『18if』ラストシーンの先は視聴者に委ねられている
──具体的に『18if』のお話もうかがえればと思います。エピソードごとに監督が異なり、物語の世界観が変化する作品ですが、ご覧になってみていかがですか?田村 自分のキャラクターが出演する回以外は知らないので、オンエアのタイミングで初めて見るんですよ。演出も監督さんによって全然違うし、自分以外のエピソードの脚本が衝撃的過ぎて、毎回驚かされています。
新田 確かに(笑)。キャラクターの数だけ夢と現実の世界がある、それぞれの考え方があるんだなって、改めて感じました。
田村 「ハッピーエンドなの?」っていう回が結構あるよね。あえてきれいに描かないというか。第5話(「凡庸の魔女」)のラストは一瞬何が起こったのかわからないくらいでした。
新田 ハッピーエンドかどうか、ラストシーンの先の物語は見た人に委ねられている気がする。
でんちゃん(田村さん)が演じた佳世が登場する第3話(「初恋の魔女」)も、きれいに描こうとすればいくらでもできるのに、悲しみとか苦しみを描いていて切なかったなぁ。 ──今回、田村さんは佳世、新田さんは美咲という眠り姫病にかかった魔女として、それぞれED主題歌を担当されています。どちらも10月4日(水)リリースの『TVアニメ「18if」主題歌集』に収録されますが、役づくりやレコーディング時に意識したことはありますか?
田村 楽曲のレコーディングがアフレコ前だったんです。自分を媒介にキャラクターとして歌う上で、気持ちの持っていき方に悩む場面もありました。
でも、スタッフさんにディレクションしていただいたり、ストーリーやキャラクター設定を読んだりして、そこで抱いた感情をそのまま表現すればいいんじゃないかと。
田村 うん。高校1年生で、好きな人を思いながらこの世を去るって、自分にとっては経験のないことでしたけど、できる限り佳世の気持ちに近づけるように心がけました。 新田 私も楽曲が先だったんですけど、だからこそ役づくりのゴールが見えたというか。
美咲にとって「ツバサ」は、夢の世界から出て、ドアを開けようとする歌だと思います。ディレクションとしても、「解放された気持ちで」というオーダーだったので、演じる上でもすごくヒントになりました。 田村 本当に前向きな曲で好きだなぁ。
新田 うれしい! 美咲はアイドルとしてのプロ意識はありつつも、内心では「これが自分のやりたかったことなのか?」という葛藤があって。
自分の夢につながっているとはいえ、「なんでこんなことしているんだろう」と思うことってあるじゃないですか。でもそんな疑問を感じたとしても、夢を叶えるためには必要なステップなんですよね。だからこそ悩んでしまう。
見た人が、そんな美咲の気持ちを知りつつも、「アイドルは素敵だな」と思えるように演じたかったんです。
田村 そうなんだ。私はまだえみつん(新田さん)の曲しか聴いてないから楽しみです(※対談は第9話放送前)。
新田 ……正直、かなり攻めた内容だから、「アイドルに対して素敵と思えるのかな?」と感じたり感じなかったり。
アイドルだったら、本来かわいくてきれいな面を見せるものなのに、「見せなくてもええやろ!」っていうところが本編になってる(笑)。
田村 一体、どうなってるんだろうか……?
新田 ちなみに9話の遥人くん(主人公)は、後半ずっと服着てないからね!
あっ……でも、靴下だけは履いているのか。美咲に対しては良いこと言ってるんだけど、その姿が変態を極めた格好をしているという。 そういう意味では、本編あっての「ツバサ」であって、「ツバサ」から入るとまったく予想外の内容かも(笑)。
「夢恋花」と「ツバサ」に共通する誰かへの想いとは?
──佳世の「夢恋花」と美咲の「ツバサ」は、誰かを想うというテーマが歌詞の世界観として共通しているように感じました。その想いをどのように捉えていましたか?田村 佳世の場合は、もうドンピシャで遥人さんのことを想っていますよね。「吐息が漏れるイメージで」みたいなディレクションがありました。
すごく優しい歌なんですけど、歌詞を見返してみても「報われない歌」だというのが伝わってきて、切なくなります。 田村 遥人さんのことを想っているんだけど、言葉にできない、表現しきれない想いがある。感じてほしい、察してほしい。なんて言うんでしたっけそういうの……そうだ! 「奥ゆかしさ」を感じます。
新田 「夢恋花」に比べると、美咲の「ツバサ」は遥人くんを想っているだけではないように思いました。
遥人くんが自分のファンであり、彼が好きでいてくれた自分として、これからも頑張っていこうという意思を感じました。新しい自分に向けての歌でもあるなって。
田村 確かにアイドルの歌っていうより、美咲自身の歌だなって思う。
新田 そうそう、あえてアイドルっぽい歌い方はしてないの。むしろ(挿入歌の)シャークレディの曲の方が、バリバリのアイドルソングになっていると思う(笑)。
「ツバサ」はアイドルとしての息苦しさを描きながら、「だってそうでしか叶えられないの」という歌詞からは芯の強さも感じられて、ラストシーンの先にあるだろう広い世界を感じられる歌だと思います。 新田 大切な人たちの言葉や応援を力にして、もっと自分らしく輝くというテーマは、私はもちろん、いろいろな人に共通するものだと思いました。
田村 支えてくれる人の存在って、本当にありがたいよね。
新田 そう思う。足場は結構ぐらぐらなのに、落ちそうになっても家族や友人、ファン、スタッフ、そういう支えてくれる存在の大きさを、私自身すごく感じているから。
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