連載 | #3 ギャルが生きた30年史

AIKA&今井夏帆が現代版ギャルに 輪廻転生する彼女たちの今

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オタク向けコンテンツにも進出したギャル

アゴラインを細くみせれる“縦ピース”

かつてギャルは、女の子たちには支持されるが、教室の地味な男の子たちからは敬遠される存在だった。だが2010年代には、オタク向けコンテンツにもギャルが多く登場するようになった。

累計発行部数500万部突破のライトノベル『俺の妹がこんなに可愛いわけがない』は、平凡を愛する高校生の主人公・京介が、ギャルで中学生の妹・桐乃に振り回されるという話である。

妹は、クラスで一番華やかなグループに属するいわゆるギャルだ。ティーン誌で読者モデルをやっているし、髪の毛も「ライトブラウン」で「両耳にピアス」のギャル属性。ただし、めちゃめちゃマニアックなエロゲーのファンであることを周囲には隠している。

それを知ってしまった兄が、妹の知らない側面に触れていくというもの。第1巻の発売が2008年で、2010年以降にドラマCDやアニメ、ゲームなど多メディア展開が進んでいく。

著・伏見つかさ、イラスト・かんざきひろによる『俺の妹がこんなに可愛いわけがない』/画像はAmazonより

一方『月刊少年エース』で2016年より連載中である植野メグルの『はじめてのギャル』は、“非リア充”のさえない高校生の主人公・ジュンイチが、ミニスカートでルーズソックスの“白ギャル”こと八女ゆかなと付き合うことになるのだが、彼女は実はガードが固く、キスも未経験という設定。

オタク向けコンテンツにもギャルが登場した理由は、ギャルとオタクに大きく二分していた2000年代以降のスクールカーストが反映されるようになったからだろう。強めの女の子に振り回される男子というのは、ラノベに限らずラブコメの必勝パターンではある。その強めの女の子キャラが現代ではギャルと重なったのだ。

ただし、2010年代のスクールカーストにおいては、前述した通りギャルがかつてほど上位のグループではなくなっていた。また、こうした作品を実際のギャルに読ませても、「リアルじゃない」「キスも未経験なギャルなんているのか」といった反応が返ってきた。フィクションで求められるギャル像と現実のギャルとの解離は大きそうだ。

輪廻転生を続けるギャルの現在地

2018年に公開された映画『SUNNY 強い気持ち・強い愛』では、1995年当時のコギャルたちが作品世界の中心に置かれ、当時の様子がかなり忠実に再現された。広瀬すず、池田エライザといった女優たちが、映画の公開イベントなどでコギャルコスプレを披露し、インスタなどでその話題が広く拡散された。

衣装やメイクによる再現度も高かったが、なかでも彼女たちを使い捨てカメラ「写ルンです」で撮影した写真が話題を集めていた。粒子の粗さや安いフィルムの色再現の低さは、むしろ今のインスタのフィルターをかけた写真の雰囲気に似ており、リバイバルなのに“新しい”という反響だった。ギャルの輪廻転生を見ているような気がする
「SUNNY 強い気持ち・強い愛」全曲メドレーPV
これまで3回に分けて、ギャルの30年史を振り返ってきた。ギャル文化の面白さは、常に進化しているようでありながら、同時にリバイバルを繰り返してもいるところだ。現代のギャルは90年代のコギャルとは切り離された別の文化のようであり、2周目、3周目のリバイバル現象にも見える。

例えば、使い捨てカメラやプリクラなどを通じて、当時コミュニケーションの中心となった写真は、現代ではデバイスとメディアがスマホ・SNSに進化したが、写真そのもののコミュニケーションにおける価値は、以前から変わっていないのだ。

閉塞感の漂う日本経済、消費をしない若者たちという社会の中で、ギャルだけが元気でわかりやすい若者像を示していたのだろう

旧来のいかにもなギャル風ファッションは、今では下火なのかと思いきや、一方で、YouTubeで人気を集める「制服の着こなし方」動画などを見ると、昔ながらの着崩しが支持されていたりする。

一時期、制服は着崩さないのが明らかにトレンドだったが、今はどちらも共存しているようだ。これからもこんな調子で、ギャルの時代は、まだまだ続くのだろう。ギャルは転生し続けるが、同時に普遍でもある

今井夏帆さんの出演作品をチェックする(FANZA)AIKAさんの出演作品をチェックする(FANZA)【画像】AIKAさんと今井夏帆さんによる2010年代ギャルをもっと見る 次回、2人のオフショット&インタビューは12月20日(金)公開予定

ギャルの30年間を振り返る

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ギャルが生きた30年史

女性における日本特異の文化として、時代の流行とも絡みながら平成の30年間に独自の変遷をたどってきた「ギャル」。 振り返れば常にギャルがいた平成から令和を迎え、その元年が終わろうとするいま。2020年という新たな10年間を前に、1990年代/2000年代/2010年代と時代を彩ってきたギャルを振り返る。 書き手は1973年に生まれ『ケータイ小説的。』(2008年)で浜崎あゆみらギャル文化の象徴とケータイ小説との密接な関係に切り込んだライターの速水健朗。 象徴的なアイテム・制服をまとい各年代のギャルを演じるモデルは、ギャル女優として活躍するセクシー女優のAIKAと今井夏帆というギャル文化をリアルタイムで経験してきた2人。 当時のギャルを取り巻く環境とその中で彼女たちが武装化、部族化、ハードボイルド化していったのか。それぞれが経験してきた(または未体験の)ギャル文化に思いを馳せてほしい。

関連キーフレーズ

AIKA

セクシー女優

1990年8月25日生まれ。ティーパワーズ所属
Twitter:https://twitter.com/AIKA50
Instagram:https://www.instagram.com/aika_honmono/

今井夏帆

セクシー女優

Twitter:https://twitter.com/imai_arrows

速水健朗

編集者・ライター

主な著書に映画やドラマに描かれた東京を論じる『東京β 更新し続ける都市の物語』(筑摩書房)や『フード左翼とフード右翼』(朝日新書)。『バンド臨終図巻』(文春文庫)などがある。佐藤大、大山顕らと結成する団地団にも在籍中。現在、1980年代のバブル時代の文化やドラマについての書籍を執筆中。
Twitter:https://twitter.com/gotanda6
Blog:https://hayamiz.hatenablog.com/

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