2017年からはじまったバーチャルYouTuber(VTuber)シーン。ブームから既に1年以上が経ち、多くの人気VTuberたちが活動一周年を迎えている。
彼らは一体どこへ向かうのだろうか? ネット上でYouTuberと遜色ない存在として人気を確立し、バラエティ番組にバーチャルタレントが出演することが当たり前になる、そういう未来だろうか。
あるいは彼らは我々をどこへ連れていこうとしているのだろうか。VTuber、アバターを介したコミュニケーションが当たり前になった世界とはどのようなものだろうか。
そんな少し先の未来について、デビュー以来バーチャルとリアルの境界を飛び越えて活動し続けるVTuberユニット・KMNZ(ケモノズ)を例に挙げて考えてみよう。
彼女たちが活動の場所にバーチャルという空間を選んだ理由を考えることから、見えてくる景色があるはずだ。
特徴的なのは彼女たちの動画投稿のスタイルだ。
バーチャルYouTuberという言葉の通り、多くのVTuberは実際のYouTuberと同じ形式の動画(モノマネや検証、ドッキリや物申す等)を投稿しているが、KMNZの2人はそのような動画を投稿していない。VR - Virtual Reality (Music Only) / KMNZ [Official Music Video]
「歌ってみた」動画やオリジナル楽曲の映像は楽曲の世界観を反映した1枚絵で固定されたシンプルなものがほとんど。
2人はKMNZRADIOと称して投稿される雑談配信で3Dモデルの姿を披露するものの、動画のサムネイルはお決まりのイラストだ。
ストリート風の意匠を取り入れた彼女たちの3Dモデルの作成には多くの手間や予算がかかっただろうと予想できるにも関わらず、それらは全面に押し出されていない。KMNZ LITA RADIO #1
「歌ってみた」動画の選曲からも明確な意図が汲み取れる。
LITAさんがカバーする楽曲は椎名林檎さんやくるりにスチャダラパー、あるいはtofubeatsさんのようなJ-POPやシティポップのものが中心。琥珀色の街、上海蟹の朝 - くるり(Cover) / KMNZ LITA
一方のLIZさんのチャンネルに投稿されるのはみきとPやナユタン星人さんによるボカロソングやアニメソングが中心になっている。
ふわふわ時間 - けいおん!(Cover) / KMNZ LIZ
音楽を全面に押し出した活動方針。J-POPやシティポップなどのストリート文化とボカロやアニソンのインターネット文化を並び立たせるような選曲。
これらはYouTuber事務所のプロデュースというより歌い手、音楽レーベルとしてのブランディングに思える。
彼女たちを手がけるのはバーチャルIPプロダクションのFicty。グリー株式会社取締役の荒木英士氏が代表をつとめるWright Flyer Live Entertainment社との共同プロデュースという形で運営が行われている。
本格派バーチャルHIP HOPユニット・レオタードブタとヤギ・ハイレグ、多くのVTuberに楽曲提供をおこなっているワニのヤカさん、可愛らしく浮遊感のある声でそれに相応しい世界観を歌い上げるsomuniaさんなどが所属している。幸せジャンク生活 / レオタードブタとヤギ・ハイレグ [Official Music Video]
[Free Download] Auto Save [YACA IN DA HOUSE]
Connected World / somunia
KMNZの活動を支えるのはKMNCREW(ケモノクルー)と呼ばれる小規模チームだ。歌ってみた動画のクレジットにも楽曲担当としてKMNCREWや前述したワニのヤカさんの名前が並ぶ。
また、4月8日に公開されたセカンドシングル「Augmentation (feat. Moe Shop) 」の歌詞は2人のプロデューサーであるninoPさんが担当しているなど、前面に出ているLITAさんとLIZさんだけでなく、バックを支える面々が受け持つ仕事がどこまでなのかを明らかにしている。
2人の役割が明確になっていることは、彼女たちの可能性を限定し抑え込む方向ではなく、むしろタレント性を浮き彫りにし才能を輝かせるように働いているように思える。
彼らは一体どこへ向かうのだろうか? ネット上でYouTuberと遜色ない存在として人気を確立し、バラエティ番組にバーチャルタレントが出演することが当たり前になる、そういう未来だろうか。
あるいは彼らは我々をどこへ連れていこうとしているのだろうか。VTuber、アバターを介したコミュニケーションが当たり前になった世界とはどのようなものだろうか。
そんな少し先の未来について、デビュー以来バーチャルとリアルの境界を飛び越えて活動し続けるVTuberユニット・KMNZ(ケモノズ)を例に挙げて考えてみよう。
彼女たちが活動の場所にバーチャルという空間を選んだ理由を考えることから、見えてくる景色があるはずだ。
KMNZとは何者なのか
KMNZは「けもみみの国」からやってきた、LITA(リタ)さんとLIZ(リズ)さんの2人からなるバーチャルガールズユニットだ。 LITAさんが5月、LIZさんが6月にデビュー。YouTubeへの「歌ってみた」動画やオリジナル楽曲の投稿、生配信などを中心に精力的な活動をおこなってきた。特徴的なのは彼女たちの動画投稿のスタイルだ。
バーチャルYouTuberという言葉の通り、多くのVTuberは実際のYouTuberと同じ形式の動画(モノマネや検証、ドッキリや物申す等)を投稿しているが、KMNZの2人はそのような動画を投稿していない。
2人はKMNZRADIOと称して投稿される雑談配信で3Dモデルの姿を披露するものの、動画のサムネイルはお決まりのイラストだ。
ストリート風の意匠を取り入れた彼女たちの3Dモデルの作成には多くの手間や予算がかかっただろうと予想できるにも関わらず、それらは全面に押し出されていない。
LITAさんがカバーする楽曲は椎名林檎さんやくるりにスチャダラパー、あるいはtofubeatsさんのようなJ-POPやシティポップのものが中心。
これらはYouTuber事務所のプロデュースというより歌い手、音楽レーベルとしてのブランディングに思える。
Fictyというプロダクションの特異性
このようなプロデュースは誰がおこなっているのだろうか。彼女たちを手がけるのはバーチャルIPプロダクションのFicty。グリー株式会社取締役の荒木英士氏が代表をつとめるWright Flyer Live Entertainment社との共同プロデュースという形で運営が行われている。
本格派バーチャルHIP HOPユニット・レオタードブタとヤギ・ハイレグ、多くのVTuberに楽曲提供をおこなっているワニのヤカさん、可愛らしく浮遊感のある声でそれに相応しい世界観を歌い上げるsomuniaさんなどが所属している。
また、4月8日に公開されたセカンドシングル「Augmentation (feat. Moe Shop) 」の歌詞は2人のプロデューサーであるninoPさんが担当しているなど、前面に出ているLITAさんとLIZさんだけでなく、バックを支える面々が受け持つ仕事がどこまでなのかを明らかにしている。
2人の役割が明確になっていることは、彼女たちの可能性を限定し抑え込む方向ではなく、むしろタレント性を浮き彫りにし才能を輝かせるように働いているように思える。
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