アニメ×ダンスミュージックをテーマに、都内の屋外スペースを利用し開催している超都市型野外DJイベント「Re:animation(リアニメーション)」(通称:リアニ)。
「アニメもダンスミュージックも分け隔てなく大好きな人たちが集まって、ジャンルの壁を超えて楽しもう!」という趣旨のもと、2010年12月に新宿歌舞伎町・旧コマ劇場前広場で開催されて以来、多くのアニメファン・ダンスミュージックファンを熱狂の渦に巻き込んできた。
11月23日(日)には通算7回目となる開催を迎え、2015年3月には羽田空港でのコラボイベントも控えているなど、さらなる盛り上がりを見せようとしているリアニだが、一体どのようにして生まれ、現在の巨大イベントへと至ったのだろうか。
リアニの主催をつとめる「ちへ」こと杉本真之さんに取材を試み、これまでのリアニ、そしてこれからの目標などについてお話をうかがった。
後半は、これまで撮影してきた「Re:animation NEW YEAR PARTY 2014」や「Re:animation6」での、ステージやフロアの大熱狂の様子やコスプレイヤーさんスナップなどを一挙掲載!
(取材・文/鎌田篤)
ちへ 僕は元々、mixiの『交響詩篇エウレカセブン』のファンコミュニティでオフ会をやっていたんですよ。「エウレカ」はクラブカルチャーをモチーフにしたガジェットが多く登場するアニメで、クラブを貸し切ってオフ会をやったら楽しいんじゃないの? という声をきっかけに始めたのが、「GEKKO NIGHT」という「エウレカ」ファンが集まるイベントでした。
2006年から5年間やっていたのですが、どんどん規模が大きくなっていって、500人規模の箱を借りてやったことがあったのですが、キャパオーバーでお客さんが300人ほどあふれちゃったんですね。イベントの運営的にもそろそろ厳しいかなということで、「GEKKO NIGHT」はそこで一区切りをつけたんです。
でも、せっかく集まったわけだし、また何かやりたいという話があった時に、そこに来ていた誰かが野外でイベントをやりたいとずっと言っていたんですね。それで場所を探していたところ、歌舞伎町に広場を見つけて、ここでやろうってなったのがリアニのきっかけです。 ──はじめのうちは、リアニも「GEKKO NIGHT」からのお客さんが多かったのでしょうか?
ちへ だと思いますね。やっているメンバーも「GEKKO NIGHT」と同じメンバーで、「エウレカ」という作品に紐付いていたイベントからアニメ全般をフィーチャーしたイベントにしようと。さらに、元々テクノやハウスもよくかかるイベントだったので、そういったジャンルも楽しめる野外イベント、と打ち出したわけです。
あと僕らのバックボーンとして、「エウレカ」のオフ会をクラブでやりつつ、「コードギアス」のパブリックビューイングをするオフ会もずっと歌舞伎町でやっていた縁もあって。最初は「エウレカ」のファンと、その時の「コードギアス」オフ会に来ていた時の仲間が多分ほとんどだったんじゃないですかね。
ちへ 最初は、まあそうなったらイベントも続けていけるかもな、ぐらいに思っていた感じですね。場所が取れちゃったので、とりあえずやろうぜということで全部持ち込みでやって、お金も当日カンパを募ってという感じだったので、さすがにここまでくるとは思わなかったですね。
1回目は30万か40万くらいでやったんですよ。PAも地元に機材を持っている友達がいなかったので、仙台のレイブをやっているお父ちゃんに一式担いできてもらったり、テントも全部街の商店街から借りたり、という感じでやっただけなんですね。
2回目も5、60万ぐらいでやって。どちらもおかげ様でそんなに大赤字にならなかったんですよ。しかも、2回目には歌舞伎町のあの広場に1300人集まったんですね。
──そこで、反響的にも手応えを感じ、イベントとしてリアニはいけるんじゃないかな、と感じたということですか?
ちへ いけるんじゃないかなというよりかは、そうしていかないと続かないなと気づきだしたんですよね。でも、さすがに行政から「もうちょっとちゃんとやったほうがいいんじゃないの?」と、うっすらとツッコミが入って。
それで、次は広場に加えて近くのライブハウスを押さえて、もうワンステージ増やすことで広場からあふれた人を収容する場所をつくることに決めて、その頭金を揃えるためにクラウドファンディングをやってみようとか、だんだんそういう方向にシフトしていきました。 ──2回目にして、どのようにして1300人ものお客さんを集めたのですか?
