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Satellite Youngが80年代を軸にする理由、私がポップカルチャーを好きな理由

Satellite Young 草野絵美の「今まであまり話してこなかった、けれど大事な人生のこと」 Emi やっぱり子供ができたのは人生の中でも大きな出来事。Satellite Youngのアイデアも妊娠中に思いついたし。

──そうなんだ!Satellite Youngは何年目?

Emi もう4年目。 2013年に結成したから。

──どんなアイデアからスタートしたの?80年代の衣装でテクノっぽいのやりたかった?

Emi というよりは「80年代を再現したい」と思って。歌をやりたいと思って始めたわけじゃないんだよね。

子供の頃から昭和歌謡が好きでディグっていて、森高千里とか山口百恵とかは図書館にで借りられるCDライブラリーで結構インプットした。昭和歌謡はキャッチーだし、アイドルとしても可愛いし、すごい好き。アメリカのカルチャーでもマドンナやシンディー・ローパーが好きで、彼女たちの80年代を再現したいんだよね。

──小学生の時からその年代のカルチャーに触れていたんだ。でも、なんで図書館のライブラリとか、昔の作品をディグるようになったの?

Emi  懐古趣味はお父さんの影響かも。お父さんは50年代のアメリカ文化を再現するような、芸術家兼アパレルデザイナーみたいな仕事をしていた。

私が小さい頃に「ミッキーがすき」って言ったら『蒸気船ウィリー』を観せてくれて、それからもハンナ・バーベラ・プロダクション、カートゥーンネットワーク、それに『宇宙家族ジェットソン』とか、アメリカのアニメばかり。

『宇宙家族ジェットソン』は、たとえるなら『宇宙家族サザエさん』みたいなペラっとした2Dのシチュエーション・コメディなんだけど、流星系の家具が出てきて、60年代のファッションが詰まってる。

そんなふうに、アニメも音楽も映画も商業ベースだから、アートみたいに自分の表現したいものじゃなくて、「その時に、観ている人の心をつかむもの」が詰まってるから時代を映すんだよね。だから、私はポップカルチャーが好きなんだと思う。 Satellite Young 草野絵美の「今まであまり話してこなかった、けれど大事な人生のこと」 Emi あと、自分が生まれる前のものに異様に憧れを感じていて。すぐなくなっちゃうようなものがすごい好き。「あの時にみんな聞いてたけどもうないよね!」みたいな(笑)。でも、今はそんなことですぐに消えちゃうものって減っていると思う。

「みんなが取り憑かれたように人気になるもの」って昔のほうがあったんじゃない? コンテンツもそうだけど、ファッションでも「みんなが一緒」ということが最近はあまりないよね。昔ならアムラーとかシノラーとかあったけど、最近はきゃりーぱみゅぱみゅが好きでもその格好をみんなで一斉にするとかないじゃん。

2010年代のファッションをWikipediaで調べると「時代がミックスしてる」って記述が出てくるんだけど、その時に流行ったものを思い出してみると、カンカン帽は50年代、グラディエーターは70年代、ネオンカラーファッションは80年代から来ているから、たしかにミックスしているんだよね。

ネットによって情報が細分化され、2010年代以降それほどアイコニックなファッションはなくなった。でも代わりに、一部のクラスターでリバイバルしたり。でも、年代は「ジャンル」として存在していると思ってる。私はそういう「◯◯年代、みんながこういう服着てたよね」みたいなのに憧れてる。

──Satellite Youngの軸を80年代に区切っているのは憧れからなんだ。

Emi YouTubeが生まれてから昔の映像もすぐ出てくるようになったよね。YouTubeがない頃はTSUTAYAで昔の特撮とかを探してたけれど、ミュージックビデオとかもたくさん見れるようになって、そこで……東映の魔法少女シリーズって知ってる?『美少女仮面ポワトリン』とか『魔法少女ちゅうかなぱいぱい!』とか。私は『魔法少女ちゅうかなぱいぱい!』を見て「これがやりたい」と思ったんだ。

それである時、明和電機の忘年会に呼んでもらったの。その忘年会で知り合った大学の先輩に「女の子の魔法少女みたいなのをやりたいんですよ」と話したら、ベルメゾン関根さんを紹介してくれて。関根さんも80年代にグッときてたから、それで一緒にSatellite Youngをやることなっていった。

──そして4年が経ってSXSWにも出演して。

Emi SXSWは日本から200組ぐらい応募しても10組しか選ばれないんだけど、私は運営から声をかけられていたんだ。もともとは去年に観客としてSXSWへ行ったら、会場で2人のアメリカ人から「Satellite Youngさんですか?」って話しかけられたんだよね。

