クリムゾンさんといえば2019年で画業20周年を迎える成人向け漫画界の大御所であり、現在も第一線をひた走る。独特の展開やセリフ回しがインターネット上で話題になることも多い。
アイテムは漫画『痴漢囮捜査官キョウカ』『新退魔士カグヤ』『一年間痴漢され続けた女 -光月ユウナ編-』を題材に、原作者完全監修のもと尋常ではないこだわりによって制作されている。有名漫画家とグッズメーカーの強力なタッグによって実現した、二次元から三次元へのメディアミックスだ。
今回は美少女コミック研究家・稀見理都(@kimirito)さんに話を伺い、画業20周年を迎えたクリムゾンさんの作家としての特異性を振り返りつつ、監修をつとめたクリムゾンさん、そして「マガ♡これ」の担当者の両者にメールインタビューを敢行した。
さまざまな視点から「クリムゾンホール」をレポートしたい……のだがビジュアルが強烈なため、商品画像についてはリンク先を紹介するかたちで進行していく。
美少女コミック研究家が語るクリムゾンの特異性
美少女コミック研究家として『エロマンガ表現史』(太田出版)などの著書で知られる稀見理都さんは、クリムゾン先生を「決して王道的な軸がブレることがない、安心・安定の世界観。長期間にわたってファンが求める作品を提供し続けている」と評している。一方で、周囲の環境の変化に対して「常にアンテナを張っている」点もクリムゾンさんの特徴だ。「携帯コミックでクリムゾン作品に出会った」という人も多いと思うが、稀見理都さんによれば「クリムゾンさんは当時の携帯コミックの隆盛にきちんと対応していた」という。作家なら誰もが自身のやりたい表現をモチベーションに、長期間であればなおさら作風に変化をつけたくなる場合が多いもの。それをあえてポリシーを掲げ、大きく変えず、ファンに「クリムゾンさんなら期待を裏切らない」と思わせながら飽きさせない、そういった制限がある中で新作をつくり続けていくのは、クリムゾンさんの特筆すべきポイントだと思います。
同人誌時代からストーリー展開やキャラに関するアンケートを実施するなど、ファン目線を意識していて、そういう意味ではプロ意識やサービス精神が強い。自分自身とファンの「好き」を両立させて長年活動を続ける数少ない作家の1人だと思います。
当時からセルフブランディングに長けていたクリムゾン先生。作品に登場する「くやしい…!でも…感じちゃう!」というセリフはインターネットミームにもなっている。2000年代後半以降の携帯コミック、いわゆるガラケーコミックの盛り上がりに合わせて、当時の携帯電話というプラットフォームに対応して漫画を描いていた印象です。例えば携帯コミックでは1ページごとではなく1コマ・1枚絵ごとに表示されていたので、従来の漫画とは読まれ方が異なります。
またカラーページの使い方などにも工夫があり、大ゴマとなるページにカラーを差し込む手法などもよく使われていた印象があります。読む側からすると、1枚カラーが挟みこまれることで、以降のモノクロのコマもカラーに見えてしまう。そういった携帯コミックならではの形態を意識して、コマの描き方やカラーページを入れる場所など、演出をいち早く最適化して対応したのがクリムゾンさんでした。
表現においては「電気ショック的表現で女性の快感を表現するのがクリムゾンさんの特徴」だと稀見理都さんは分析する。
最後に成人向け漫画をモチーフにしたアダルトグッズについても話を聞いたところ、2010年前後をターニングポイントとして、パロディーではない公式グッズが展開されることが増えているという。「拘束された女性が、電気ショックが走るとともに快感を得る」という表現が、クリムゾンさんならではのポイントだと思います。ミーム化したセリフ以上に、意外にも使っている人があまりいない表現で、電気ショック(的表現)がエスカレートして最終的に女性が快楽に堕ちてしてまうというのは、過程と結果を描く上でも効果的な表現です。作品を読んだ人ならわかると思いますが、画面としてもすごく映えるんです。
続いて、クリムゾンさん本人の言葉で自らの作風を振り返るとともに、「クリムゾンホール」というアイテムが生まれた経緯について、開発担当者にも話を聞いていく。こうしたアダルトグッズはかつて、実写をモチーフにする場合が多かったと思います。それまでは二次元と三次元は水と油のようにあまり混じり合うことはなかったのですが、2000年頃からAVでもアニメや漫画を原作とする作品が出てきたりして、徐々に二次元と三次元の垣根がなくなっていきました。実際クリムゾンさんの作品もたくさんAV化されていますよね。いわゆる二次元のキャラを使ったアダルトグッズも登場しますが、最初は有名作品のパロディーが中心でした。
そこからアダルトグッズ自体が市民権を得て専門店以外でも取り扱われるようになるとともに、2010年頃を境につくり手側と受けて側の両方に新しい感性を持った世代が台頭してきたんだと思います。その結果、より感情移入しやすく、なおかつ原作者もファンもメリットが得られる公式のアダルトグッズが展開されているのではないでしょうか。
クリムゾン「作品内容にリンクする製品を」
──画業20周年おめでとうございます。商業誌のみならず、同人誌上の規模拡大、携帯コミックの発展など、漫画の読まれ方も変わってきました。いずれの業界でも活動されているクリムゾンさんから見たこの20年について、印象的な出来事などを教えてください。クリムゾン 2011年に携帯コミックでもっとも売り上げが多かった作家になれたのが印象的です。それぞれの時代でうまく新しい分野に参加することができて良かったと思います。
──現在、携帯コミックでの知名度も非常に高いクリムゾンさんですが、なぜ自身の作品が携帯コミックという市場でヒットしたと思いますか?
