本連載は、ストリートから浮かび上がるポップ・カルチャーにスポットを当て、いつもとは別の顔をした、さまざまな女性たちの新しい一面を発見していく。連載第7回はレトロな趣味を持つこの女性が登場です! 18歳でのデビューから2年。現在20歳になった新進気鋭の人気セクシー女優架乃ゆらさん。 昭和歌謡や文学が好き、小学校から太宰治にハマっている早熟の文学少女は、「ことば」と心情表現を大切に、黙々と自分の世界に浸るのが好き。物語に描かれた機微や、意図を読み解きます。
年齢と、あどけないビジュアルからは想像できない、レトロスペクティブな趣味の数々をご覧ください!
取材・文:岡本尚之 写真:永峰拓也 衣装提供:BLACK BRAIN Clothing 取材協力:新宿コパボウル
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レトロなカルチャーに囲まれて
色彩を詩に乗せる松本隆への愛
──趣味が昭和歌謡ということで驚いたんですけど、どういうきっかけなんですか?架乃ゆら(以下、架乃) 高校生くらいの時に、YouTubeで見た「うしろ髪ひかれ隊」というユニットにハマったんですけど、彼女たちが歌っているのを聴いて「なんだこれは!」と思ったのがきっかけですね。
そこから松本隆さんという作詞家さんを知り、彼の書く詞が好きになってしまったんですよ。特に、松田聖子さんの歌で、松本さんが作詞をしている楽曲に夢中になりました。
最近では、Apple Musicで昭和歌謡のチャンネルみたいなものがあるんですけど、そこから聴いて良さそうなのを入れたりしていますね。
──松本隆さんのどういったところに惹かれるんでしょうか?
架乃 松本さんは色を使った表現をよくされるんですね。それがおしゃれだなあと。松本さんはその時の心情を色で表すタイプの作詞家さんなんですよね。
松田聖子さんの曲にもよく色が出てくるんですけど、「赤いスイートピー」とか、挙げるともうキリがないくらい、タイトルにも歌詞にも出てきます。
女の子の気持ちって、ひとつの色では表せないと思うんですよ。さまざまな感情の変化がありますよね。それを上手く表現されているから、惹かれるんだと思います。松本隆さんの「はっぴいえんど」というバンドも好きで聴いています。
小6からハマった太宰治『人間失格』
──昭和歌謡といえばメロディ、みたいな印象を持っているんですけど、架乃さんは歌詞に注目されたんですね。架乃 言葉が好きで、昔から本をよく読んでいたんですよ。太宰治さんが一番好きで、小学校6年生くらいかな? そのあたりから読むようになりました。
──はやい!
架乃 全然(笑)。最初は背伸びみたいな感覚で『人間失格』『パンドラの匣(はこ)』を読んでいて。内容はあまり分かっていなかったんですけど、頑張って読んでいくうちに少しだけ分かってきました。
この時代の作家さんが良いなと思ったのは、言葉使いが独特なところです。「今の私たちの話し言葉では絶対に使わない言葉を使っているな」「おしゃれだな」と思って。 ──ほかの方も読んだりするんですか?
架乃 太宰さんを読んで、ほかの作家さんも読んでみたんですけど、一番夢中になれたのは太宰さんでしたね。
太宰作品で、特に面白いなと思ったのは『皮膚と心』です。「女の人に肌荒れが出て、最悪」みたいな話なんですけど(笑)。
主人公が「私がこの世でいちばん醜いんじゃないか」と悩む描写を淡々と書かれていて。そこでいつもは気弱な夫が支えるという、すごくいい作品なんですよ。
ほかにも、女性の立場で書いている話はいくつかあって、「なぜ女性の気持ちがこんなにも分かるんだろう」と思っていました。
──それはもう完全に文学少女ですね…。
架乃 いや、太宰作品だけなのであまりそれは…(笑)。でも、本を読んでもそれを誰にも共有せずに、自分だけで噛み締めていました。内省的という意味では文学少女みたいだと言えるかもしれません。
純喫茶情報はTwitterから
──中学時代は演劇部に所属していたとうかがいました。言葉による表現という視点で見られると思うのですが、最近は観劇に行きますか?架乃 たまに! 劇団四季も観ますし、小劇場も行きますよ。今、恵比寿マスカッツというアイドルグループをやっているので、メンバーが出ている演劇は、なるべく行くようにしています。
昔からある劇場は情緒があって好きなんです。というか、昔の文化のようなものが好きなのかもしれないですね。純喫茶もよく行きますし。
──純喫茶?
