若男女に見られる形で描くというのは、メタバース事業をやっている僕らとしては世間からの理解が進んですごくありがたいです。さらに、VTuberやメタバースに関するビジネスをやっていると、映画を観ていても、もうこれは未来やSFの話じゃなくて現実に起きていることなんだ、とワクワクしていました。
『竜とそばかすの姫』予告1【2021年7月16日(金)公開】
一方で、本作の話の軸の一つで「アバターの中の人を現実で特定する」となっていて、そこには今のエンタメコンテンツの中でメタバースを表現する上でのひとつの限界を感じました。

僕個人としては、オンライン上で行われていることも物理空間での出来事も、等しく現実の出来事なのですが、『竜とそばかすの姫』ではあくまで物理的な現実がメインに据えられていたので、やはり時代はまだ追いついていないのかな、と感じました。

──『竜とそばかすの姫』では、冒頭のシーンで自身とアバターが1対1対応で固定化されてしまう、といった設定も出てきます。

DJ RIO 「1人の人間がいくらでもアバターをつくって、それぞれに人格を使い分ける」というメタバース的なコンセプトはまだ多くの人に理解してもらいにくいいのでしょう。

『竜とそばかすの姫』は、「別の世界でなりたい自分になれる」というメッセージを描いているにもかかわらず、違う見た目ながら自分の肉体に依存したアバターがつくられてそれに縛られています。

僕は本来、世界やメタバースは複数あるべきだと思っていますが、映画では物理現実が1つに対してメタバースも1つだけ、メタバース内の肉体であるアバターも1つです。そうすると、メタバースの中で社会的に死んでしまえば、現実に加えてもう一つの辛い現実が生まれるだけになってしまう……。

メタバースは自分のアイデンティティの数さえも自由なので、そこの表現はもう一歩進んでほしかったという気持ちはありますね。

メタバースが普及していくためには?

──メタバースが普及するにはまだまだ時間がかかりそうです。普及するにあたっての課題はありますか?

DJ RIO 特別、普及にあたっての課題はないと思っています。

少なくとも「アバターを通じて"なりたい自分"になって、現実とは違った社会や人間関係を形成してコミュニケーションをする」という人が増え続けていくことは間違いないと思っています。なので、課題というよりも「どうやったらその普及を加速させられるか」ということを常に考えています。

──最後に改めて、メタバースが普及した未来像として「REALITY」が目指すビジョンをお教えください。

DJ RIO 今のREALITYとしては、とにかく「グローバルに大きくする」というキーワードを掲げて、開発・運用を進めています。

すでにサービス全体の85%以上が海外ユーザーになっていますが、これからも成長を続けていき、グローバル規模のメタバースサービスとして展開していければと考えています。そして、もうひとつは、パフォーマンスや創作活動、あるいはサービスの提供など、いろんな手段でお金を稼げるようなクリエイターエコノミーの強化をしていきます。

「REALITY」でグローバル規模の大きなメタバースをつくり、そこでクリエイターエコノミーが回っている状態をつくっていけたら良いですね。

広がる仮想空間上の経済圏

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