そして中野での開催へ
──歌舞伎町で大盛況を誇ったリアニですが、5回目からは中野に拠点を移されましたよね。「GEKKO NIGHT」時代から馴染みのあった新宿から拠点を移されたのは、何か理由があったのでしょうか?ちへ 歌舞伎町の広場がコマ劇場の再開発工事の資材置き場になってしまい、使えなくなってしまったんですよ。それで、リアニをやらせてくれる広場をいくつか探していたんですが、実際に話を持ちかけてみてアツい反応だったのが中野区だったので、中野区でやらせてもらったんですよ。
中野ってここ最近で再開発が一段落した状態で、とりあえず中野セントラルパークを中心としたハード面が一旦整った状態だったんですね。そこで、多分次のフェーズとしてそこにコンテンツを入れていきたいという状態だったと思うんですよ。そこで、たまたまリアニとのニーズがマッチした。 ──それはやはり歌舞伎町での実績があったからこそなのでしょうか?
ちへ そうですね。とはいえ、僕らのメリットと町の人のメリットは必ずしも一致しないので、そこをどう折り合いをつけるかが、場所を移した上での苦労でしたね。
歌舞伎町の中はけっこう爆音を出してもよかったのですが、中野は線路を跨いだら住宅地なので、どのように音のケアをするかとか。リアニが中野に移って初めて開催した時は土曜だったんですが、近隣の病院には1日入院の患者さんとかもいて、振動に関する苦情があったので、開催を日曜に変えたりとか。
そういう落とし所を探したりするのは、自治体と協力して開催する上でのステップとして必ず必要ですね。
──場所を移したことで、イベント自体にどういった変化がありましたか?
ちへ お客さんが明らかに歌舞伎町の時より増えたのと、参加する年齢層が劇的に下がったことですね。
「GEKKO NIGHT」はオールナイトのイベントだったので、当然そこからのお客さんには20歳以下はいません。リアニで昼間のイベントになってオープンスペースになったとはいえ、はじめはやはり歌舞伎町だったので、女の子とか学生さんにとっては怖いイメージがどうしてもつきまとう。
中野に移ってからは、駅から近いとか学校のルート上にあるとか、そういう人たちがいっぱい来てくれるようになって、20歳前後や10代の子たちが劇的に増え、それによってスタッフにも若い人が入ってきました。
いろんな人にアニソンやダンスミュージックの楽しさを知ってもらいたい!
──今年初めにはお台場のジョイポリスでもリアニを開催されたり、来年3月には羽田空港で開催される『羽田インターナショナル・アニメ・ミュージック・フェスティバル』での開催も控えているとのことですが、そのような場所でリアニをやろうとなった理由は?ちへ 外部から声をかけてもらう機会がここ1、2年で増えてきていまして。僕らは新宿とか中野とか、自分たちに馴染みのあるところでしかやったことがなかったので、オープンスペースで配信してるとはいえ、それだけではだんだんお客さんが固定化してしまうと思ったんです。
自分たちのやってることはすごく楽しいと思っているので、それをいろんな人たちに見てほしいんですよね。例えばジョイポリスに遊びに来るような、ゲームに造詣が深かったり理解があったりするようなファミリーやカップルにアピールしてみようとか。
あと今年の夏は、「EXIT TUNES ACADEMY」というボーカロイドや歌い手さんなどのフェスのサイドステージをやらせてもらったんです。あの辺りのジャンルはアニメと近いようで実は距離があるので、その人たちに見てもらおうとか。
空港もそうですけど、海外のお客さんに見てもらおうとか、そういう機会を増やそうと思いまして。リアニの体制も整ってきたので、ここ最近はコラボレーションや出張イベントは増やそうと意識していますね。
──先日発刊され話題を呼んでいる『オトカルチャー』も、やはりそういう場を広めようという趣旨ですね。
ちへ そうですね。月夢(川崎のアニソンDJバー「月あかり夢てらす」)とかMOGRAを見ればわかるように、爆音でアニソンを聴くと楽しいよ、というのは証明されているわけで。それをもっと表に出していくという意味で、面白いと思っています。
リアニは「場からつくっていく」
──外部でのイベントは、どのようにして企画を進めているのですか?ちへ こっちからこういうことをやりたいですという企画を出して、向こうからそれをやるんだったらうちはこういうことできるというアイデアを出してもらって企画を擦り合わせていったり、経費をそれぞれどれだけ負担しましょうとかも話し合って決めていったり、という感じですね。
箱(イベント会場)を借りてやりましたとか、予算もらってやりましたっていうのとはまったく違って、やるんだったら一緒にやるっていう気持ちが強いです。
──どちらかが一方的に場所を貸してという感じではなく、お互いに協力しあって「場からつくっていく」という。
ちへ そうですね。元々オフ会として活動していたということもあって、やるメンバーはみんな仲間じゃないと嫌なんですよ。箱を借りてやれば楽ちんっていうのはわかるんですけれど、中に入ったら機材が全部整っていて、そこでCDかけるだけ、っていうのはなんかうちっぽくない。
だからライブハウスを借りる時も自分たちで機材を持ち込んで、イベントが終わったら全部片付けて、っていう繰り返しだったんです。そしたら箱側もどうしたらうまく演出できるかを考えてくれて、クラブっぽい照明にするためにはどうするかといった話まで詰めながらやっていく。そういう過程も含めて楽しかったので、行ってやるだけっていうのは嫌なんですよ。
──そのような場をつくる上で気をつけていることは?
ちへ これは個人的なこだわりになるんですけど、ゴミの多い汚いイベントとか、マナーの良くないイベントが嫌いで。だからリアニでもその辺はこだわっているというか、集まるお客さんはみんな身内だと思っているからこそ、多少の窮屈は理解してもらって、みんなでイベントを守ってねというメッセージだけはずっと出すようにしているんですよね。
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杉本真之(ちへ)
「Re:animation(リアニメーション)」主催
2006年、TVアニメ『交響詩篇エウレカセブン』のファンによるオフ会から派生したDJパーティ「GEKKO NIGHT」を立ち上げる。2010年3月に開催された最終回では500人を超えるファンを集め、大盛況を誇るファンイベントとして話題となった。
その後、2010年12月よりアニソン×ダンスミュージックDJイベント「Re:animation(リアニメーション)」の主催をつとめる。第5回より、新宿歌舞伎町・旧コマ劇場前広場から中野駅前暫定広場に拠点を移し、第6回には2000人近くの動員を記録した。
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