同じものを好きな人たちが、集まれる場があるっていうにはこんなにも良いものだ。
というわけで、24年の歴史を持つカードゲーム『Magic: the Gathering』の大型大会「GP神戸」に行ってきた。
神戸国際展示場を2フロア貸し切っての、超巨大イベントだ。
その規模は、僕らが一般的に想像する「カードゲームの大会」のイメージをはるかに超えていた。 2000人以上の参加者がズラ~ッと並んでゲームに興じる光景は圧巻の一言。
今回は、僕、タカハシヒョウリ(オワリカラ・ボーカル&ギター)が、『Magic』に激しくハマっている縁から、レポーターとして大会に参加してきた。
会場全体が「この日を待ってた」という祭りの熱気に覆われている。
しかも今回、特筆すべきは「モダン」というフォーマットでの開催という点だ。
この“フォーマット”というのは、『Magic』独特の制度で、いうなればボクシングの階級に近いかもしれない。
たとえば、最近のカードを使う「スタンダード」がライト級、過去の強力なカードも使える「モダン」がミディアム級、さらに古いカードまで使える「レガシー」がヘヴィー級と言ったところか。
基本的に「スタンダード」がもっとも人口が多くプレイしやすいので大会も多いのだが、今回は3年ぶりとなる「モダン」フォーマットでの国内GP開催ということで、歴戦の強力なカードが飛び交う派手な戦いが繰り広げられる、というわけだ。
こんな感じで、それぞれのプレイスタイルに合わせて、様々なフォーマットが用意されているのも『Magic』の面白いところだ。
『Magic』の楽しみ方は、実は無数にある。歴史も長けりゃ、懐も広い。100人いたら100通りの遊び方があるのが、『Magic』の世界。 同じように、『Magic』の始め方にもいろいろな入り口がある。
最近、僕の周りのアラサー世代に多いのは、小・中学生の頃に『Magic』のブームを経験していて、最近になって復帰するパターンだ。
周りのそういう人に誘われて、『Magic』を始めてみる人も多いだろう。
かくいう僕自身も『Magic』を始めたのは1年くらい前の「異界月」というエキスパンションからで、完全なるTHE・新米である。
しかも自分は、子供の頃に『Magic』にハマっていたわけではないので、まったくのゼロからだ。
そんな自分が昨年『Magic』に興味を持ったきっかけは、実はイラストの美麗さだった。 ネットで見つけた近年の『Magic』の、写真のような美しいイラストを見て、なにか得も言われぬ感動を覚えてカードを買ってみたのだ。
だって、1回のエキスパンションで何百枚というカードが追加されるのに、その1枚1枚すべてにあんなに精緻なイラストが使われてるんだよ?
どんな雑魚カードでも絵は綺麗! というのに、なんか感動したのだった。アモンケットだと神のカードをはじめて見たときはホレボレしたなぁ。 閑話休題、そういうわけで、『Magic』の始め方は本当に人それぞれなのだ。
本選のグランプリの他に、様々なサイドイベントがあなたを楽しませ、明日も来させようとその貪欲な口を広げている。
僕自身、デッキも持たずフラッと神戸にやってきたけど、1日目はもちろん、もう取材のない2日目も朝から行ってしまった。
まずは、GP名物にもなっている「MTGくじ」。様々なカードショップが出店しているのだが、その各店舗が工夫を凝らした「くじ」を用意していた。 さらに変り種が、謎解きゲーム。
謎解きに挑戦して進んでいくと、景品がもらえたり、世界に一枚しかないカードに謁見できたりする。
というわけで、これにも挑戦したのだけど、予想外に白熱。
マジックの知識はもちろん必要だが、普通に謎解きゲームとしての難易度が高い…。
しかもGP開催の地・神戸に関する知識も必要だったりして、ゲームを終えたら本当にちょっと神戸にくわしくなってた。粋だ。 試合の合間の息抜きだとしたらムズすぎるのでは…と思いつつ、なんとか知恵を出し合って、中級をクリア!
無事、世界に1枚しかないカード「七福神ドラゴン」に謁見できた。 このカードは、日本に『Magic』の管理組織「DCIトーナメントセンター」が設立されたことを記念してつくられたカードで、「もっとも希少なトレーディングカード」としてギネス認定もされている。 ちなみに、このあとの最終レベルの問題は2種類あって、一つは『Magic』のとある局面での行動を考える「詰め将棋」のような問題だったのだが、これ、本当にまったくわからなかった…(謎解きの様子は後日、別レポートにて)。
準備したカード(デッキ)を使って遊ぶ「構築」に対して、4~8人でその場で新品のカードのパックを開けて遊ぶフォーマットは「リミテッド」と呼ばれるのだが、僕は『Magic』の面白さはこのリミテッドに集約されていると思う。
特にパックを開けて、1枚ずつ「ピック」したら残りのカードを他の人に回す、ということを繰り返してデッキをつくっていく「ブースタードラフト」という遊び方に出会ったとき、「こんな面白い遊びがあったのかよ!」と驚愕した。
それまで、カードゲームのパックなんてビリっと開けてレアカード確認したらあとは無視、みたいに思っていたが、ドラフトという遊びならその「カード開封」自体がゲームになるのだ。
つまり、はっきり言ってお得!
