9月に、JASRACに次ぐ業界第3位・第2位の規模を誇る著作権管理団体であるイーライセンス(e-License)とジャパン・ライツ・クリアランス(JRC)の筆頭株主となったエイベックス(avex)が両社を統合というニュースが報じられました。
そして10月に入って、そのエイベックスが業界最大手・JASRACから一部離脱し、その管理下からカタログ(自分たちの楽曲)約10万曲分を引き上げるというニュースも大きく報道され、ネットでも大きな波紋を呼んでいます。
はたして、これから何が起こるのでしょうか?
結論から言えば、合併後のイーライセンスとJRCが「ついに、本当のJASRACの競合として立ち上がる」可能性が極めて高いことを示唆しています。
元来、著作権というものは、どこかの団体に登録することで生まれる権利ではなく、ギターで曲をつくればすぐさま著作権が自然発生し、絵を描けばすぐさま著作権が自然発生し、とにかくちょっとした拍子で簡単に自然発生する権利です。
では、自分でつくった楽曲を商業展開したい──たとえばレコーディングしてCDにしたり、カラオケに配信したり、楽譜として出版したり、別のアーティストがその楽曲をライブで演奏した──場合、著作権を保有するアーティストはどうすればいいのでしょうか?
世の中にはネット出身者を含め、沢山のアーティストがいますが、その楽曲を本人のあずかり知らないところで商用利用された場合、全て本人が出張っていって料金交渉をしたり、個人で各カラオケ会社や各レコード会社と調整して常に料金を請求し続けるのは実質的に不可能です。
そこで、音楽著作権管理団体に管理(誤解を恐れずに言えば、料金回収)を依頼しているのです。つまり、沢山の登録会員(作曲家と作詞家、またはその窓口となる会社)からその料金徴収を一手に引き受け、料金回収を代行するのが、音楽著作権管理団体です。
ちなみに、CDに収録される音源と違い、楽譜として出版される譜面や、カラオケで流れる音源は、アレンジが施されていることがほとんどです。音楽著作権管理団体は、このアレンジも含め、とにかくメロディや和音の連なりなどの「楽曲のアイデア」そのものを管理してくれます。
ただし、レコーディングされた個別の「音源」に関する権利については彼らは管理せず、業界慣習的には音源の制作者(アーティスト本人、アレンジャー、またはレコード会社)が管理しています。
この個別の「音源」そのものに関する権利は「原盤権」と言い、法律的には音楽著作権の一部ながらも、音楽著作権管理団体(JASRACなど)の管理外のため、「原盤権」と「(管理団体が守る範囲の)音楽著作権」は業務上は別の権利として、並列して語られています。
例えば、ニコニコ動画やYouTube、Ustreamは、JASRACなどの音楽著作権管理団体と包括契約を結んでいます。その場合、サービス側がしかるべき金額を支払うことで、サービス利用者が個別で使用料を支払う必要がありません。そのため、演奏動画をはじめとした「アレンジ楽曲は投稿し放題!(管理団体が守る範囲の音楽著作権は解放されているから)」です。
しかし、CDやカラオケなどの音源そのものを流すのはNG。なぜなら、それはサービス側が契約している音楽著作権管理団体の範疇外の権利で、つまり制作者の保有する「原盤権」を侵害したことになるからです。
もう一つの例を挙げますと、例えばAくんが、iTunes StoreでBさんの楽曲のアレンジ曲を(本人許可の上)配信したとします。
すると、ストア側の取り分を除く楽曲の売上のほとんどはAくんが受け取りますが(JASRAC管理楽曲の場合は、音楽配信のダウンロード販売に関する利用料は一律7.7% (※1))、売り上げの一部は管理団体経由でBさんが受け取ります。
やや混み入った話ですが、「アレンジも含む著作権」と「レコーディング音源」で権利者が分かれていることが伝わったかと思います。
※1 使用料早見表(インタラクティブ配信) JASRAC http://www.jasrac.or.jp/info/network/side/hayami.html
そして10月に入って、そのエイベックスが業界最大手・JASRACから一部離脱し、その管理下からカタログ(自分たちの楽曲)約10万曲分を引き上げるというニュースも大きく報道され、ネットでも大きな波紋を呼んでいます。
はたして、これから何が起こるのでしょうか?
