巷では『Pokémon GO』にちなんで「ハリポタGO」などと呼ばれ、早くも親しまれていますが、果たしてどんなゲームなんでしょうか。
魔法界の発覚の危機を救う
本作は魔法界のものがあふれ出してしまったマグル(=非魔法族)の世界が舞台。最新の拡張現実(AR)技術を使った現実世界の冒険に出かけ、魔法によって囚われた物体や事象、動物、おなじみのキャラクター、さらには記憶を適切な場所に戻していきます。
プレイヤーは、魔法界を襲った「大災厄」の謎を解き明かし、それを封じ込めこの危機を救うため、国際機密保持法特別部隊の新入隊員に。 映画最終作『ハリー・ポッターと死の秘宝 PART2』公開からはや8年。ゲームを始めると大人になったハリーも出迎えてくれました。 さっそく歩いていると回収対象である「魔法の痕跡」や、呪文エネルギーを補充する「宿屋」、魔法薬の調合に使う「材料」を発見することができます。
筆者はレベルが低いためか確認できませんでしたが、魔法界の象徴的な場所へVRのような没入感のある体験で行くことができる「移動(ポート)キー」などを発見することもできるようです。Step through a portkey in #HarryPotterWizardsUnite and you'll enter a fully-realized VR environment. pic.twitter.com/FvFwPMoGnr
— Dan Cooper (@danielwcooper) 2019年3月11日
魔法を使ってみる
チュートリアルを終えると、蜘蛛の巣に囚われたハグリッドを発見! ARモードでは画面をドラッグして指示された形にカーソルをあわせ、相手を一定時間カーソルに捕らえると魔法詠唱が開始。(ARモードをオフの場合はこの場面から)呪文ごとに異なるシンボルを指で描いて詠唱。速度と正確さでその効果が判定されます。 魔法で捕まえたり戦ったりして「登録簿」を埋めていく収集要素も、もちろん盛り込まれています。 その後も遊んでいるとレベル2にアップ。レベル2になると日別で条件をクリアすると様々な報酬を受け取ることができる「デイリー任務」が開放されます。
ほかにもレベルを上げることで闇祓い、魔法動物学者、教授といった職業に就くことができる「職業」制度なども。
さらに、仲間の魔法使いとの協力プレイによって、より高いレベルの脅威に挑むことで、レア報酬を受け取ることができる「魔法使いチャレンジ」に挑戦できるようになったりとやりこみ要素も充実しています。
他のARゲームとの違い
その後もプレイを重ねましたが、360度全方位型の最先端AR技術によって再現されたきめ細かな3Dグラフィックは見事でした。プレイヤーが主人公としてプレイするなりきり要素も楽しく、「大災厄」の裏に隠れた真実などの謎を解明していくストーリーモードのつくり込み方は他のARゲームにはあまりない要素かもしれません。
ハリポタ直撃世代の編集長コメント
22歳の筆者は、ハリポタ直撃世代ではありません。そこで、この「ハリポタGO」を楽しみにしていたという編集長からコメントを寄せてもらいました。
(c)PORTKEY GAMES, WIZARDING WORLD, HARRY POTTER: WIZARDS UNITE, characters, names and related indicia (c) and ™ Warner Bros. Entertainment Inc. Publishing Rights (c) J.K. Rowling. (c)Niantic, Inc. All Rights Reserved (s19)Harry Potter characters, names and related indicia are trademarks of and (C) Warner Bros. Entertainment Inc.Harry Potter Publishing Rights (C) J.K.R.(C) 2019 Warner Bros. Entertainment Inc. All rights reserved.87年生まれの自分は、『ハリー・ポッター』と共に人生を歩んできたと言っても過言ではない。
記念すべき第1作『賢者の石』を読んだのは12歳のこと。11歳のハリーのめくるめく冒険物語に胸を高鳴らせ、徹夜で読みふけった日のことは昨日のことのように思い出せる。
ファンタジーと言えばミヒャエル・エンデくらいしか触れたことのなかった自分にとって、巻を重ねながらゆっくりと成長していくハリーたちは、より身近な友達のような存在だった。
さて、そんな自分が待ちに待った『ハリー・ポッター:魔法同盟』もとい「ハリポタGO」。
Googleのジョイントベンチャーとして立ち上がったNianticが、これまでGoogleが培ってきた地図情報と、「Ingress」そして「Pokémon GO」を通して集められたユーザーの手による他に類を見ない世界地図という資産を武器に、「ポケモン」という日本発の巨大コンテンツの次なる一手として世界を熱狂させた「ハリー・ポッター」というグローバルコンテンツを投下するというこの試み。
心待ちにしないわけがない。ただ、現時点でこの「ハリポタGO」は、「ポケモンGO」とは真逆とも思える戦略をとっていることが気になっている。
「ポケモンGO」は当初、交流要素や戦闘、交換要素などがほとんどなく、ポケモンを集めるというただ一点のみに絞ってリリースされた。
それがために、ゲームとしてはわかりやすく敷居は低かったのだが、ある程度その世界観を堪能しお気に入りのポケモンを集めきったユーザーから次々に離れていったという経緯もある。
ただし今では「ポケモンGO」には対人戦や交換機能などが実践され、当初とは全く異なるゲームとなり、コアユーザーを中心にプレイされている。
しかし逆に「ハリポタGO」は、最初から“やれることが多すぎ”て、多くのユーザーが戸惑っているという現状がある(まだ実装されていない機能も多そうだが)。
成長したハリーやハーマイオニー(まだロンには出会っていない)の姿を見られること、AR機能によって『ハリー・ポッター』の世界に自分がそのまま入り込めていることをファンとして素直に喜ぶと同時に、実際のゲームシステムが複雑で戸惑っている自分がいるのも確かだ。
日本に先駆けてアメリカやイギリスでは配信されていたが、海外での反響を伝え聞くところによると、自分の感触とかけ離れていない。
例えばForbesではやはり「ポケモンGO」と比べると低調な滑り出しであることを伝えている。(外部リンク)
Forbesはこの状況を、そもそも「ポケモンGO」の大ヒットが異例すぎること、ゲームの複雑度を増したこと、そして『ハリー・ポッター』自体が人気のピークからある程度経ってしまっている点を挙げている。
いずれも同感であり、もっと言えば「ポケモン」は映画にゲームにと今なおその勢いを増しているモンスターコンテンツであり、舞台用の脚本だけが存在する続編『ハリー・ポッターと呪いの子』の小説化や映画化の続報が聞こえてこない現状にあって、「ハリポタGO」によってシリーズ自体が息を吹き返すという未来は想像しにくい。
もちろん、目の前にある現実のすぐそばに、普段は目には見えない魔法使いたちの暮らす異世界が広がっているという「ハリー・ポッター」の世界観とAR技術の相性の良さは言うまでもない。
複雑な設定は新たに本作で展開される「ハリー・ポッター」の世界観に奥行きを与えていることも事実で、「ポケモンGO」が重視していないゲームのストーリーに重きを置いている点にも期待がもてる。
現実というレイヤーにファンタジー世界のレイヤーを加えるこの試みがどこまで受け入れられるのか。ユーザーとして楽しみながら見守っていきたい。新見直より
進化する位置ゲー
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作品情報
ハリー・ポッター:魔法同盟
- 提供プラットフォーム
- iOS, Android
- 提供元
- WB Games、 Niantic, Inc.
- 開発元
- WB Games San Francisco、 Niantic, Inc.
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