クリムゾン よく言われているのが、「コマが大きくかつセリフもテンポが良いので、小さな画面でも読みやすい」「絵がとてもエロいわけではないが平均的である」「引いた視点の構図が多かったので修正部分が少なくて済む」などですね。
──ご自身の作風の特徴をどのように認識されているのでしょうか?
クリムゾン 自分の作風は初心者向けだと思っています。ストーリーや内容が王道なので。あとは実際に読者の平均年齢が若いというのも理由の1つですね。
──作品には不自由な状態の女性を屈服させるといったシチュエーションが多く見受けられます。こういったシチュエーション・作風を固めたのはいつ頃なのでしょうか?
クリムゾン 作風はデビュー当時から変わっていないですし、あえて変えていません。本能的なものなんだと思います。
こういったシチュエーションを描く際に気をつけていることがいくつかあって、「死なない」「妊娠しない」「廃人にならない」「気持ちよくなる前に挿入はしない」「なるべくよだれや精液などで顔は汚さない」「女性が寝る床面はなるべく柔らかい場所にする」などです。
──「マガ♡これ」での企画を含め、アニメやグッズなどのメディアミックスにおいて多くの監修作業があるかと思います。その際に気をつけていることやこだわりはありますか?
クリムゾン 先ほど挙げたシチュエーションにおけるこだわりに関しては気をつけて監修しています。
でも、基本的にはコラボ商品に関してはつくった方の意見を尊重しています。今回だと、たとえばホールの大きさなどに関しては専門外なので、それほど指定などはしていませんが「それぞれ作品の内容にリンクするような製品を」というコンセプトでお願いしました。
───クリムゾンさんの作品は、「マガ♡これ」のようなアダルトグッズとの親和性があるような気がします。
クリムゾン 作品に関しては親和性がとても高いものもあると思います。そうではない作品については「あるような…無いような…」という感じです。
どちらかというと、女性を気持ちよくさせることに重点を置いている作風なので、ローターとか媚薬みたいなグッズのほうが親和性があるかもしれませんね。
───最後に、クリムゾンさんといえば「くやしい…!でも…感じちゃう!」のように、作品で使われてきたセリフがネットミーム化しておりますが、ご自身として新たに注目されているセリフはありますか?
クリムゾン こういうものは自分で狙っていくようなものではないと思っていますので、今後も何かみなさんの心に響くようなものが生み出せられたらいいですね。
「マガ♡これ」担当者が語るクリムゾンホール制作経緯
──KMPで「クリムゾンホール」の企画が始まった経緯について教えてください。マガ♡これ担当者(以下、マガ♡これ) 企画は2019年3月頃にスタートしました。市場ではKMPのアダルトグッズは女優さんとのコラボグッズのイメージが強いんですが、そこで培った経験を二次元キャラクターのグッズ製造に活かすことでもっと面白いアイテムがつくれると思い、企画が始まりました。
──コラボ先としてクリムゾンさんの作品が選ばれた理由は?
マガ♡これ 第1弾としてリリースするには強烈なインパクトが欲しかったため、圧倒的な知名度を誇るクリムゾンさんにお願いしました。
ただ、普通にコラボグッズをリリースして他社と造形が似たようなものになってしまったらあまり意味がないと考えた末、作品にフォーカスすることになりました。
クリムゾンさんの世界観を形にしやすくて、なおかつ人気のあるシリーズにフォーカスし、今回の3作品を選びました。
──それぞれの製品についてのこだわりや、差別化について気をつけた部分などを教えてください。
マガ♡これ キョウカは「上下への快楽」、カグヤは「縛り」、ユウナは「尻への屈辱」と、作品のテーマがはっきりしているので、それをしっかり押さえた造形にすることが一番の差別化になると考えました。
キョウカは不感症、カグヤは処女、ユウナは屈強なトレーニングを積んだ身体なので、中の構造はキツめにすることで、ファンの方にも思い入れを持って使っていただけると考えました。
──今後の商品展開についての意気込みをお聞かせください。
マガ♡これ これまでのグッズ制作ノウハウをフルに活かして、作家さんの世界観を忠実に再現したグッズをこれからもリリースしていきます。
9月から11月まで3か月連続でのリリースもありますので、今後の展開にご期待ください!
(c)クリムゾン
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