「百合」というジャンルを、クィア/フェミニズムの視点からとらえ、「百合のいま」について考える書籍 『はじめての百合スタディーズ クィア/フェミニストの視点から』が、2月27日(金)に太田出版から刊行される。
本書を執筆したのはパンセクシュアル(全性愛)、レズビアン、クワロマンティック(友情と恋愛感情を区別しない/したくないという恋愛指向)などの背景を持つ3人。
女性同士の友情や恋愛など、あらゆる親密さを包含するジャンルであるがゆえに、その定義も書き手や読み手によって多様になっている「百合」について、それぞれの立場から分析。国内外の百合の歴史とその変遷に触れつつ、あらゆる人に開かれた百合というジャンルについて綴られている。
人によってとらえ方が違う「百合」について考える
女性同士の友情や恋愛、親密さを描く表現として親しまれてきた「百合」というジャンル。
一方で、現実を生きるクィアな人々の存在、フェミニズムの議論とは切り離されて語られてきた側面もある。
本書では、アメリカでの百合文化などについても射程を伸ばしつつ、定義が定まっていないことにより書き手・読み手によって揺れ動いてきた「百合」について整理。
全5部構成で「現在の百合アニメの潮流」「百合アニメとドラマの違い」「百合専門誌以外の『百合』」「百合ジャンルの課題」といったテーマを扱っている。
この他、『機動戦士ガンダム 水星の魔女』など近年の百合的表現にも触れながら、男性性の問題などについても整理している。
装画は漫画『ユリ熊嵐』の作画でも知られる漫画家・森島明子さんの描き下ろしイラストが採用されている。
なお、太田出版の通販サイト「QJストア」では、森島明子さんの描き下ろしイラストを使用したポストカード付き販売も予定されている。
百合オタク、フェミニスト、クィア当事者──異なる背景を持つ3名の書き手
著者の一人である近藤銀河さんは、アーティストとして活動する傍ら、西洋美術史における女性同性愛表象を研究する美術史家。単著に『フェミニスト、ゲームやってる』(晶文社)がある。
水上文さんは、書評や文芸評論を中心に、フェミニズムやクィアに関する論考・エッセイを多数発表してきた文筆家。著書に『クィアのカナダ旅行記』(柏書房)、企画・編著に『われらはすでに共にある――反トランス差別ブックレット』(現代書館)など。
中村香住さんは、日本のポピュラーカルチャーをジェンダー/セクシュアリティの観点から研究する社会学者。博士(社会学)を取得し、慶應義塾大学で非常勤講師として教鞭も執っている。
また、レズビアン・クワロマンティック当事者としての発信も行っており、共編著に『アイドルについて葛藤しながら考えてみた──ジェンダー/パーソナリティ/〈推し〉』(青弓社)などがある。
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