女性ラッパー あっこゴリラワンマンレポ 炎上した最後の紙芝居ラップ

女性ラッパー あっこゴリラワンマンレポ 炎上した最後の紙芝居ラップ
女性ラッパー あっこゴリラワンマンレポ 炎上した最後の紙芝居ラップ

紙芝居ラッパーを卒業する瞬間のあっこゴリラさん

フィメールラッパーのあっこゴリラさんが、1stアルバム『TOKYO BANANA』の発売を記念した初のワンマンライブ「5HOURS」を、3月26日に実施した。

あっこゴリラさんは、2人組のガールズバンド・HAPPY BIRTHDAYでドラマー/パフォーマーとして活動していたが、2014年の活動休止を機に、ソロ活動を開始。紙芝居をめくりながらラップをするというスタイルが一部で話題を呼ぶ一方「戦極MCバトル」や「罵倒」といったMCバトルにも参加し、見事な戦いを見せてきた。

今回は「5HOURS」というタイトルの通り、述べ5時間にもおよぶワンマンライブ。チケットもすぐに完売してしまったという。筆者は「戦極MCバトル」でバトルMCとして登場するあっこゴリラさんの姿を見てはいたものの、ライブに行くのは初めてだ。

「紙芝居ラッパー」というスタイルにも興味があり、周囲からライブの評判はよく聞いていたので、「初参加の自分が5時間も楽しめるのだろうか……」とは思いつつも不安と期待に胸を高鳴らせながら、会場となるライブハウス・恵比寿BATICAへ向かった。

紙芝居ラップを見に来たら…⁉︎

あっこゴリラMV『TOKYO BANANA』
ライブがはじまると、いきなり「マイク1本でステージに立つとつまらないから紙芝居をはじめた。だから紙芝居にたいして愛着はないし、ツアー先で捨ててきた」と、「紙芝居ラッパー」あっこゴリラを楽しみにライブにきた筆者にとって衝撃の発言。

『TOKYO BANANA』のリードトラックである同名曲「TOKYO BANANA」で勢いよくライブをスタートさせ「これがラスト紙芝居ラップだ」と言いながら、会場をエモーショナルに盛り上げるも、いきなり50枚にも及ぶ直筆の紙芝居が台から落下してしまう。

バラバラになった紙芝居を拾い集めながらラップするあっこゴリラさん

順番がバラバラになってしまうというアクシデントには、思わず「こんなことになるから紙芝居は嫌なんだよ!」と叫んでしまっていた。

紙芝居をひろい集めながら「かわいくなりたい」「ゴリラの生態」「増税」といった活動初期に制作した楽曲を中心に、歌詞の内容をイラストやテキストで表現した紙芝居にラップを合わせてめくりながら披露。

「居酒屋でたのむのは……?」「牛乳コーヒー」など、掛け合いの部分も紙芝居になっており、満員となったBATICA中にコールアンドレスポンスが響き渡っていた。 「初期は1、2分程度の短いトラックしかつくれなかった。だから、たくさん曲を披露しても一瞬で終わっちゃう」と自身の楽曲にシビアな評価を下すあっこゴリラさん。

立て続けに楽曲を披露した後、親にマジ感謝という意味を込めた最初期の楽曲「OMK」を披露。今回のワンマンライブの企画にあわせて、紙芝居ラップへの感謝に歌詞の内容を変更して歌いはじめた。 以前活動していたバンド・HAPPY BIRTHDAYから、あっこゴリラとしてソロでラップやることになったきっかけや、ラッパーとして真正面から勝負する自信がなく、宴会芸のようで自己防衛になると思って紙芝居をはじめたという経緯があった。

そして、MCバトル出演やキャバクラ営業など様々な現場でのサバイブを経て、マイク1本でもステージで戦っていける自信がわいたから紙芝居から卒業することに決めたという現在の気持ちを、フリースタイルのようにアツく吐露した。

紙芝居ラッパーからの衝撃的卒業の儀式

MPCを叩くあっこゴリラさん

ついに最後の「紙芝居ラップ」を終えたあっこゴリラさんが「紙芝居からきちんと卒業するためには、ここにジャングルをつくって儀式をしないといけない」と珍妙なMC。すると、ベースやドラム、MPCをステージに投入し、即興でジャングルビートを奏ではじめる。

あまりにもドープなインストトラックに一瞬ポカンとした会場だが「良い感じにジャングルができ上がってきた!」と叫んであっこゴリラさんがフロアの中心に飛び出すと……

!?

突然紙芝居を燃やしはじめるあっこゴリラさん!(めっちゃ焦げ臭かった……)

燃えた紙芝居を持ったままラップしているため

あああああッ!アツいッッ!

