成人向けサービス「FANZA」から、新たに「FANZA電子書籍読み放題」サービスが10月2日にスタートした。その名の通りアダルトコミックが、雑誌・単行本含めて月額1480円(税込)で楽しめる。
1月、2020年の東京オリンピックを背景に、大手コンビニ3社が店舗から成人向け雑誌(厳密には「類似図書」)を撤去する意向を発表。現在は、ほとんどのコンビニから成人向け雑誌コーナーが姿を消している。 そもそもの風当たりの強さに加え、取り扱いスペースの減少。市場の縮小が懸念される一方で、それらのジャンルにおける電子書籍が果たす役割は、日増しに大きくなっている。
アダルトコミック専門のサブスクリプションサービス「FANZA電子書籍読み放題」には、逆風が強い現在だからこそ、春の発表時点から大きな注目が集まっていた。
そう──みんな注目していた、楽しみにしていた、待っていたんだ。
当初5月に予定されていたサービス開始は「夏から秋頃の開始を目標に」と延期され、いったい僕たちはいつまで待てばいいのかわからぬまま、悶々といたずらに時を過ごしていたという同志諸君も多いことだろう。
いてもたってもいられなくなったKAI-YOUでは、サービスローンチにあわせてFANZAの担当者にメールインタビューを実施。サービスを立ち上げた経緯やその狙い、作家や出版社への還元、同人作品の取り扱い、そして延期の理由など、気になる質問をぶつけてみた。
取材:新見直 文:恩田雄多
FANZA担当者(以下、FANZA) サービスとして特に意識はしていませんでした。プロジェクトが立ち上がった段階ではコンビニ撤去の話はなかったのですが、すでに店舗内でのスペースの縮小をはじめ、そもそも成人向け作品への風当たりが強い状況でした。
加えて、過去作品などがどんどん埋れていってしまうのが非常にもったいなく感じていたので、新たなユーザー層へのアプローチも必要と感じたところから、読み放題のプロジェクトがスタートしました。
──当初は5月にリリースが予定されていましたが、ここまで延期せざるを得なかった理由を教えてください。
FANZA サービス開始直前にユーザービリティーなどの改善余地が発覚したためです。結果的に、当時焦ってサービスを開始するより、ユーザーにより満足いただける内容に仕上がっていると思います。
──FANZAではすでに複数の定額制サービスを展開しています。それらでの実績を踏まえて、アダルトコミックでもサブスクリプションを展開されるという側面もあるのでしょうか?
FANZA 弊社の他サービスのサブスクリプションの実績は試算の上では参考にしましたが、計画自体は実績ありきでスタートしていません。
読み物コンテンツという意味では、FANZAではすでに「成人向け小説」や「成人向け写真集」などを展開していますが、「FANZA電子書籍読み放題」にあたっては、まず作品数の多いコミック(単行本・雑誌)でユーザーに喜ばれようという考えからスタートしています。
とはいえ、小説や写真集などニーズがあれば今後サービスの拡充面で検討したいと思います。
FANZA 契約面の話となるので明確にはお答えできませんが、読み放題サービスを通じて、実際の収益に限らず作家や出版社の認知を上げる支援になると考えています。
読み放題で認知して、絵が好き、話が好きなどの共感を得ていただいたら、新作を購入していただく、という流れが生まれることも期待しています。
──出版社に限らず、同人作品も対象となるのでしょうか?
FANZA 同人作品については対象ではありません。今後展開するかどうかについては、可能性の有無で言えば無くはないです。
ただ、商業誌と同じやり方で良いとは考えられないのと、取引数が膨大になってしまうので、もろもろ慎重な検討が必要と考えています。
──オリジナルコンテンツの配信といったことも考えているのでしょうか?
FANZA 現時点では考えておりません。他社と提携して作成したコンテンツであれば現在も多少あるので、そういった側面でしたらあります
FANZA 弊社はお取り引きのある全出版社の対象作品すべて取り扱いたいというコンセプトですので、特に住み分けは意識しておりません。
──出版社横断のサービスという意味で「エロ漫画界のKindle Unlimited」とも言えるかと思いますが、そういった意識はありますか?