ちへ 1回目をやった時にかなり話題になったんですね。Ustreamで中継したのが大きかったと思うんですけれど、TwitterとUstreamで強烈に拡散されて。何しろ歌舞伎町でやっていたので、Ustreamの配信を観た人が、イベントが終わるまでに来られるんですよ、無料だし。
中には、「歌舞伎町で馬鹿なことやってる奴らがいる、すげえ」って言って新幹線乗って静岡から来ましたっていう人もいて。これが山奥だったら無理ですけれど、それができちゃう環境だったので、人も広がったし話題にもなったことが大きかったと思います。
ちへ 実は、歌舞伎町は説得していないんですよ。元々はもっとベタにやるつもりだったんですが、当時は野外イベントの騒音規制がすごく厳しくて、代々木公園も一時的にレイブ禁止になっていたり、潮風公園も対岸のマンションからクレームがあるということで月2回までって制限されていたり、ほかのところもデシベル制限が入っていたり。 それで困っていた時に、たまたまYouTubeで歌舞伎町の広場で六大学の応援合戦をやっているのを観たんですよ。応援団が来て、でかいドラムをガンガン叩いていて。
これができるならアニソンイベントもいけるんじゃないかと思って、とりあえず問い合わせたのがきっかけでした。歌舞伎町側も実はウェルカムで、すぐに開催が決まったんですよ。
──アニメにも理解があったということですか?
ちへ そうですね。その何年か前に『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序』の封切りイベントをミラノ座でやっていたんですね。コスプレをしたサオリリス(アニソンDJ)が、特典のパンフレットを配布したり。その時のオタクのマナーがすごく良かったらしいんです。みんな整然と列に並んで配布物を待っていたと。その印象がすごく良かったらしく、アニメやオタクはウェルカムという感じだったんです。
あと、音楽コンテンツも欲しかったようです。当時、歌舞伎町は風俗業者を規制したりコマ劇場が閉館したりと、歓楽街として下火になっていた状況で、町おこしのコンテンツを探していたそうなんです。そこで、ぜひやりましょうということで動き出したんですね。
──地元の方々との連携といった点で大変だったこともあったのでは?
ちへ ちゃんと相手の方にわかるように、自分たちが何者なのかを説明しなきゃいけないんですね。その説明が最初はけっこう苦労しました。
例えば歌舞伎町でコスプレと言うと、どうしても風俗とか水商売とかとイメージが結びついちゃうんですよ。あと、音を鳴らすと言うとものすごい爆音だと思われてしまうので、DJをしますと言うのではなく、アニメの主題歌とかサウンドトラックのCDを持ってきてかけるだけなんです、というように、わかるように説明したり。そういったコミュニケーションは最初は戸惑いましたね。
「アニメもダンスミュージックも分け隔てなく大好きな人たちが集まって、ジャンルの壁を超えて楽しもう!」という趣旨のもと、2010年12月に新宿歌舞伎町・旧コマ劇場前広場で開催されて以来、多くのアニメファン・ダンスミュージックファンを熱狂の渦に巻き込んできた。
11月23日(日)には通算7回目となる開催を迎え、2015年3月には羽田空港でのコラボイベントも控えているなど、さらなる盛り上がりを見せようとしているリアニだが、一体どのようにして生まれ、現在の巨大イベントへと至ったのだろうか。
リアニの主催をつとめる「ちへ」こと杉本真之さんに取材を試み、これまでのリアニ、そしてこれからの目標などについてお話をうかがった。
後半は、これまで撮影してきた「Re:animation NEW YEAR PARTY 2014」や「Re:animation6」での、ステージやフロアの大熱狂の様子やコスプレイヤーさんスナップなどを一挙掲載!
(取材・文/鎌田篤)
すべては「エウレカ」のオフ会イベントから生まれた
──まず、この「Re:animation」というイベントを始めたきっかけからうかがえますか?ちへ 僕は元々、mixiの『交響詩篇エウレカセブン』のファンコミュニティでオフ会をやっていたんですよ。「エウレカ」はクラブカルチャーをモチーフにしたガジェットが多く登場するアニメで、クラブを貸し切ってオフ会をやったら楽しいんじゃないの? という声をきっかけに始めたのが、「GEKKO NIGHT」という「エウレカ」ファンが集まるイベントでした。
2006年から5年間やっていたのですが、どんどん規模が大きくなっていって、500人規模の箱を借りてやったことがあったのですが、キャパオーバーでお客さんが300人ほどあふれちゃったんですね。イベントの運営的にもそろそろ厳しいかなということで、「GEKKO NIGHT」はそこで一区切りをつけたんです。
でも、せっかく集まったわけだし、また何かやりたいという話があった時に、そこに来ていた誰かが野外でイベントをやりたいとずっと言っていたんですね。それで場所を探していたところ、歌舞伎町に広場を見つけて、ここでやろうってなったのがリアニのきっかけです。 ──はじめのうちは、リアニも「GEKKO NIGHT」からのお客さんが多かったのでしょうか?