結論から言えば、合併後のイーライセンスとJRCが「ついに、本当のJASRACの競合として立ち上がる」可能性が極めて高いことを示唆しています。
原盤権と音楽著作権とは?
まず、前提知識として「音楽著作権管理団体(JASRAC、イーライセンス、JRCなど)は、何を守っている組織なのか?」という話をしないといけません。元来、著作権というものは、どこかの団体に登録することで生まれる権利ではなく、ギターで曲をつくればすぐさま著作権が自然発生し、絵を描けばすぐさま著作権が自然発生し、とにかくちょっとした拍子で簡単に自然発生する権利です。
では、自分でつくった楽曲を商業展開したい──たとえばレコーディングしてCDにしたり、カラオケに配信したり、楽譜として出版したり、別のアーティストがその楽曲をライブで演奏した──場合、著作権を保有するアーティストはどうすればいいのでしょうか?
世の中にはネット出身者を含め、沢山のアーティストがいますが、その楽曲を本人のあずかり知らないところで商用利用された場合、全て本人が出張っていって料金交渉をしたり、個人で各カラオケ会社や各レコード会社と調整して常に料金を請求し続けるのは実質的に不可能です。
そこで、音楽著作権管理団体に管理(誤解を恐れずに言えば、料金回収)を依頼しているのです。つまり、沢山の登録会員(作曲家と作詞家、またはその窓口となる会社)からその料金徴収を一手に引き受け、料金回収を代行するのが、音楽著作権管理団体です。
ちなみに、CDに収録される音源と違い、楽譜として出版される譜面や、カラオケで流れる音源は、アレンジが施されていることがほとんどです。音楽著作権管理団体は、このアレンジも含め、とにかくメロディや和音の連なりなどの「楽曲のアイデア」そのものを管理してくれます。
ただし、レコーディングされた個別の「音源」に関する権利については彼らは管理せず、業界慣習的には音源の制作者(アーティスト本人、アレンジャー、またはレコード会社)が管理しています。
この個別の「音源」そのものに関する権利は「原盤権」と言い、法律的には音楽著作権の一部ながらも、音楽著作権管理団体(JASRACなど)の管理外のため、「原盤権」と「(管理団体が守る範囲の)音楽著作権」は業務上は別の権利として、並列して語られています。
例えば、ニコニコ動画やYouTube、Ustreamは、JASRACなどの音楽著作権管理団体と包括契約を結んでいます。その場合、サービス側がしかるべき金額を支払うことで、サービス利用者が個別で使用料を支払う必要がありません。そのため、演奏動画をはじめとした「アレンジ楽曲は投稿し放題!(管理団体が守る範囲の音楽著作権は解放されているから)」です。
しかし、CDやカラオケなどの音源そのものを流すのはNG。なぜなら、それはサービス側が契約している音楽著作権管理団体の範疇外の権利で、つまり制作者の保有する「原盤権」を侵害したことになるからです。
もう一つの例を挙げますと、例えばAくんが、iTunes StoreでBさんの楽曲のアレンジ曲を(本人許可の上)配信したとします。
すると、ストア側の取り分を除く楽曲の売上のほとんどはAくんが受け取りますが(JASRAC管理楽曲の場合は、音楽配信のダウンロード販売に関する利用料は一律7.7% (※1))、売り上げの一部は管理団体経由でBさんが受け取ります。
やや混み入った話ですが、「アレンジも含む著作権」と「レコーディング音源」で権利者が分かれていることが伝わったかと思います。
※1 使用料早見表(インタラクティブ配信) JASRAC http://www.jasrac.or.jp/info/network/side/hayami.html
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