と当たり前のリアクションを連発しながら、それでも必死にラップを続ける。さらに、持ち込んだバナナを串刺しにして燃やす。一方、その様子を見ているファンは、あっこゴリラさんをバナナの女神と崇めながら、周囲をぐるぐると回り出している!

紙芝居をすべて燃やし尽くすと、ファンに胴上げされながら「私は! 紙芝居を!! 卒業しました!!!」と宣言。壮大な紙芝居からの卒業式に幕を閉じた。

あっこゴリラ母登場で兄への愛を語りまくる

紙芝居ラッパーを見事に卒業したあっこゴリラさんは、そのまま1DJとマイク1本でライブを披露。多くの客演も招きながら、盛り上がるフロアとともにワンマンライブも中盤戦にさしかかると、なんとあっこゴリラさんの母がステージに登場し、トークコーナーへ突入

ファンの間では、曲をつくるほど大のブラコンとして知られるあっこゴリラさん。「ブラコンの目覚め」「就職」「自我の芽生え」「脱ヲタ」という4つのテーマにしたがって、母とともに兄への愛を語り始めた。

学生時代は、イジられがちな兄の存在を恥じて隠し続けていたこと。ブラコンに目覚めたきっかけは、バイト先で兄の話をしたら受け入れてもらったことがきっかけであること。そして、兄の友人・谷原出現による兄の豹変ぶりなど、ブラコンから卒業するまでの過程を赤裸々に語った。
HAPPY BIRTHDAY 『紙芝居ラッパーあっこゴリラ『お兄ちゃん』』
だが、司会進行のヒラサワンダさんをはじめ、会場のファンも笑いながらもなぜか「どこかで聞いたことがある……」というリアクション。

「お兄ちゃん」「谷原」といったあっこゴリラさんの人気楽曲は、すべてお兄ちゃんの実話をもとに生まれたことを明かしていた。

カオスなワンマンもついに大団円へ

トークコーナーが終了すると、今度はサックスも含めたバンド編成にセットを変えて演奏を開始。

顔が濃いミュージシャンはグルーブが信用できる」というあっこゴリラさんの持論により結成されたバックバンドが、どっしりとしたファンク調にアレンジした「お兄ちゃん」「谷原」「純粋培養」「脱ヲタfeat.erica(エレクトリックリボン)」のお兄ちゃん4部作を立て続けに披露した。

なぜかリフトされながら登場したericaさんとそれに便乗するあっこゴリラさん

この頃にはあっこゴリラさんの楽曲を詳しく知らず、ライブも見たことがない筆者でも、楽曲の裏話を詳しく聞けたことで会場の一体感とともにコールアンドレスポンスができるようになるまで成長していて、内輪の空気に入れた安心感に包まれていた。

そのままオープンマイク形式でフリースタイル。会場からフリースタイルに腕のあるラッパーがステージに登りフロアを盛り上げる一方、あっこゴリラさんは大量のバナナをフロアに投げまくる。

投げたバナナはすべてサイン入りだ

終始ハイテンションで、ステージとフロアをフリーダムに行き来するという、アットホームな空気の中、ここまで4時間近く盛り上がったライブ。最後にもういちど「TOKYO BANANA」を披露して終了したが、あっこゴリラさんはそのまま休むことなく物販へ。

グッズを購入したファン一人一人にフリースタイルを投げかけていく「フリースタイル物販」を開始し、狂騒ともいえるようなパーティーはまだまだ続いていった。

筆者を含め、会場にいた誰もがきっと「あっこゴリラさんのことを知り尽くしたんじゃないか!?」と思えるほど濃密で、サービス精神にあふれたワンマンライブ。「紙芝居ラッパー」を卒業し、今までの総決算となる内容で、嘘偽りなく5時間以上を駆け抜けた。

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イベント情報

あっこゴリラワンマン「5HOURS」

日程
3月26日
会場
恵比寿BATICA

紙芝居ラップ
1 TOKYO BANANA
2 ゴリラップ
3 かわいくなりたい
4 ゴリラの生態
5 増税
6 向井さん
7 お兄ちゃん
8 谷原
9 OMK

ジャングルセッション
10 紙芝居卒業儀式のうた

DJセット
11 TOKYO BANANA Ⅱ
12 KAMIKAZE
13 向井さん
14 歯科矯正
15 ゴリラ夫妻のテーマfeat.カディオ
16 大変なことが起こるかもしれないfeat.秘密結社MMR
17 動物占いfeat.umaneco秘密結社MMR
18 生理feat.umaneco

アコースティックトーク
19 お兄ちゃんfeat.母ちゃん

ジャングルバンド
20 お兄ちゃん
21 谷原
22 脱ヲタfeat.erica(エレクトリックリボン)
23 純粋培養
24 ハゲ
25 ビューティフル・ウーマン

オープンマイク
26 TOKYO BANANA

フリースタイル物販

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