本選の緊迫感に心臓がえぐられた
そんなサイドイベントのドラフトのカジュアルさに対して、本選の「モダン」トーナメントの緊迫感は相当なものだ。 この「モダン」環境では、「決まれば勝ち」と言っても過言ではない瞬殺のコンボもあり、スタンダードに慣れた目で見ていると「え? いま何が起こったの?」っていうことも珍しくない。『ドラゴンボール』で「早すぎて見えない…!?」って言ってるピッコロの気持ちがちょっとわかる。観戦しているだけでも楽しい。
Cygames所属の山本賢太郎プロとの対談取材(後日公開予定)があったので、山本プロの試合を後ろの方から観戦していたのだが、こっちの心臓がえぐられるような気迫。 そんな試合が一つの空間で何百試合と同時に行われているのだ。
渦巻く緊迫感は、一種独特なものだ。
そんなトーナメントをくぐりぬけ、今回、見事優勝を果たしたのがJoe Sohさん。
マレーシアからはるばるGP神戸に参加したSohさん、一体どんな人物なのか?
2000人以上のGP神戸を勝ち抜いた優勝者とは?
優勝者は、どんな風に『Magic』をはじめたんだろうか?「18年前ですね。いとこが『Magic』をプレイしていまして、『こんな面白いゲームがあるよ!』と勧められたのをきっかけにプレイし始め、兄と共に『Magic』にのめり込みました(笑)」(Joeさん)
そう、彼のお兄さんであるTerry Sohさんも数々の大会で好成績を残す『Magic』プレーヤーで、漫画のような強豪兄弟なのだ。
では、そんなトッププレーヤーであるSohさんにとって、実生活の中でのJoeの魅力とは?
「世界と繋がれることですね。母国語が異なる者同士であっても、『Magic』があればプレイヤー同士で難なくコミュニケーションを取ることが出来ますし、多くの国でグランプリを開催しているので世界中を旅することができます」
なるほど、たしかにこうして日本にやって来て、交流してるんだから説得力がある。 18年間『Magic』をつづけるSohさんが、カードゲームをやったことのない人や、子供の頃『Magic』をプレイしていて離れてしまった人に、マジックの魅力を伝えるとしたら? と質問してみると
「説明なんていらないよ! 『Magic』は面白いんだ! プレイをしてみればそれが誰にだってわかる。とにかく、お店に来てプレイしてみてください。プレイヤーはみなさんを歓迎しますし、きっと良い体験となるはずです! カードゲームの楽しさは人それぞれ違い、それがまさに良さの1つでもあります」とコメント。
なんだか、この原稿の締めの言葉を言ってもらったみたいだ。 そして、彼は『Magic』について「LifeStyle(生活様式)そのもの!」と締めくくった。Sohさん、ありがとうございます。優勝おめでとうございます!
カードゲームなんて子供の遊び?
長い1日が終わり、帰路につく。『Magic』をやったあとの帰り道は、いつもこうだ。
思うことはいつも一つ、「まだまだ遊びたい!」だ。
子供の頃には帰るのが惜しいような瞬間がよくあったけど、大人になってこんなことを考えるなんて思ってなかった。 「カードゲームなんて子供の遊び」
これは、本当によく聞くことだし、自分自身もそう思ってた部分はある。
でも、実際にプレイしてみると、大人になった今だからこそわかること、いや、大人になった今でしかわからない面白さがある。
それは「自分のこと」だ。
ピンチに立たされると、焦ってプレイが甘くなる。
攻めるべき時に攻めきれない。
待ちの姿勢を貫けない。
人の顔色をうかがって戦略がブレてしまう。
実は、カードの真剣勝負においては、びっくりするほど「自分」が出る。
「あぁ、自分ってこういう人間だったんだ」、という自分自身との驚きの出会いがある。
カードゲームは鏡のように、プレイする人によって形を変えて、僕らを出迎えてくれる。束縛は何もない。
この世界での、あなたの楽しみ方がきっとあるはずだ、それを見つけて欲しい。
これから先も、「まだまだ遊びたい!」
特集「人生を変えるカードゲームの魔力」
KAI-YOU.netが送る特集第一弾「人生を変えるカードゲームの魔力」では、様々な切り口から記事を更新予定です。特集の記事の一覧は特設ページから。続々更新していきますので、ご期待下さい。
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タカハシヒョウリ
「オワリカラ」ボーカルギター
一度聴いたらクセになる、変則サウンドとメロディ、ポップとアヴァンが融合したロックバンド「オワリカラ」のボーカルギター。2016年、徳間ジャパンよりメジャーデビュー。音楽に限らず、漫画、特撮、映画、アナログゲーム、とその趣味は必要以上に深く広く、自身のブログに書き殴り続けていた各種の記事が各方面に話題を呼び、執筆やトークイベントへの出演も増加中。
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