ちへ だと思いますね。やっているメンバーも「GEKKO NIGHT」と同じメンバーで、「エウレカ」という作品に紐付いていたイベントからアニメ全般をフィーチャーしたイベントにしようと。さらに、元々テクノやハウスもよくかかるイベントだったので、そういったジャンルも楽しめる野外イベント、と打ち出したわけです。
あと僕らのバックボーンとして、「エウレカ」のオフ会をクラブでやりつつ、「コードギアス」のパブリックビューイングをするオフ会もずっと歌舞伎町でやっていた縁もあって。最初は「エウレカ」のファンと、その時の「コードギアス」オフ会に来ていた時の仲間が多分ほとんどだったんじゃないですかね。
手作りイベントから話題のフェスへ
──リアニへシフトチェンジした時、最初からある程度集客や収益を意識して、ちゃんとしたイベントとして運営していこうというイメージだったのでしょうか?ちへ 最初は、まあそうなったらイベントも続けていけるかもな、ぐらいに思っていた感じですね。場所が取れちゃったので、とりあえずやろうぜということで全部持ち込みでやって、お金も当日カンパを募ってという感じだったので、さすがにここまでくるとは思わなかったですね。
1回目は30万か40万くらいでやったんですよ。PAも地元に機材を持っている友達がいなかったので、仙台のレイブをやっているお父ちゃんに一式担いできてもらったり、テントも全部街の商店街から借りたり、という感じでやっただけなんですね。
2回目も5、60万ぐらいでやって。どちらもおかげ様でそんなに大赤字にならなかったんですよ。しかも、2回目には歌舞伎町のあの広場に1300人集まったんですね。
──そこで、反響的にも手応えを感じ、イベントとしてリアニはいけるんじゃないかな、と感じたということですか?
ちへ いけるんじゃないかなというよりかは、そうしていかないと続かないなと気づきだしたんですよね。でも、さすがに行政から「もうちょっとちゃんとやったほうがいいんじゃないの?」と、うっすらとツッコミが入って。
それで、次は広場に加えて近くのライブハウスを押さえて、もうワンステージ増やすことで広場からあふれた人を収容する場所をつくることに決めて、その頭金を揃えるためにクラウドファンディングをやってみようとか、だんだんそういう方向にシフトしていきました。 ──2回目にして、どのようにして1300人ものお客さんを集めたのですか?
ちへ 1回目をやった時にかなり話題になったんですね。Ustreamで中継したのが大きかったと思うんですけれど、TwitterとUstreamで強烈に拡散されて。何しろ歌舞伎町でやっていたので、Ustreamの配信を観た人が、イベントが終わるまでに来られるんですよ、無料だし。
中には、「歌舞伎町で馬鹿なことやってる奴らがいる、すげえ」って言って新幹線乗って静岡から来ましたっていう人もいて。これが山奥だったら無理ですけれど、それができちゃう環境だったので、人も広がったし話題にもなったことが大きかったと思います。
歌舞伎町での開催にあたって
──やはり新宿の歌舞伎町という立地は大きかったんですね。リアニを実現させるに至るまでに、歌舞伎町はどのように説得されたのですか?ちへ 実は、歌舞伎町は説得していないんですよ。元々はもっとベタにやるつもりだったんですが、当時は野外イベントの騒音規制がすごく厳しくて、代々木公園も一時的にレイブ禁止になっていたり、潮風公園も対岸のマンションからクレームがあるということで月2回までって制限されていたり、ほかのところもデシベル制限が入っていたり。 それで困っていた時に、たまたまYouTubeで歌舞伎町の広場で六大学の応援合戦をやっているのを観たんですよ。応援団が来て、でかいドラムをガンガン叩いていて。
これができるならアニソンイベントもいけるんじゃないかと思って、とりあえず問い合わせたのがきっかけでした。歌舞伎町側も実はウェルカムで、すぐに開催が決まったんですよ。
──アニメにも理解があったということですか?
ちへ そうですね。その何年か前に『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序』の封切りイベントをミラノ座でやっていたんですね。コスプレをしたサオリリス(アニソンDJ)が、特典のパンフレットを配布したり。その時のオタクのマナーがすごく良かったらしいんです。みんな整然と列に並んで配布物を待っていたと。その印象がすごく良かったらしく、アニメやオタクはウェルカムという感じだったんです。
あと、音楽コンテンツも欲しかったようです。当時、歌舞伎町は風俗業者を規制したりコマ劇場が閉館したりと、歓楽街として下火になっていた状況で、町おこしのコンテンツを探していたそうなんです。そこで、ぜひやりましょうということで動き出したんですね。
──地元の方々との連携といった点で大変だったこともあったのでは?
ちへ ちゃんと相手の方にわかるように、自分たちが何者なのかを説明しなきゃいけないんですね。その説明が最初はけっこう苦労しました。
例えば歌舞伎町でコスプレと言うと、どうしても風俗とか水商売とかとイメージが結びついちゃうんですよ。あと、音を鳴らすと言うとものすごい爆音だと思われてしまうので、DJをしますと言うのではなく、アニメの主題歌とかサウンドトラックのCDを持ってきてかけるだけなんです、というように、わかるように説明したり。そういったコミュニケーションは最初は戸惑いましたね。
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杉本真之(ちへ)
「Re:animation(リアニメーション)」主催
2006年、TVアニメ『交響詩篇エウレカセブン』のファンによるオフ会から派生したDJパーティ「GEKKO NIGHT」を立ち上げる。2010年3月に開催された最終回では500人を超えるファンを集め、大盛況を誇るファンイベントとして話題となった。
その後、2010年12月よりアニソン×ダンスミュージックDJイベント「Re:animation(リアニメーション)」の主催をつとめる。第5回より、新宿歌舞伎町・旧コマ劇場前広場から中野駅前暫定広場に拠点を移し、第6回には2000人近くの動員を記録した。
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