にじさんじ「#SitR東京リベンジ」ライブレポ 無念の延期からたどり着いた物語の続き

挑戦を歌うリゼ、歌声のギャップを見せる戌亥とこ・ベルモンド

2曲目に披露されたのは、リゼによる「ハッピーエンドをはじめから」。この曲は彼女にとって初めてのオリジナルソングであり、「僕は勇者になって 退屈から君を救いに行くのさ」という歌詞も、種類を問わず様々なゲームに挑戦していくリゼの配信を知っていると、実感を伴ってリスナーに刺さっていく。 3曲目には戌亥とこの力強い歌声でみきとPの「月陽-ツキアカリ-」が披露される。ブレス音をマイクにのせ、楽曲に込められた感情をより増幅させるボーカル術で曲を届けていく。昨年末にソロライブを開催し、定評のある歌唱力をいかんなく発揮していく。 4曲目のベルモンドによる「ホログラム」では、いつもの深みあるバス〜テノールボイスではなく、曲に合わせて高いトーンを出すのがとても新鮮に映った。

いずれも、普段のしゃべり口調からは想像できないような歌声であり、2人のギャップが光る。 ブロックごとに挟まれるMCでは、配信者としてのトークスキルが存分に発揮されていく。

ベルモンドに対していつも通りに積極的なアプローチするアンジュと、先述したように彼と長い付き合いがある笹木の2人によるバチバチとした口喧嘩が映し出され、徐々に“いつものムード”が会場に満ちていく。

8曲目にアンジュが歌ったナナホシ管弦楽団による「デリヘル呼んだら君が来た」は、アンジュを知る人なら“彼女らしさ”を感じるであろうチョイスだ。

自身の性癖や下ネタを何度も披露しているアンジュがこの歌詞を歌っていると、メロディのキーと声色がバッチリ合っていることもあり、心の中で笑いが止まらなかったリスナーも多かっただろう。 この選曲の意図を尋ねられ、アンジュは「この配信、親が見てるんよ」と答える。このあたりからちょっとした笑い声が漏れ聞こえ、肩を震わせて笑う観客がチラホラと見えてきた。

ライブという晴れ舞台において、決めるところは決めつつ、“いつものにじさんじ”が生み出すムードが徐々に観客をとらえ、安心して楽しめる空気へと変わっていく

笹木咲とリゼ、ライバーたちの物語が詰まった中盤戦

続いて、アンジュはHoneyWorksによる「スキキライ」をベルモンドとデュエット。その後「もういい! かえれかえれ!」と4人を退場させた笹木が10曲目として披露したのは、同じくHoneyWorksによる「私、アイドル宣言」だ。 自分を好きでいてくれるファンに愛を届けようと奮闘するアイドルを歌った曲であるが、「私は私でありたい!」という歌詞にもあるように自身を鼓舞する1曲でもある。

一度はにじさんじを卒業したものの、再度復帰したのちには、「ヤシロ&ササキのレバガチャダイパン」を筆頭に「にじさんじ公式」とつくイベントに引っ張りだこな彼女。

先述の歌ってみた動画「笹木は嫌われている。」では自嘲気味に世間(≒ファン)の声を歌った彼女が、この場ではまさに「アイドル」としてファンと向き合っているのはとても感慨深い

驚かされたのは、リゼのソロ2曲目となる13曲目、ニンテンドーDSで発売された『THE IDOLM@STER DearlyStars』のアイドル水谷絵理のキャラソン「プリコグ」だ。

その予想外の選曲には、シスター・クレア神田笑一月ノ美兎らアイマスを愛してやまないライバーたちも驚愕している。 リゼの薄く伸びていくハイトーンな歌声にピッタリなエレクトロ・ポップな曲調といい、「新曲か?」と勘違いしそうになるほどリゼに合ったこの曲だが、実はリゼがこの曲を選んだのには、彼女が敬愛する月ノ美兎が関係している。

2019年10月「だいたいにじさんじのらじお」第3回にて、パーソナリティーとして出演した月ノ美兎が、同回にゲスト出演するリゼを連想する曲としてチョイスしたのがこの曲であり、後日リゼはこの曲を実際に購入したことを報告している 体ごとつらぬいたこの痛み 生まれ変われるよ 今ここから 陽光を浴びてトロけるみたい 予知夢へと その向こう側へと」という歌詞など、この曲自体がリベンジ公演にまつわる流れを歌っているようにも読める。

しかしそれ以上に、敬愛する委員長がチョイスしたことや、過去を顧みつつも未来への希望を切々と歌っている内容といい、真面目なリゼが“いつもらしく”まっすぐに投げ込んできた選曲だと言えるのではないだろうか。

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