FANZA 「エロ漫画界のKindle Unlimitedをつくろう!」として始めるわけではなく「狭まる市場をどうにかしたい」というのが本音です。ただ、見え方、感じ方はそれぞれかなとは思います。
──現時点では「日本最大級」とされていますが、今後、海外展開の可能性もあるのでしょうか?
FANZA 各国の規制ルールをはじめ様々な障壁があるため、現時点では考えていません。
──特に成人向け漫画は、一般漫画以上に、海賊版の横行が目立ってきました。海賊版の横行への対策として読み放題サービスを開始するといった側面もあるのでしょうか?
FANZA 「読み放題サービスをもって海賊版対策とする」ということはないですね。確かに読み放題サービスは一面では抑止につながるかもしれませんが、それ以上に毅然とした対応を取ることが重要と感じております。
弊社では、海賊版を扱っているサイトへに健全化を促したり、悪質な場合は訴訟まで動くといった対応も行っております。
ついに始まったFANZAによる電子書籍読み放題。税込月額1480円でアダルトコミック35000冊が楽しめる。決済方法はクレジットカードに対応している。
初回登録から14日間は無料お試し期間となっているので、まずは待ちに待ったサービスのローンチを祝福しつつラインナップをチェックしてみよう。
1月、2020年の東京オリンピックを背景に、大手コンビニ3社が店舗から成人向け雑誌(厳密には「類似図書」)を撤去する意向を発表。現在は、ほとんどのコンビニから成人向け雑誌コーナーが姿を消している。 そもそもの風当たりの強さに加え、取り扱いスペースの減少。市場の縮小が懸念される一方で、それらのジャンルにおける電子書籍が果たす役割は、日増しに大きくなっている。
アダルトコミック専門のサブスクリプションサービス「FANZA電子書籍読み放題」には、逆風が強い現在だからこそ、春の発表時点から大きな注目が集まっていた。
そう──みんな注目していた、楽しみにしていた、待っていたんだ。
しかし、である。【お知らせ】
— FANZA電子書籍(旧DMM.R18電子書籍) (@FANZA_ebook) May 17, 2019
FANZA読み放題につきまして、5月開始予定でしたが都合により延期させていただくことになりました。ご期待いただいております中大変申し訳ございません。
現在夏~秋頃の開始を目標により良いサービスにできるよう鋭意準備を進めております。日程等決まりましたら随時ご報告いたします。 https://t.co/0RumN0ZAp9
当初5月に予定されていたサービス開始は「夏から秋頃の開始を目標に」と延期され、いったい僕たちはいつまで待てばいいのかわからぬまま、悶々といたずらに時を過ごしていたという同志諸君も多いことだろう。
いてもたってもいられなくなったKAI-YOUでは、サービスローンチにあわせてFANZAの担当者にメールインタビューを実施。サービスを立ち上げた経緯やその狙い、作家や出版社への還元、同人作品の取り扱い、そして延期の理由など、気になる質問をぶつけてみた。
取材:新見直 文:恩田雄多
漫画だけでなく小説や写真集もニーズがあれば
──「FANZA電子書籍読み放題」の経緯についてお聞きします。いわゆるエロ本がコンビニから撤去される中、アダルトコミックにおける電子書籍の重要度は増しているように思いますが、そうした背景も意識されていたのでしょうか?FANZA担当者(以下、FANZA) サービスとして特に意識はしていませんでした。プロジェクトが立ち上がった段階ではコンビニ撤去の話はなかったのですが、すでに店舗内でのスペースの縮小をはじめ、そもそも成人向け作品への風当たりが強い状況でした。
加えて、過去作品などがどんどん埋れていってしまうのが非常にもったいなく感じていたので、新たなユーザー層へのアプローチも必要と感じたところから、読み放題のプロジェクトがスタートしました。
──当初は5月にリリースが予定されていましたが、ここまで延期せざるを得なかった理由を教えてください。
FANZA サービス開始直前にユーザービリティーなどの改善余地が発覚したためです。結果的に、当時焦ってサービスを開始するより、ユーザーにより満足いただける内容に仕上がっていると思います。
──FANZAではすでに複数の定額制サービスを展開しています。それらでの実績を踏まえて、アダルトコミックでもサブスクリプションを展開されるという側面もあるのでしょうか?