しかも、どんなカードが出るか、回ってくるかには運の要素もあるので、初心者でも強いデッキが組めたり、上級者に勝てたりする。
つまり、初心者にもおすすめ!
逆に言うと、普通は使えないような弱いカードにも活躍の場があるし、いろいろなカードのことや組み合わせを知っていることが最大の戦力になる。
どれだけカードを持っているか、ではなく、どれだけカードを知っているか、が重要なので、カードを集めなくても強くなれる!
というカードゲームの常識を打ち破る最高のフォーマットなのだ。
それでいて、回ってくるカードから相手の手の内を予想したり、限られたカードプールの中で最良の組み合わせをチョイスする、戦略性の高さもある。
もちろんこれは、『Magic』自体がドラフトという遊びを推奨して、1パック内のカードのバランスを調整してドラフトしやすいように整備してくれているからなのだ。
ウィザーズ・オブ・ザ・コーストありがとう!
というわけで、GP神戸でもサイドイベントとして「8人ドラフト」が行われている。
これが今回の、僕の最大の目的だ。
ドラフトで勝ち抜いて、記念品のプレイマットを手に入れたい! ・
・
・
文章的にひっぱることもなく、ボッコンボッコンに負けたわけだが、やっぱりドラフトは面白い。
結局2日間4回のドラフトに参加して、初GPのビギナーズラックか、日頃からは考えられない引きの強さで各ゲームで「熱烈の神ハゾレト」「不屈の神ロナス」「自然に仕える者、ニッサ」(編集部注:ショップで売るとそれぞれ1000円はくだらない)などをピック。
「これはひょっとして、ひょっとするかも!?」っていう感じもあったのだけど、修行不足でした。
やっぱりGPだけあって、みんなプレイングがうまいなぁ。
でも引いたカードはそのままもらえるし、参加費くらいは回収できることも多いのがドラフトの良いところだね。
というわけで、24年の歴史を持つカードゲーム『Magic: the Gathering』の大型大会「GP神戸」に行ってきた。
神戸国際展示場を2フロア貸し切っての、超巨大イベントだ。
その規模は、僕らが一般的に想像する「カードゲームの大会」のイメージをはるかに超えていた。 2000人以上の参加者がズラ~ッと並んでゲームに興じる光景は圧巻の一言。
今回は、僕、タカハシヒョウリ(オワリカラ・ボーカル&ギター)が、『Magic』に激しくハマっている縁から、レポーターとして大会に参加してきた。
『Magic』の楽しみ方は人の数だけ
世界中で開催され、日本でも年4回、場所を変えて開催されている「GP(グランプリ)」は、マジック界最大の大会で、プレイヤーにとっては日頃の鍛錬の成果を発揮する晴れ舞台でもある。会場全体が「この日を待ってた」という祭りの熱気に覆われている。
しかも今回、特筆すべきは「モダン」というフォーマットでの開催という点だ。
この“フォーマット”というのは、『Magic』独特の制度で、いうなればボクシングの階級に近いかもしれない。
たとえば、最近のカードを使う「スタンダード」がライト級、過去の強力なカードも使える「モダン」がミディアム級、さらに古いカードまで使える「レガシー」がヘヴィー級と言ったところか。
基本的に「スタンダード」がもっとも人口が多くプレイしやすいので大会も多いのだが、今回は3年ぶりとなる「モダン」フォーマットでの国内GP開催ということで、歴戦の強力なカードが飛び交う派手な戦いが繰り広げられる、というわけだ。
こんな感じで、それぞれのプレイスタイルに合わせて、様々なフォーマットが用意されているのも『Magic』の面白いところだ。
『Magic』の楽しみ方は、実は無数にある。歴史も長けりゃ、懐も広い。100人いたら100通りの遊び方があるのが、『Magic』の世界。 同じように、『Magic』の始め方にもいろいろな入り口がある。
最近、僕の周りのアラサー世代に多いのは、小・中学生の頃に『Magic』のブームを経験していて、最近になって復帰するパターンだ。
周りのそういう人に誘われて、『Magic』を始めてみる人も多いだろう。
かくいう僕自身も『Magic』を始めたのは1年くらい前の「異界月」というエキスパンションからで、完全なるTHE・新米である。
しかも自分は、子供の頃に『Magic』にハマっていたわけではないので、まったくのゼロからだ。
そんな自分が昨年『Magic』に興味を持ったきっかけは、実はイラストの美麗さだった。 ネットで見つけた近年の『Magic』の、写真のような美しいイラストを見て、なにか得も言われぬ感動を覚えてカードを買ってみたのだ。
だって、1回のエキスパンションで何百枚というカードが追加されるのに、その1枚1枚すべてにあんなに精緻なイラストが使われてるんだよ?
