1990年初頭、バブル崩壊前後の都内で撮影された、なんでもないけどリアルな東京の居住空間。撮影時期からおよそ25年を経てリリースされるのは、未収録カットやフォローアップ記事などを加えた812ページ、約600MBのデジタルリミックス版。
PDFによる高解像度画像集として、写っている本やカセットテープ、レコードのタイトルなど、気になる箇所を拡大して確認することができる。
異色の圏外編集者・都築響一
都築響一さん/「エロトピア・ジャパン展」会場にて
日本各地の秘宝館や村おこし施設などの珍スポットを追った写真ルポルタージュ『ROADSIDE JAPAN 珍日本紀行』では「第23回木村伊兵衛賞」を受賞。
2015年末には編集者として本づくりの裏側を明かした『圏外編集者』、2017年にはなんだかんだ捨てられないTシャツを70着集めた『捨てられないTシャツ』を刊行。 その間、自身の秘宝館コレクションなどを集めて、エロをテーマにした展覧会「『神は局部に宿る』都築響一 presents エロトピア・ジャパン展」(2016年)を開催したほか、有料メールマガジン「ROADSIDERS' weekly」を配信している。
携帯電話もSNSもない東京の暮らし
学校近くに見つけた長屋式の木造アパートに住む、短大の女子学生の部屋/画像は「ROADSIDERS' weekly」より
「ROADSIDE LIBRARY」とは、都築さんの著作をPDFフォーマットで電子書籍化するプロジェクト。2016年7月にリリースした『秘宝館』以降、『ラブホテル』『おんなのアルバム キャバレー・ベラミの踊り子たち』と続き、『TOKYO STYLE』はその第4弾にあたる。なにか方法はないかと悩んだすえに、去年とうとう「手づくり・手売り電子書籍」しかないと決断し、ROADSIDE LIBRARYをスタートさせることになって、ささやかではあるけれど、ようやく自分の思う本来の電子書籍のかたちで『TOKYO STYLE』を、こんなふうに甦らせることができた。「ROADSIDERS' weekly」より
本書では、25年前に大判カメラで撮影したフィルムをすべて再スキャン、退色や色かぶりを補正した。圧縮前の想定サイズは2ギガバイトにもなったという。
文庫をそのまま電子書籍にするのではなく、書籍未掲載カットを追加。さらには掲載後に取り壊されてしまった、明治時代の木造3階建ての下宿屋・本郷館のフォローアップ記事も掲載した。電子書籍としては非常識なサイズではあるが、そのぶんどの写真もかなりアップに耐えられるようになっている。気になる本、レコード、テーブルの上、冷蔵庫の中・・・いろんなディテールを覗き見してもらえたらうれしい。「ROADSIDERS' weekly」より
本郷館/画像は「ROADSIDERS' weekly」より
購入は「ROADSIDERS' weekly」から(外部リンク)。価格はダウンロード版2,000円(税別)、カード型の特製USBメモリ版が3,500円(税別)+送料360円だ。
秘宝館やラブホテルなども継続的に取材

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