そのファンの人たちに「オースティンで絶対にライブしたほうがいい!」って言われて。私もTwitterで「来年のSXSWには出たいな」って投稿したら、ファンの人が運営にメンションしてくれて、自分からもメッセージ送って。そうしたら「1年後も気になっていたらぜひ応募してね」と連絡がきたから、応募した次の日には公式サイトにSatellite Youngの名前が載ってて……。

──あ、出るんだ!?みたいな(笑)

草野絵美:そう(笑)。これからの時代は、アーティスト自身が自分で発信していかなきゃいけないね。好きな芸能人ランキングでのんちゃんが1位になるくらいだし、会社とかそういうのじゃなく、積極的に発信していくことが必要なんだと思ってる。

衣装は80年代でサイバーパンク、だけれど歌詞は未来のことを

──Satellite Youngは今回の『Dividual Heart』のMVもすごく素敵だったね!

Emi ありがとう。このMVではディープランニングの機械学習で、絵のタッチを学習してリアルタイムで出力するっていう仕組みを使ってる。水曜日のカンパネラなどのMVにも携わっている映像作家の渡邉直さんにに撮影してもらいました。
Satellite Young "Dividual Heart" Official Music Video [HD]
Emi 映像では、機械が描く80年代を表現していて、たとえばTumblrに落ちている80年代風のアートを学習させたり、80年代の有名な映画のポスターを学習させえたり。歌詞のテーマは複数のソーシャル人格をもちあわせていて「本当の自分がわからない」みたいな現代の女の子の憂いた気持ち

レイ・カーツワイルっていうGoogleのエンジニアがいて、「AI」が人間の知能を超える臨界点(シンギュラリティ)を提唱した人で、いま脳とクラウドをつなげるプロジェクトを目論んでいる。そんな未来人の彼が最近、VRは人の人格を多重化させると言っていた。

“Dividual Heart"の発想は、そうやって仮想現実がどんどん発展していくと、人々はよりマルチプルな時間を生きるになるって聞いたところからヒントを得ているの。まさにサイバーパンクだよね。私たちはサイバーパンク小説みたいなのも好きなんだ。

それで、これからVRがどんどん手軽になっていくと、貧困地域の女の子の目線で撮られたジャーナリズムの映像を見せたらすごく感情移入したり、男性だけど女性の気持ちがわかる人とか、白人だけどアジア人みたいな感情を持っているとかって人がより増えていくと思うんだよね。そういうの表現したいなぁと思ったの。

Satellite Youngの衣装は80年代でサイバーパンク、だけれど歌詞はもうちょっと未来のことを危惧するような……。

──表現したいことにすごく共感する!私も現実とネットを行き来する中で、今はサンフランシスコで暮らして結婚もして、現実の状況はすごく変わっているのに、Twitterのアイコンが5年前から変わっていなかったりする。

だからTwitterには現実と違って、数年前から変わってない自分と、それを見ているフォロワーがいる。それが不思議な感覚になるんだよね。

5年以上前にYouTubeにアップした動画にいまだにコメントがつくと、観た人にとっては「新しい動画」だったわけでしょ。その時に、どこか「昔の自分に会った」みたいな感覚に襲われて、結構悩んでたりするんだよね。


Emi それ面白いね。次の歌詞にしようかな。

私は歌手として一番になれるような何かとか、ひとつのことに情熱を傾ける才能はないなぁと思うんだけど、今は「とりあえずやってみよう」という意識はあるし、とりあえず続けてみようって思ってる。また人を巻き込んで次はものづくりもしたいな。 Satellite Young 草野絵美の「今まであまり話してこなかった、けれど大事な人生のこと」

ほかにも「ものの見方」を変えるインタビューたち

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この記事へのコメント(1)

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匿名のユーザー

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エミさんは日本の中でも東京、ダイバーシティな環境でラッキーでしたね。今年65才のおばさんですが、私は姉が日本人とアメリカ人と結婚してて私自身も小さい頃から欧米の多様性を見て育ったせいで、かなり異質でしたね、おまけに湘南の海で育ったおおらかさも手伝って、周りの人達のなんとも村というか部落みたいな窮屈な生き方がどうも苦手でして、日本の公立小、中学で誰もが交換留学生の様な制度を利用して国際感覚を小さい頃から身に付けたらいいとおもうんだけどねー。ホント教育制度に限界を感じています。色々な生き方の出来る、特に女性はもっと主体的に生きられる国になって欲しいですねー。

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