どんな雑魚カードでも絵は綺麗! というのに、なんか感動したのだった。アモンケットだと神のカードをはじめて見たときはホレボレしたなぁ。 閑話休題、そういうわけで、『Magic』の始め方は本当に人それぞれなのだ。
くじ引きに謎解きゲーム! サイドイベントも楽しかった
さて、今回の「GP神戸」は、「モダン」フォーマットでの開催ということだが、それじゃあ、モダンで遊んでない人にはなんもやることないのかっていうと、そんなことはない。本選のグランプリの他に、様々なサイドイベントがあなたを楽しませ、明日も来させようとその貪欲な口を広げている。
僕自身、デッキも持たずフラッと神戸にやってきたけど、1日目はもちろん、もう取材のない2日目も朝から行ってしまった。
まずは、GP名物にもなっている「MTGくじ」。様々なカードショップが出店しているのだが、その各店舗が工夫を凝らした「くじ」を用意していた。 さらに変り種が、謎解きゲーム。
謎解きに挑戦して進んでいくと、景品がもらえたり、世界に一枚しかないカードに謁見できたりする。
というわけで、これにも挑戦したのだけど、予想外に白熱。
マジックの知識はもちろん必要だが、普通に謎解きゲームとしての難易度が高い…。
しかもGP開催の地・神戸に関する知識も必要だったりして、ゲームを終えたら本当にちょっと神戸にくわしくなってた。粋だ。 試合の合間の息抜きだとしたらムズすぎるのでは…と思いつつ、なんとか知恵を出し合って、中級をクリア!
無事、世界に1枚しかないカード「七福神ドラゴン」に謁見できた。 このカードは、日本に『Magic』の管理組織「DCIトーナメントセンター」が設立されたことを記念してつくられたカードで、「もっとも希少なトレーディングカード」としてギネス認定もされている。 ちなみに、このあとの最終レベルの問題は2種類あって、一つは『Magic』のとある局面での行動を考える「詰め将棋」のような問題だったのだが、これ、本当にまったくわからなかった…(謎解きの様子は後日、別レポートにて)。
手ぶらでいっても楽しめる「リミテッド」のススメ
さて、さっき『Magic』の遊び方は人それぞれ、と言ったが、『Magic』には家からカードを持ってこなくても遊べるフォーマットまである。準備したカード(デッキ)を使って遊ぶ「構築」に対して、4~8人でその場で新品のカードのパックを開けて遊ぶフォーマットは「リミテッド」と呼ばれるのだが、僕は『Magic』の面白さはこのリミテッドに集約されていると思う。
特にパックを開けて、1枚ずつ「ピック」したら残りのカードを他の人に回す、ということを繰り返してデッキをつくっていく「ブースタードラフト」という遊び方に出会ったとき、「こんな面白い遊びがあったのかよ!」と驚愕した。
それまで、カードゲームのパックなんてビリっと開けてレアカード確認したらあとは無視、みたいに思っていたが、ドラフトという遊びならその「カード開封」自体がゲームになるのだ。
つまり、はっきり言ってお得!
しかも、どんなカードが出るか、回ってくるかには運の要素もあるので、初心者でも強いデッキが組めたり、上級者に勝てたりする。
つまり、初心者にもおすすめ!
逆に言うと、普通は使えないような弱いカードにも活躍の場があるし、いろいろなカードのことや組み合わせを知っていることが最大の戦力になる。
どれだけカードを持っているか、ではなく、どれだけカードを知っているか、が重要なので、カードを集めなくても強くなれる!
というカードゲームの常識を打ち破る最高のフォーマットなのだ。
それでいて、回ってくるカードから相手の手の内を予想したり、限られたカードプールの中で最良の組み合わせをチョイスする、戦略性の高さもある。
もちろんこれは、『Magic』自体がドラフトという遊びを推奨して、1パック内のカードのバランスを調整してドラフトしやすいように整備してくれているからなのだ。
ウィザーズ・オブ・ザ・コーストありがとう!
というわけで、GP神戸でもサイドイベントとして「8人ドラフト」が行われている。
これが今回の、僕の最大の目的だ。
ドラフトで勝ち抜いて、記念品のプレイマットを手に入れたい! ・
・
・
文章的にひっぱることもなく、ボッコンボッコンに負けたわけだが、やっぱりドラフトは面白い。
結局2日間4回のドラフトに参加して、初GPのビギナーズラックか、日頃からは考えられない引きの強さで各ゲームで「熱烈の神ハゾレト」「不屈の神ロナス」「自然に仕える者、ニッサ」(編集部注:ショップで売るとそれぞれ1000円はくだらない)などをピック。
「これはひょっとして、ひょっとするかも!?」っていう感じもあったのだけど、修行不足でした。
やっぱりGPだけあって、みんなプレイングがうまいなぁ。
でも引いたカードはそのままもらえるし、参加費くらいは回収できることも多いのがドラフトの良いところだね。
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タカハシヒョウリ
「オワリカラ」ボーカルギター
一度聴いたらクセになる、変則サウンドとメロディ、ポップとアヴァンが融合したロックバンド「オワリカラ」のボーカルギター。2016年、徳間ジャパンよりメジャーデビュー。音楽に限らず、漫画、特撮、映画、アナログゲーム、とその趣味は必要以上に深く広く、自身のブログに書き殴り続けていた各種の記事が各方面に話題を呼び、執筆やトークイベントへの出演も増加中。
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