FANZA 弊社の他サービスのサブスクリプションの実績は試算の上では参考にしましたが、計画自体は実績ありきでスタートしていません。
読み物コンテンツという意味では、FANZAではすでに「成人向け小説」や「成人向け写真集」などを展開していますが、「FANZA電子書籍読み放題」にあたっては、まず作品数の多いコミック(単行本・雑誌)でユーザーに喜ばれようという考えからスタートしています。
とはいえ、小説や写真集などニーズがあれば今後サービスの拡充面で検討したいと思います。
同人作品は「可能性の有無で言えば無くはない」
──各出版社、作家への還元システムについてお聞きします。サービスに加入することで、出版社や作家への応援になると考えてよろしいのでしょうか?FANZA 契約面の話となるので明確にはお答えできませんが、読み放題サービスを通じて、実際の収益に限らず作家や出版社の認知を上げる支援になると考えています。
読み放題で認知して、絵が好き、話が好きなどの共感を得ていただいたら、新作を購入していただく、という流れが生まれることも期待しています。
──出版社に限らず、同人作品も対象となるのでしょうか?
FANZA 同人作品については対象ではありません。今後展開するかどうかについては、可能性の有無で言えば無くはないです。
ただ、商業誌と同じやり方で良いとは考えられないのと、取引数が膨大になってしまうので、もろもろ慎重な検討が必要と考えています。
──オリジナルコンテンツの配信といったことも考えているのでしょうか?
FANZA 現時点では考えておりません。他社と提携して作成したコンテンツであれば現在も多少あるので、そういった側面でしたらあります
「エロ漫画界のKindle Unlimited」は目指していない
──成人向け漫画の定額制サービスとしてはワニマガジン社刊行の雑誌を取り扱う「Komiflo」があります。運営への以前のインタビュー(関連記事)では、将来的な他社コンテンツの取り扱いに言及していました。「Komiflo」との住み分けなどは考えているのでしょうか?FANZA 弊社はお取り引きのある全出版社の対象作品すべて取り扱いたいというコンセプトですので、特に住み分けは意識しておりません。
──出版社横断のサービスという意味で「エロ漫画界のKindle Unlimited」とも言えるかと思いますが、そういった意識はありますか?
FANZA 「エロ漫画界のKindle Unlimitedをつくろう!」として始めるわけではなく「狭まる市場をどうにかしたい」というのが本音です。ただ、見え方、感じ方はそれぞれかなとは思います。
──現時点では「日本最大級」とされていますが、今後、海外展開の可能性もあるのでしょうか?
FANZA 各国の規制ルールをはじめ様々な障壁があるため、現時点では考えていません。
──特に成人向け漫画は、一般漫画以上に、海賊版の横行が目立ってきました。海賊版の横行への対策として読み放題サービスを開始するといった側面もあるのでしょうか?
FANZA 「読み放題サービスをもって海賊版対策とする」ということはないですね。確かに読み放題サービスは一面では抑止につながるかもしれませんが、それ以上に毅然とした対応を取ることが重要と感じております。
弊社では、海賊版を扱っているサイトへに健全化を促したり、悪質な場合は訴訟まで動くといった対応も行っております。
ついに始まったFANZAによる電子書籍読み放題。税込月額1480円でアダルトコミック35000冊が楽しめる。決済方法はクレジットカードに対応している。
初回登録から14日間は無料お試し期間となっているので、まずは待ちに待ったサービスのローンチを祝福しつつラインナップをチェックしてみよう。
成人向け漫画の表現について
この記事どう思う?
サービス情報
「FANZA電子書籍読み放題」サービス
- 価格
- 月額1,480円(税込)
- 決済方法
- クレジットカード
関連リンク
0件のコメント