架乃 行っているんですよ。調べてから行くときもありますし、この場所に行ったらここ、という有名なところにも行きたいので、それはTwitterで調べて行きます。
「#純喫茶コレクション」というハッシュタグがあるんですが、いろんな純喫茶情報がゲットできるんです。アカウントもあって、4万人近いフォロワーがいます。
今日は新宿での撮影ですけど、このあたりだと「らんぶる」という純喫茶がおすすめです。
──すごく広くて高級感あふれる場所ですね。ゆっくり本も読めそうですね。
架乃 いや、実は外ではあまり読まなくて。喫茶店は紅茶とサンドイッチとか、美味しいケーキセットを頼んで、「美味しいなあ」と思いながら食事を楽しめる空間だと認識しています。
目標は一人で韓国に行くこと
──お家でもオフの日や夜は紅茶を飲みながら、ゆっくりしたり?架乃 家にいる時はネットになっちゃいますね。YouTubeを見てます。昭和歌謡の動画も見ますし、猫を飼っているので、猫の動画を見たりとか。
今の流行りの曲が分からないんですよね。学生時代からまわりにオタクしかいなかったので(笑)。
──けっこう色んな趣味を持った方々がいらっしゃったんですか?
架乃 そうですね、2.5次元とかボーカロイドとか、本当にいろいろ。私自身、昔からオタク気質だったからすんなり輪にとけ込めたんでしょうね。
中学生のとき『黒執事』にすごくハマって、少年漫画のような「友情・努力・勝利」があるストーリーが好きです。 ──普段の服装には、自分の趣味が明確に表れたりするんでしょうか?
架乃 カジュアルだけど女の子っぽいものを着ちゃいますね。『ar』という雑誌が好きでよく読んでいます。
モデルさんはツヤ肌みたいだし、かわいくて。人懐っこくて色気がある人に憧れているんですよね。
──今まで経験していないことで、これからやってみたいと思うことはありますか?
架乃 K-POPが好きなので、韓国に行きたいなと思っています。以前、一人で愛媛県の猫がたくさんいる島に行ったんですが、それが楽しかったのでまた一人で行きたいなって思っています、気も楽ですし。
そもそも東京に来てから、都内にしかいないので、まずは東京を出ることを目標にしたいです(笑)。 架乃ゆらさん出演作品をチェックする(FANZA)
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連載「ガール・ミーツ・ストリート」
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架乃ゆら
セクシー女優
1998年12月28日生まれ、S1専属女優。恵比寿マスカッツメンバー。
公式Twitter:https://twitter.com/kano_yura
公式Instagram:https://www.instagram.com/kano__yura/
永峰拓也
写真家
1985年生まれ。
雑誌、広告等でポートレートを中心に撮影。
HP:https://www.takuyanagamine.com/
BLACK
ファッションブランド
ディレクター・iLLNESSが手がけるストリートブランド。2015年頃より不定期にインターネット上で販売を開始し、ストリート/ネットカルチャーに敏感なユース世代を中心に絶大な人気を集めている。YouTuberのマホトさん、ラッパーのJinmenusagiさんやJUNKMANさんらが好んで着用。ラフォーレ原宿や#FR2にてポップアップストアも開催。
公式HP:http://blackbrain.tokyo/
Instagram:https://www.instagram.com/blackxbrain/
連載
どこかの誰かが、飲み屋でこぼした言葉に「新しいカルチャーはいつも、ストリートから生まれる」というものがあった。そうだ、新しいカルチャーはいつだって、ストリートから生まれてきた。 若者たちがカウンター・カルチャーの狼煙をあげたのだって、どこかの街の一角だった。誰も立ち入らないガレージだった。コンビニの駐車場にあるパーキングブロックに座って話しながらでも、何らかの文化は生まれてきた。ストリートは何も路上でなくてもいい。 街のクラブや小汚いライブハウス、人の気配のしない居酒屋。きらびやかなタワーのラウンジからだって、カルチャーは生まれてきた。誰もがその場所を、「ストリート」だと認識する限り。 本連載は、ストリートから浮かび上がるポップ・カルチャーにスポットを当て、いつもとは別の顔をした、さまざまな女性たちの新しい一面を発見していく。
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