90年代のカルチャーに乗せて
━━今回デビューされるにあたって、90年代テイストのアートワークやサウンドを意識されているのはなぜなんでしょうか?小島 僕もぽんちゃんも、80~90年代の音楽やアニメがすごい好きで、それを今表現するとこうなる! というのを追求したいと考えるようになったんです。
━━時代的にも音楽・デザインシーン、今はファッションでも90年代のリバイバルが起きていますよね。
小島 たぶん、Daft Punkの「Get Lucky」あたりが加速したきっかけだと思っています。ここ何年か、海外で90年代リバイバルの流れが起こっているのも感じていましたし。自分はまだ23歳ですが、個人的に憧れてるのが80~90年代のディスコファンクというのも大きくて。
ぽん 私は子どもの頃からずっとアニメが好きで、一番最初に歌ったアニソンが『タッチ』だったんですよね。自分で歌いたくて、母に歌詞を全部書いてもらって。
子どもの時、家に一人でいることが多くなった時に、親が心配して家に「アニマックス」っていうアニメチャンネルを入れたんですよね(笑)。そこで『めぞん一刻」や『ドラゴンボール』を見て、さらにハマっちゃいました。
『うる星やつら』とか『アラレちゃん』が大好きだから、うとまるさんのアートワークはすごいドンピシャなんですよね。もう「これしかない!」と。
今のアニメも好きなんですが、特に昔のアニメが好きなのは、タッチとかも大きくて。人間が描いているんだと感じられるセル画的な、泥臭いと言うか人間味のあるところがむしろ好きなんです。
今のリバイバルの流れもあるし、私たち自身の好みにもすごくハマっていて、その感覚は大事にしています。
アニメが音楽へ橋渡しをしてくれる
━━今回のデビュー曲「オオカミハート」がアニメの主題歌になると聞いた時はどうでしたか?ぽん めちゃくちゃ嬉しかったです! カラオケで歌うだけの対象だったアニソンに、まさか自分の曲が選ばれるとは思ってなくて。それだけやる気も出ました。
小島 僕も、アニメの中で流れることがわかっているのに、初めて観た時は鳥肌が立ちました。アニメーションと音楽がマッチしていて、音楽×映像というやり方は自分のやりたいことの一つでもあったので。
ぽん 曲自体、『オオカミ少女と黒王子』からインスピレーションを受けてつくったので、それが流れた時は感動しました。
小島 僕はあえて読むことはしなかったんですが、ぽんちゃんが原作のマンガを読んでて、箇条書きで色々教えてくれて、そこから勝手に妄想して楽曲をつくりました。
ぽん そこから少女漫画にハマってたもんね(笑)。
小島 やっぱり、アニメから入って音楽を聴いてくれる方も多く、アニメの力を感じました。アニメ自体すごい楽しませてもらったので、本当に良い機会をいただいたと思っています。
ぽん 一番喜んでいたのは母なんですけどね(笑)。
「ハイブリッド・ネオ・ポップ」で世界に!
━━80・90年代の音楽の流れや現代のデザイン・イラスト・アニメなど、時代・ジャンルを横断しながら展開しているお2人ですが、今の音楽シーンをどのように捉えていますか? 小島 昔の音楽を取り入れる風潮が強くなってきていると感じます。たぶん、80年代・90年代カルチャーに触れてこなかった若い人には新鮮でかっこよく映っていて、逆に年上の世代の人にとってはどこか「懐かしい」と感じさせる。それが今ちょうどいいハマり具合をしているんじゃないかなと思います。僕たちのリリースパーティーは、「次世代・ネオ渋谷サウンドイベント」のシーン「YASHIBU」の同時開催をして、そのシーンを形成している最前線のアーティストさんたちと行いました。
━━90年代の「シブヤ系」を意識されている部分もあるんですか?
小島 一時期、ピチカート・ファイヴやCymbalsとかの「シブヤ系」と呼ばれる音楽が大好きで、意識していたことはありました。シブヤ系の、ポップで明るくて、踊れる音楽性は影響されているかもしれませんが、どちらかと言えばディスコやファンクを意識しています。今は自分たちの音楽が見えてきたので、人を楽しませる音楽を極めていきたいと思いますね。
ぽん 例えば、「カオでしょ」という曲で、「顏」を連発するんですが、キャッチなーメロディーもあって、すぐ覚えてもらえるんです。それで記憶に残ることがまずはきっかけですよね。
音楽面では完全に信頼しているので、小島さんがつくった良いメロディーの上に、聴いた人の頭に残る歌詞を乗せて、それをどう歌うかだけを意識しています。
━━最後に、「ORESAMA」として、どうなっていきたいという思いはありますか?
小島 とにかく、一番はいろんな人に音楽を聴いてもらいたいということ。そのためにも、「世界に通用するJ-POP」をつくっていきたいです。
──ORESAMAの2人の考える、「J-POPの魅力」というのは何なんでしょうか?
2人 (声を揃えて)メロディーです!!
小島 J-POPの魅力はメロディーであり、日本のポップスは、世界中でもすごくキャッチ―なんですよね。僕にとって、J-POPは感情を動かす音楽だと思うんです。
ぽん 90年代と最先端、新しさと懐かしさのハイブリッドが武器だと思っているので、私たちで「HYBRID NEO POPS!!」というコンセプトとJ-POPを世界に広めたいと思っています。アニメとか映像とか、他のメディアとももっとコラボしていきたいです。
──例えば、日本の音楽でも、アイドルやビジュアル系のような、特化したジャンルの中で大成功を収められている方々はいますが、「J-POP」で世界に通用している例は多くないように思います。ある意味で一番難しいようにも思えますがそれはどうお考えですか?
小島 シブヤ系でも成しえなかったような難しい挑戦ですが、今J-POPに根付き始めているディスコ・ファンクを基調にした音楽シーンにこそ、その可能性はあるんじゃないかと思うんです。
おこがましいかもしれませんが、僕らもそのシーンの担うつもりで、「J-POPと言えばORESAMA」と言われるくらい、J-POPを極めていきたいです。
この記事どう思う?
ORESAMA
ぽん♀:作詞・ボーカル
小島英也♂:作曲・プログラミング・ギター
渋谷を中心に活動中の2人組ユニット。2013年The 6th Music Revolution Japan Finalで優秀賞獲得。
90年代生まれの2人が描き出す楽曲は、エレクトロやファンクミュージックをベースにし、映像が浮かぶ歌詞世界とともに「ORESAMA」ワールドを構成している。まさに、ネオポップスと呼ぶにふさわしいユニット。
そんな彼らが話題のアニメ「オオカミ少女と黒王子」のエンディングテーマでデビュー。
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